妖怪ホテル
この地域には森を彷徨った人々が泊まる妖怪ホテルがあると言う。しかし、普段はそんなホテルなど大きく目立つものなどこの森にはなく噂として広まっていた。
ある日、旅をしているせんりつという男がおった。
せんりつはどうもその森を迷ってしまい途方に暮れてしまっていた。
すると何やら鋭く濃い霧がせんりつの体にまとわりつき余計に周りが見えなくなってしまった。しかし、その中に光るものがせんりつの目に飛び込んできた。
せんりつは歩き回り棒のような足を精一杯蹴り出し光の方へと走っていった。
するとそこには霧に包まれながらもそれを抜き出るほど大きなホテルが立っていた。
せんりつは妖怪ホテルの噂を思い出し恐ろしくもあったが中に入っていった。
せんりつが中に入るとそこには真っ白な服に真っ白な肌でお出迎えをしてくれている美しい女性が立っていた。
彼女の近くにいると夏だというのに何故か涼しく感じる。
「今日、泊まりたいのだが空きはまだありますでしょうか」せんりつが尋ねると、真っ白な女性はコクッと頷き、鍵を渡してくれました。
それと同時に奥の扉からコツコツと音を立てながら黒いスーツの男が現れた。
「私は案内人のルフウと申します。部屋までご案内させていただきます」
案内人のルフウは毛がびっしりと生えておりスーツを着ているがはみ出していた。
「ここがせんりつ様のお部屋です。お食事の用意が出来たらお部屋にお伺いさせていただきますそれまでゆっくりとお過ごしください」
そういうと、彼はまたコツコツと着た道を歩いて行った。
せんりつは妖怪ホテルというのはただの噂に過ぎないとこんないいホテルがあるならまた行きたいと思いました。
そして時間が経つとルフウが私を呼びに来て食事を堪能することにした。
食事も普通に美味しくむしろ普段より美味しいくらいであった。
せんりつは風呂に入り、布団で横になっていると疲れと最高のおもてなしによりすぐに寝てしまっていた。
起きたのはすでに日が昇り切ろうとしておりせんりつは急いで荷物をまとめロビーへと向かいました。
昨日の、真っ白な女性に部屋の鍵を返しホテルを出た時には森を抜け迷っていたのが嘘のようでした。
真っ白な女性は彼の背中を見ながら「彼もこのホテルのことを忘れてしまうのね」そう呟き
ルフウは「それが私たち妖怪ホテルの仕事ですから」
霧が濃くなりそのホテルはまた噂の中へと消えて行った。