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あーたーらしいあっ!さっ!がキタっ!1


一応前作からの続きなので、設定や色々厨二病的な設定が大爆発しますが、設定とか設定とか設定とかが苦手な方や前作を読んでもう無理だと思った方は頑張って下さい☆


皆さま、牢獄の中からこんにちは、こんばんは、そしておはようございます。短剣使い兼質量攻撃信者兼殺人未遂及び器物損壊容疑者です。


うん、そうなんだ。ここ、探索者ギルドの拘置所なんだ。とりあえず経緯を整理しよう。俺はそう思いながら外套を広げ中から飯を出し咀嚼する。



まず、俺は喀血した後に気絶したのだが不眠不休と死線のパッシブによって強制的に回復させられ意識を取り戻した。すると目の前にあったのは血で彩られた病室、周りには装備品が内側から破裂した様な状態で転がっており、俺の身体は傷を塞ぐ効果のある薬品に浸された包帯でミイラの様にされており、おそらく水薬の過剰摂取のツケが回ってきたんだろうと判断した。まぁ、思考の方もどこか纏まらない感じがするのでこれも水薬の副作用だろう。

まぁ、ここまでは良かったのだ。



相変わらず無茶をしたせいか身体中が痛みを訴えており、思考も纏まらないという糞みたいな状況だったが、まだまだペーペーとはいえ探索者、それも一応ダンジョンの最初期攻略や圧倒的格上との戦いなどを経て無駄に感覚が鋭敏になっているのだ。壁向こうの足音や窓の外の静けさに危機感を覚え始める。


この感じは覚えがある。これは悪意、そして敵意と呼ばれるものだ。とね。

程なくして現れたのは忌々しい我が親族の方々、それもご丁寧に目の部分だけが不気味に開いた仮面の様なものをかぶっての登場だ。まぁ、俺の魔眼の力で誰が誰かは分かっているし、そもそも彼らが何をしにきたのかも分かっている。俺は狸寝入りしながら外れなかったからか付けっ放しの外套の内側から撤退用の煙幕を出しておく。


「ククク…久方ぶりだなぁクズ石、驚いたぜ?まさかこんなことになって帰ってくるなんてよ」


相変わらず口の悪いことだ。別の人間が口を開く。


「分かってるのか、今日は甚振るんじゃなくて始末だ。一族の恥がまさかダンジョンを攻略して帰ってくるなど想定外だが…まるで我々が無能かの様に噂を建てられるのも困る。」

「おうおう、分かってるぜ兄様?ただちょっと遊んだっていいだろう?この部屋を見てみろって。もう瀕死だろうさ」


俺は煙幕を隠し、包帯まみれになった体をナイフで浅く斬りつけてくる馬鹿を無視し集中する。声は二つ、だが足音は三つあった。最後の1人の声が聞こえた。2人はすぐ分かったが…一体最後の1人は誰なんだ?


「っむぐ、ぐうううう!」

(…っ!まさか!)


「ハハハ!無能の妹が吠えてやがるぜ兄様?」

「…クズ石の兄を持ったのが運の尽きだ。『今日、貴様は兄を殺す』こんな所だろう。」


親族のうち兄様と呼ばれているのの魔眼は『命令』視線を合わせた相手に自らが発した命令を強制的に実行させる強力な魔眼、等級は確か輝石、ちなみに呼んでた方は知らないが、なにがしかの攻撃系だろうと睨んでいる。

で、最後に恐らくもう洗脳状態であろう我が妹のソレは…宝石級の時空干渉系、俺が知る限りの情報はそんなものだ。故に…


「すまんが起きてるぞ」

「なっ!?」

「バカなあの怪我で!」


動くならば今だ。俺はベッドからナイフ持ちの手を蹴り飛ばして飛び起き、ベッドを踏み割る。そして即座に煙幕を投げ、外套を変形させて爆発する前に切りつけ強制的に炸裂させる。


「げっほ、げふ」「兄様!大丈夫か!」


すでに妹の意識は刈り取ってある。が、命令の魔眼というのの強制力がわからなかったためとりあえずシーツで包んでおいた。

この時点で探索者ギルドに泣きつくなり、なんなりすれば良かったんだが、まぁ、それは後の祭りだろう。

弟くんの魔眼で煙が吹き飛び、ついでに壁とか窓とかも吹き飛んだ。


「へぇ…随分と凄い力だ。俺がいた時にはこんな出力じゃなかったですよね?」

「きさまぁ!」

「まて、『落ち着け』」


俺は包帯まみれで格好つかないが、とりあえず気の短そうな弟くんを煽ると面白いように反応してくれた。が、兄様と呼ばれていた者によって強制的に落ち着きを取り戻させられた。


「…ふむ、随分と態度が変わったな、クズ石、ダンジョン攻略などという大それた事をしたからか?」

「いいや、残念ながら前から中身はこんなもんだったよ」


兄様とやらはシーツに包まれた俺の妹の姿を見て舌打ちをすると視線をこちらに投げてくる。が、目を見開く。


「貴様!それは!『説明しろ』!」


目があった状態での魔眼発動、勿論俺は術中にはまって…


「へぇ、こんな便利な機能、使えるなんて思いもしなかったな」

「っく…」


俺は金色に輝く宝石級の魔眼、右目の龍のそれを愉悦に歪ませる。兄様とやらは不愉快そうに顔歪めるのみだが、弟くんの方は声に出るような悔しがり方をしながら歯ぎしりをする。

実は魔眼の等級には効果以外にもさまざまな壁がある。その一つがコレ、下位等級の魔眼の完全レジストである。


「そうか父上が危惧していたのはこれか、ダンジョンでの魔眼の獲得など胡乱なものだと思っていたが、元を辿れば魔眼の血族も異能の交配で生まれた。その血族がダンジョンへ赴けばその可能性は高まる。…ふむ、興味深いな」

「興味深いも何もお前らがそう仕向けなけりゃあこの街でそれなりに生きてけたんだぜ?こんな拾い物をするようなこともなくな。」


俺は嗤うと弟くんが魔眼を発動するが、素の魔眼の効果で見えた効果範囲…というか魔眼の力の具現の様なものを停止させる。…消耗もないし、完全に静止できている。良いね、決してこの機能を忘れてたとかそういうわけではないのだ。




「はぁ…まさか私がこの独房に入れられる日がくるとはな」

「どうしよう兄様、流石にバカな俺でもわかるぞ、今回の今回は不利すぎる。家の力も使えねえよ」


飯を食いつつ回想していると隣の牢屋から間抜けどもの声が聞こえた。そう、あの後俺がやった行動のせいで俺たちはもれなく全員捕まったのだ。ちなみに罪状はあっちの方がヤバイらしいが、今までは家の力でどうにかしてたらしい、全く呆れた話だろう?


「ねみ…」


精神の水薬が抜けきってない状態での戦闘からまだ一晩と経っていない、俺は素直に生理現象に従って眠りにつく。

ここはある意味世界で最も平等な探索者組合の独房、つまるところ世界樹によって保護され、天使によって管理される人類にとって完全に平等な法で裁かれる場だ。

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