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魔女狩り少年と光の魔女  作者: 揚げパン
第4章 新しい風
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第72話 歓談の裏で


 志乃達はカフェで歓談を続けていた。


「えっ?月音ちゃんリーダーになったんだ!すごいー!」


 瑞葉は志乃達に月音が魔女同盟の新しいリーダーになったことを告げ、志乃が驚きと称賛の声を上げる。


「まだ、あまり慣れてない」


 月音はまだ気後れしているようで、自信を持つには少し時間がかかりそうだ。


「すごいなー。わたしと同い年で組織のリーダーになっちゃうなんて」


 小蜜も尊敬のまなざしを向ける。まだ16歳というのに組織をまとめるのは大変なことだ。


「月音は魔女の実力も高いし、いつも冷静でいられるからリーダーに向いてるわ」


 美雨も月音がリーダーなのは賛成なようだ。リーダーは的確で素早い判断を求められるので、冷静沈着な性格は向いているのだ。

 しかし、冷静という言葉に瑞葉が反応し、頬杖をついて横目で月音を見てにやける。


「冷静ね~。さっきは偉く動揺してたみたいだけど」


 すると、月音が鋭い目つきで瑞葉を睨み付けた。


「瑞葉」


「あっ…何でもない何でもない!」


 瑞葉は慌てて両手を横に振って前言撤回する。


 ブーッ…ブーッ…


 その時、美雨のスマホに着信が入る。スマホを取り出して画面を見る…と、亮司からの電話だった。美雨は一言断りを入れて席を離れ、化粧室に向かった。


「もしもし?」


 美雨は個室の中に入って電話を取る。


【黒薙か。今一人か?】


「いえ、志乃達も一緒よ」


【そうか。これから言うことはあいつには内緒にしてくれ】


「…わかったわ」


 一体なんだろうか。恐らく良くない事だろうが、話の続きを聴こうと相槌を打つ。


【青塚から電話がかかってきた。何か俺に用があるみたいで、俺は今からあいつのところに行く。それから、青塚は今、如月の姉貴と一緒にいるみたいだ】

「…!?」


 美雨は目を見開き、冷や汗を垂らす。


「生きていたの…?」


 美雨もまさか静歌が生き延びているとは思っていなかったようだ。


【電話で話しただけだ。まだ本当かどうかわからねぇ。俺が気になるのは、なんであの姉貴が魔女狩りと一緒にいるのかってところだ】


「…そうね。普通に考えたらありえないわ」


【どっちにしろ、はっきりわかるまでは、如月に話さない方がいい。それで、おまえに頼みがある。蝶を一匹俺に回してくれないか?】


「あなたと一緒に行動させておけばいいのね。わかったわ」


【頼んだ】


 そこで通話は切れた。美雨は早速蝶を一匹発現させ、換気窓から外に出した。そして、何事もなかったように志乃達のところへ戻る。




 静歌は未だに床に伏せたまま、じっとしていた。…いや、満足に動くことができないのだ。ひびのせいで、動こうとすると激痛が襲いかかる。これまでの威厳など少しも感じられなかった。

 そこに、水の入ったコップを持った青塚がやって来た。


「ほらよ。水だ」


 青塚はコップを静歌の顔の前に置く。静歌はゆっくりと手を伸ばしてコップを持つと、震える手で口元に持って行く。


「あんたもこれで、魔女狩りに喧嘩吹っかけたらどうなるか、身を持って思い知ったわけだ」


 無様な静歌を見て、青塚は見下しの目でにやけて見せる。静歌は水を飲み終えて、手から力無くコップを放した。


 カランッ


 コップが床に落ちて転がる。青塚はそれを拾い上げて机に置くと、椅子に座って足を組んだ。


「なんで……」


 静歌がボソッ呟くように声をだし、青塚がそれに反応して静歌を見る。


「なんで…わたしを助けた…」


「まだ死にたくねぇって顔してるからな」


 青塚はそれだけ告げると、机に置いてある新聞を読み始めた。




 亮司は青塚と落ち合う場所である、B-3地区に向かっていた。そこに、後ろから美雨の蝶が飛んできて、亮司の横に並んだ。亮司はそのまま蝶と共にB-3に向かっていった。



 志乃達はおしゃべりやスイーツを満喫し、カフェから出た。


「パフェおいしかった~」


 志乃は満足そうに笑顔を向ける。


「ここいいわね…」


 瑞葉はスマホで場所と店を確認する。それを月音が横から覗きこむ。口には出さないが、後日光磨を連れてくるつもりだろう…と予想した。すると、瑞葉が月音を見てにやけた。


「月音もチェックしといた方がいいんじゃない?」


 月音はドキッとして一歩後ずさる。これでは迂闊に瑞葉をからかえない。ブーメランとなって自分に返ってくるだけだ。そんな月音の様子を見て、瑞葉は面白くて仕方がなかった。

 小蜜は腕時計を見る。既に15時半をまわっていた。


「あっ!もうこんな時間!わたし塾あるから帰るね!」


「こ、小蜜…!まだ賢くなろうっていうの!?次回のテストで私もう絶望するしかないじゃん」


 塾に行くと言う小蜜に、志乃はドキッとして苦い顔をする。志乃は何が目的かというと、次のテストで勝負したときに奢られることなのだ。


「志乃ちゃんファイトー!ばいばーい!」


 小蜜は他人事のように軽く応援し、手を振って帰っていった。4人も手を振って小蜜を見送った。


「私達もぼちぼち帰ろっか」


 見送り終わると、志乃はいい頃合いなので帰ることを提案する。


「そうね。私も洗濯物干しっぱなしだし」


「あっ!私今日食事当番だ!食材買わないと!月音、行きましょ!」


「うん…」


 4人はそこで解散し、美雨も志乃とその場で別れた。そして、一人浮かない顔で亮司のところへ向かった。

 一方、月音も瑞葉と帰っていたが、どこか腑に落ちない顔をしていた。そして


「ごめん瑞葉。ちょっと用事思い出したから、買い物一緒に行けない」


「あ、別にいいわよ。あんまり遅くならないでね」


「うん」


 月音はコクリと頷き、元来た道を戻っていった。


 美雨が亮司のところへ向かっていると、後ろから声をかけられた。


「美雨!」


 美雨は声に反応して振り向く――と、月音が息を切らして立っていた。


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