終わってしまったおはなしの
闇猫様主催のヤンデレ増殖!なお祭りです。
ノリと勢いのぶっつけ本番です。
よむなら 妹主観の私の追憶から読むことを推奨します。わけがわからなくなるかも?です
俺には一人、妹がいる。これがよくできた妹で、一族の中でも一番の天才だった。対して俺は一族きっての無能で何もできない凡人。
だから、俺が一族きっての天才の世話役に抜擢されたと聞いた時はとても驚いた。
その頃の俺はもう誰からも期待なんてされていなくて、でも少しは誰かに見て欲しくてとても努力していた。何も知らない人からは文武両道の完全無欠だなんて言われていたけれど。別にそんなんじゃなかった。別にわかってた。努力なんてしたって何も変わらないってこと。
そんな俺がはじめて妹にあったのは妹が多分一番よくできていた頃。返事はにこやかに笑って頷いて、じっとしていた、そんな頃。
妹は俺に向かってにこやかに、初めまして。と。それだけ言った。でも、間違いなく彼女は そんな無駄なこと良くできるね と、そう言葉少なにいっているような気がしてならなかった。
その予感は見事に的中していた。
妹は俺が今までに努力して積み上げてきたものを、まるでなんでもないかのように飛び越して行ったのだ。大した努力もせず、ただ そうあるのが正しい と言うように。
そして当たり前のように俺にこう言った。
「おにー様は凄いですね。こんなこと一生懸命出来るなんて」
妹は紛れもなく天才だった。けれど天才故に何もできなかった。一人では何もできなかったのだ。おそらく一人では生きていけないだろうと思わせるほどに。
だから、俺という世話役が抜擢されたのだ。
ーーーきっと×××××は俺がいないと生きていけない。×××××には、俺が必要で、だから……。
必要とされている、ということに酔って、相手の生殺与奪権を握っていることに優越感を覚えていた。
妹はよく俺に言った。
「おにー様おにー様。おにー様は好きにしてていいんだよ。別におにー様が誰を好きになろうと誰を愛そうと誰とどんなことしようと構わないよ。でもね。おにー様が、私のものじゃあなくなったら、許さないからね」
にこやかに俺に手を伸ばして、そういつも笑っていた。
妹は俺に依存していた。それが例えようもなく嬉しくて仕方がなかった。
けれど。
きっとそれは勘違いに過ぎなかった。
妹は十六歳になったら、結婚すると言い出したのだ。親が決めたものだ、と。いつものように笑っていた。
それって可笑しい。だって×××××は俺のじゃないか。
不意にそう思った。
その瞬間に、 本当に 依存していたのは俺の方だったんだと気付いた。妹に依存していたのは俺の方だった。
気付いた瞬間、俺は
「他の人のものになるなんて、許さない」
手に持っていたナイフを妹に向けていた。
「でも、俺にそんなこという権利なんてないから。………せめて×××××の心だけは俺に頂戴?」
そしてそのナイフで俺は俺の喉をつく。
妹が驚いた目をしたのがとても嬉しかった。今まで一度も見たことない。つまりこれは俺が初めて見たもの。
真っ赤な血が零れていくのにちらりと目を向けて、そして俺の意識は暗転した。
これで×××××の心は俺のもの。俺は×××××のものだから、しっかりと釣り合っているね。誰にも邪魔なんてさせないし邪魔何て出来る筈もない。
ねぇ、こうしたならば、ずっと俺のことを思ってくれるでしょう?
……このイベント、二つ投稿しちゃったけれど良かったのかな…?とか
ちょっと真剣に心配、です。