第六運命:翳りゆく炎
アンジャス視点
すべてはあの火事から始まったんだ。俺様たちの幸せをぶち壊し、絆を引き裂いたあの火事。そして皮肉なことに、俺様はその火に関連する能力を手に入れることになった。あの事故と別離から、一ヶ月が経った。他のみんなは別々の道を進んでいったが、俺様は「フォーゴ」というカフェでアルバイトをしていた。過去から目を逸らすために始めた仕事だったが、意外にもうまくいった。俺様はまた人生を楽しめるようになり、この仕事もかなり気に入っていた。
この仕事では、同じ場所に集まって語り合う、様々な境遇の人間に出会うことができる。俺様はカフェのウェイターとして働いているが、本当はシェフになりたいと思っている。だが、マネージャーにはその役目にはまだ若すぎると言われ、今はただのウェイターだ。少なくとも厨房には出入りできるし、そこでの様子を観察できる。それは俺様にとって魅力的な時間だった。特にシェフが使うフランベの技術には感銘を受けた。あんなに大きな炎を操って美味しい料理を作る姿を見るのは、本当に素晴らしいことだ。
ここの炎は、あの事故で仲間を焼き殺した火とは全く違う。あの火は荒れ狂い、制御不能だった。だが、シェフたちが使うのは穏やかで制御された炎だ。ここの炎は極めて正確に管理され、完璧なコントロールを見せつけている。もし俺様も同じように炎を操ることができていたら、あの事故を防げたかもしれない。あいつに犠牲を強いることもなかったはずだ。
アンジャス:「はぁ、あの事故のことを考えるのはもうやめだ」
アンジャス:「たとえ炎を操れたとしても、今さら何も変わりはしねぇ」
カフェでウェイターとして働いて一ヶ月ほど経つと、スタッフや常連客とも親しくなってきた。週に3、4回は店に来るジョナスという常連とも、いい友人になった。あいつはいつも違う女を連れてくるんだが、今日も例外じゃなかった。ジャーナリストのような女を連れて現れた。俺様が注文を届けた時、その女がトイレに立ったので、ジョナスと話す機会ができた。
アンジャス:「また新しい女か? この浮気者が!」
ジョナス:「ハハハ、よせよアンジャス。人生は一度きりなんだ、お前も楽しいと思うことをすべきだよ」
ジョナス:「特にお前はまだ若んだからな」
アンジャス:「楽しいことはしてきたさ。ただ貴様のように女と遊ぶことには興味がねぇんだよ」
ジョナス:「ん? じゃあ、他の女に興味がなくなるようなパートナーがもういるのか?」
アンジャス:「たとえいたとしても、貴様に教えるわけねぇだろ」
ジョナス:「おいおい、勘弁してくれよ。自分のダチからパートナーを奪うような真似はしないさ」
ジョナス:「いつか紹介してくれよな」
俺様はあいつの言葉には答えなかった。ジョナスが連れてきた女が戻ってくるのが見えたからだ。俺様は他の客への給仕に戻った。
数日後、俺様の非番の日に、ジョナスが遊びに行こうと誘って――というか、しつこく言ってきた。俺様は渋々付き合うことにした。ジョナスがあちこちの女に鼻の下を伸ばすのには時々イラついたが、結局は楽しい時間を過ごせた。だが、路地裏を歩いている時、目の前の穴に気づかず、そのまま真っ逆さまに落ちちまった。幸い穴は水で満たされていたので怪我はなかったが、その水はドロドロしていて油のような臭いがした。ジョナスの野郎、助けるどころか俺様の無様な姿を見て笑いやがった。
アンジャス:「貴様! 笑ってないで助けろ!」
ジョナス:「悪い悪い、大丈夫か?」
穴から引き上げられた後、ジョナスは俺様を家に招いて汚れを落とさせてくれた。俺様が落ちた水たまりは、どうやらオイル漏れか何かのようだった。ずぶ濡れなだけでなく、体はベタベタして酷い臭いがした。体を洗い終え、ジョナスが貸してくれた服を着ようとしたその時、俺様の体が突然炎に包まれた。妙なことに、熱さは全く感じなかったが、パニックになった俺様はすぐにジョナスを呼んだ。
アンジャス:「ジョナス! ジョナス!」
ジョナスがすぐにバスルームに駆け込んできたが、俺様の姿を見てあいつも絶句していた。
ジョナス:「何が起きたんだ?」
アンジャス:「知るか! 助けろ!」
ジョナスは慌ててバケツの水を汲んできて、俺様にぶっかけて火を消した。それから数日間、俺様の体は頻繁に自然発火したが、ジョナスがいつもそばにいて火を消してくれた。何が起きているのか分からず、俺様は事態を把握するために仕事を数日休んだ。幸い一週間後には、体から出る炎を制御できるようになり、仕事に戻ることができた。
職場に戻ると、マネージャーやスタッフがすぐに大丈夫かと聞いてきた。俺様は自分でも何が起きたのか完全には理解していなかったが、大丈夫だとなだめた。シフトが終わった後、俺様はあの落ちた路地裏に戻ってみたが、穴どころか路地裏そのものが見当たらなかった。まるで消えてしまったかのようだった。ジョナスにもその話をしたが、あいつもあの路地を見つけることはできなかったと言っていた。
一ヶ月が過ぎ、自分に何が起きたのかまだ完全には分からなかったが、俺様はこの能力を自分の一部として受け入れ始めていた。日々の生活に戻り、日常生活を助けるために炎の能力を使うことさえあった。今日、カフェで働いている時、近くで観覧車の事故があったと耳にした。好奇心に駆られ、俺様は見に行ってみることにした。そこで驚いたことに、取り残された人々を避難させる警察を手伝うアルタとアグスの姿を見つけた。
アグスは手を岩に変えて折れた支柱を支え、アルタはエンジンの修理をしていた。突然地震が起き、別の支柱が折れて観覧車がさらに傾き、アグスが必死に支えていた。さらに悪いことに、ボルトが近くの子供たちの群れに向かって落ち始めた。俺様は助けに行こうと駆け出したが、どこからともなくイナが突然現れ、子供たちの周りに透明な保護フィールドを展開して、落下するボルトから彼らを守った。その間、俺様は折れた支柱へと走り、アグスに叫んだ。
アンジャス:「アグス、もうちょっとだけ堪えろ!」
アグスは頷き、全身を岩の鎧で覆って観覧車を支えた。その隙に俺様は炎の能力を使って、折れた支柱を溶接した。溶接を終えると、アルタもようやくエンジンの修理を完了し、観覧車が再び動き出した。俺様たちは閉じ込められていた人々を速やかに避難させた。全員の安全が確認された後、アルタとアグスは俺様とイナをある建物に招いて話をしようとした。だが、何もしゃべらないうちに、テレビでザルゴに関する放送が流れた。外を見ると、すでにソウル・デバウラーたちが住民を襲い、取り憑いているのが見えた。
アルタが住民を助けようと飛び出そうとしたが、アグスがすぐにそれを止め、首を振った。
アグス:「もう遅いわ、アルタ」
アルタはアグスの手を振り払い、悔しさのあまり壁を殴った。その傍らで、イナと俺様はただ悲しみに暮れて俯くしかなかった。
アルタ:「クソッ!」
俺様もアルタと同じように挫折感を感じていた。ようやくこの能力を使って何かができると思った矢先に、その機会は一瞬で消え去った。炎を操る力を手に入れたというのに、俺様はまだ無力感の中にいる。悲しいかな、この炎はただの、「翳りゆく炎」だ。




