第二十五の運命:悪夢の魔術師
テトロン視点
すべてはあの火事から始まった……我が兄弟の一人を奪い去り、我らを幸せにするすべてのものを焼き尽くし、そして我の心に永遠に刻まれる恐ろしい記憶となったあの火事から。火事が起きてから一週間が経ったが、それ以来、我は己の弱さを突きつける悪夢に苛まれ続けておる。もし時を戻せるなら、もしあの火事の最中に何かできておれば、もし我が臆病者でなければ……。あるいは、運命を変え、あの悲劇を防ぐことができたのかもしれぬ。
あの火事は我ら全員の精神に甚大な影響を与え、他のみんなはすべてを忘れるためにこの地を去る決断をした。彼らが皆、目的を遂げ、いつの日か我がこの悪夢と後悔から解き放たれる日が来ることを願うばかりだ。我は幾人もの精神科医を訪ね、あらゆる手を尽くしたが、彼らはただ「辛抱強くあれ」と言うばかりで、この悪夢を癒やしてくれる者は一人もおらなんだ。
テトロン:「ふむ、この悪夢から逃れるために、我は他に何をなすべきなのだ……」
己の運命を憂い、沈んでいたその時、一通のパンフレットが突然我の元へ舞い込んできた。その内容を読み、我は一縷の望みをかけてみることにしたのだ。
パンフレットにはこう記されておった。「ルー=ハディア、安らぎを求める魂の安息地、すべての悪夢を克服する場所、そして後悔を償う二度目の機会を得る場所」。非常に怪しげであることは分かっておったが、当時の我は悪夢を消し去るためなら何にでも縋りたいほど絶望しておった。たとえ、忌まわしき記憶が真に消え去ることなどないと知っていながらもな。我はパンフレットに記された「ルー=ハディア」へと向かうことにした。だが、指定された住所に到着して目にしたのは、ひどく古びたアンティークの書店に過ぎなんだ。想像していた場所とはあまりにかけ離れており、我は少々落胆した。
店内に入ると、店の古色蒼然とした雰囲気には似つかわしくない、かなり若く見える店主が迎えてくれた。
店主:「いらっしゃいませ。何かお手伝いできることはありますか?」
我は持っていたパンフレットを店主に見せた。
テトロン:「この場所は、本当にこのパンフレットにあるルー=ハディアなのか?」
店主:「ええ、間違いありませんよ」
店主は微笑み、立ち上がった。
店主:「ところで……汝、魔法を信じますか?」
テトロン:「済まぬが、我は古い本には興味がないのだ」
妙な本を勧められる前に店を出ようとしたが、店主の次の一言に我は凍りついた。
店主:「私と一緒に来なさい、テトロン。ついて来れば、汝の悪夢に立ち向かうことができると約束しましょう」
テトロン:「待て、なぜ我が名を知っておる? それに、我が悪夢に苦しんでおることまで……」
店主はただ微笑むと、店内の奥へと続く回廊へ歩き出した。我が名を知る理由を突き止めるため、我には彼の後を追う以外の選択肢はなかった。
本棚が並ぶ狭い回廊を歩いておると、景色は突如として城の内部のような広大な広間へと変貌した。気づけば、店主の服装も魔術師のような装束に変わっておった。店主が歩みを進め、我らは城の外テラスへとたどり着いた。そこでは、彼と同じような装束を纏った多くの者たちが魔法の修行に励んでおったのだ。魔法、あるいは幻術の類か……実物を目の当たりにするのは初めてであり、我には判別がつかなんだ。
テトロン:「ここは、一体何なのだ?」
店主:「ルー=ハディアへようこそ」
店主は我にルー=ハディアについて語ってくれた。ここは精神的、心理的、あるいは肉体的な問題を抱えた者たちが、己の霊的エネルギー――一般に魔法と呼ばれるもの――を用いて、自らの苦難に正面から立ち向かうことを学ぶ場所なのだという。店主は名をヤハヤと名乗り、このルー=ハディアの師範の一人であると自己紹介した。そして、彼は我に問いかけた。ここで共に修行し悪夢と戦うか、あるいはすべてを拒絶して現実世界に戻り、恐怖に怯え続けるか、とな。
ヤハヤの申し出を受け入れ、修行を始めてから一ヶ月が過ぎた。ここで過ごす間、ヤハヤは我に頻繁な瞑想を求めた。体と心の平穏は、精神の平穏から始まるのだ、と。我は彼の教えに従い、時折魔法の練習も試みたが、他の門下生のように霊的エネルギーを放つことは未だにできずにおった。しかし、この地で修行を重ねるほどに、我の心は以前よりも確実に穏やかになっていくのを感じたのだ。悪夢も後悔も消えたわけではないが、かつてのように我を支配することはなくなっておった。
だが、瞑想を深め、より深く集中するようになるにつれ、我は奇妙なものを見るようになった。最初は霞んでおって記憶にも残らぬようなものだったが、時が経つにつれ、それらはより鮮明に、現実味を帯びて現れ始めたのだ。そしてある日、我はこの世界に混沌をもたらす悪魔の覚醒という幻視を見た。それを見た我はすぐさまヤハヤの元へ駆けつけ、すべてを伝えた。馬鹿げた妄想だと一蹴されるかと思ったが、ヤハヤは我の話を聞くや否や、一転して深刻で、どこか怯えを含んだ表情を浮かべたのだ。
幻視について話して以来、ヤハヤは我を直弟子とし、以前よりも厳しく、熾烈な修行を課すようになった。理由を問うても、彼はただ「汝は特別だからだ」とだけ言い、それ以上の説明はしてくれなんだ。そしてヤハヤの直弟子となって一ヶ月ほど経ったある日、巨大な地震が襲い、続いて恐ろしいオーラの爆発が起きた。なぜかその瞬間、我は悟ったのだ。我が見た幻視は真実となり、悪魔たちが蘇ったのだと。ヤハヤも同じ考えだったようで、彼や他の師範たち、そして上級生たちは戦いの準備を整えておった。ヤハヤは我を真剣な目で見つめた。
ヤハヤ:「テトロン、よく聞きなさい。この一ヶ月、汝を厳しく鍛えてきたのは、汝を私の後継者にするためなのです」
ヤハヤ:「私たちが覚醒した悪魔と戦いに行く間、汝にはこの場所を守ってほしい」
テトロン:「待て、なぜ我なのだ? 我も共に行き、悪魔と戦いたい!」
ヤハヤは微笑み、我の肩を優しく叩いた。
ヤハヤ:「以前も言ったはずです、汝は特別なのだと」
ヤハヤ:「そして、今が汝の戦うべき時ではありません」
ヤハヤ:「案じるな、汝の時は必ず来る。真に立ち向かうべき時が来たと感じるまで、ここで待つのです」
テトロン:「……承知した」
我はその命に従い、ヤハヤたちは悪魔と戦うために旅立った。だが悲しいかな、彼らが戻ってくることは二度となかった。我は瞑想を通じて彼らの身に何が起きたのかを探った。ヤハヤたちは敗北し、あろうことか悪魔に憑りつかれてしまったのだ。しかし、我が見たのはそれだけではなかった。中学時代の友人たちがチームを結成し、やがて我を仲間に加えるために迎えに来る光景が見えたのだ。それを見た瞬間、我は微笑んだ。未だ霞んでおる部分も多いが、我はヤハヤに託された通り、ルー=ハディアを守り続けると決めた。友たちが迎えに来るその日まで、「悪夢の魔術師」としてな。




