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第二十の運命:刺さない蜂

ファラ視点


すべてはあの火事から始まったの。何もかもを焼き尽くし、あたしたちの幸せを粉々に砕き、共に過ごした大切な時間をすべて飲み込んでしまったあの火事から。あの事故から一ヶ月が経って、何もかもが完全に変わってしまったわ。みんな、それぞれの安らぎを求めてバラバラの道へ行ってしまった。いつもそばにいてくれると思ってた親友たちまで、あたしの元を去ってしまったの。でも、誰も責めることはできないわ。あの火事はあたしたち全員の心に深いトラウマを残したんだもの。ファドリくんとはそんなに親しかったわけじゃないけれど、あの事故はあたしにとっても、本当に大きなショックだった。


今は、よくお花畑を歩いているの。あの事故以来、ここには何度も足を運んでいるわ。色とりどりの花の美しさを見て、その甘い香りを嗅いでいると、心がとっても落ち着くの。ちょうど咲きそうなバラを眺めていたら、一匹の蜂が飛んできたわ。あたし、正直に言うと蜂がちょっと苦手だから、さっきまで見ていたバラの花びらにその子が止まった時、思わず一歩後ずさりしちゃった。でも同時に、蜂のことを尊敬もしているの。花から蜜を集めて、たくさんの恩恵をあたしたちにくれる、この世界で数少ない「決して腐ることのない」蜂蜜を作り出すんだもの。


一週間後、あたしはアルバニアの首都ティラナにいたわ。とっても寒くて、でも平和な街。それだけじゃなくて、この国には色んな種類のお花や植物があるから、ここにいるとすごく居心地がいいの。この国の蜂蜜も食べてみたけれど、この土地の花のような独特な香りと風味がして、すごく気に入っちゃった。


前と同じように、あたしはこの街でもよくお花畑を訪れていたわ。蜂蜜トーストを食べながらお花の美しさを楽しんでいたら、気づかないうちに一匹の蜂が近づいてきていたの。気づいた時には、もうあたしが食べているパンのすぐそばにいたわ。あたしはパニックになって、慌てて蜂を追い払おうとしたけれど、その蜂は逃げるどころか、突然あたしの手を刺したの。

ファラ:「あいたっ!」

刺されたところがすごく痛くて、自分の体が急に縮んで、しかも全裸になっちゃったことにもすぐには気づかなかったわ。何も着ていないことに気づいて、あたしは慌てて体を隠したの。


さっきまで着ていた服や食べていたパンが、見上げるほど巨大に見えたわ。そして、あたしを刺した白い蜂の死骸も見えた。その蜂の体から白いスーツが落ちるのが見えて、あたしは急いでそれを拾って身に纏ったの。着てみて分かったけれど、このスーツ、蜂の頭みたいな形をしていて、背中には小さな羽までついている、ちょっと不思議なデザインだったわ。


それだけじゃないの。このスーツを着た瞬間、全身を何百匹もの蜂に刺されているような感覚に襲われたわ。さっきの白い蜂に刺された時ほど痛くはなかったけれど。その痛みが消えると、あたしの体は元の大きさに戻ったの。あたしは急いで普通の服を上から着たわ。その下には、さっきの不思議な服を着たままね。あたりを見渡したけれど、幸いお花畑には誰もいなくて、今起きたことを見られた人はいなかったわ。あたしは落ちたパンを拾いながら、安堵の溜息をついたの。

ファラ:「あぁ、よかった……」

あたしはお花畑を後にして、拾ったパンをゴミ箱に捨てるのを忘れなかったわ。


蜂に刺された事件から数週間が経って、あたしは自分の体を縮められる能力を手に入れたことに気づいたの。背中の羽も思い通りに動かせて、小さくなった時は空を飛ぶこともできるわ。それだけじゃなくて、小さくなった状態で拳に大きなエネルギーを集中させると、何百匹もの蜂に刺されたような、何倍もの威力があるパンチを繰り出せるの。この力を使えば、太い木の幹だって撃ち抜けるわ。残念なことに、普通の服は一緒に縮んでくれないから、あの蜂から手に入れた白いスーツをいつも服の下に着るようにしているの。それだけがあたしと一緒に縮んでくれるから。


ある日の午後、あたしは街を散策していたけれど、マヌケなことに油断しちゃって、誘拐犯のグループに捕まってしまったわ。彼らはあたしを縛り上げて、バンの中に押し込んだの。こんなことになるなんて、自分にがっかりして溜息が出ちゃった。でも、そんなにパニックにはならなかったわ。能力を使えば逃げられるし、あいつらを全員倒すことだってできるって分かってたから。ただ、反撃するために、彼らの隙ができる絶好のタイミングを待っていたの。


脱出の計画を立てていたその時、突然バンの目の前に巨大な足が現れたわ。バンは避ける暇もなく、その足に真っ正面から衝突したの。誘拐犯たちの注意が完全にそっちに逸れた隙に、あたしは体を縮めて縄を抜け、あいつらを「スティンガー・パンチ」で全員気絶させたわ。全員倒し終えた頃、誰かがバンのドアを開けてくれて、あたしは外へ飛び出したの。そこでドアを開けてくれた人を見て、あたしは本当にびっくりしちゃった。それはリスキくんだったから。ずっと片思いをしていたけれど、恥ずかしくて告白できなかった相手だったの。


リスキくんは、あたしのとそっくりなスーツを着ていたわ。彼のは青色で、蟻のデザインだったけれど。彼のスーツは、さっきバンを止めた巨大な足と同じものだったのね。

リスキ:「んー……助けに来た意味なかったみたいだな。あんた、一人でこいつら倒せたんじゃん」

あたしは小さく笑ったわ。

ファラ:「そんなことないよ。きみがバンを止めて、あいつらの気を引いてくれたから反撃できたんだもん。感謝してるよ」

あたしは思わず彼に抱きついたわ。正直、ずっと会いたかったから。リスキくんは抱きしめ返してくれて、優しく背中を撫でてくれたの。

リスキ:「また会えて嬉しいよ、ファラ」

ファラ:「あたしもまた会えて嬉しいよ、リスキ」

その後すぐに、話し込む間もなく遠くから警察のサイレンが聞こえてきたわ。あたしたちは急いで普通の服に着替えて、その場を離れたの。リスキくんが、カフェか公園でお話ししようって誘ってくれたから、あたしは喜んでオッケーしたわ。あたしたちは近くのカフェを探し始めたの。


誘拐事件から一ヶ月くらい経って、あたしたちは今、アルバニアの山にある街に向かっているところよ。リスキくんと話して分かったけれど、彼も能力を手に入れた時にあたしとほぼ同じ経験をしたみたい。違いは、彼が青い蟻に噛まれて、その蟻の背中にスーツがあったこと。彼が手に入れた力も、あたしのとは少し違っていたわ。あたしみたいに体を縮めるだけじゃなくて、巨人みたいに巨大化することもできるのね。


あたしの能力を知って、リスキくんはすぐに「パートナーになってほしい」って誘ってくれたわ。それを聞いた時、あたしはすごく嬉しくて、すぐに返事をしたの。それ以来、どこへ行くにもあたしたちは一緒。能力を使って人を助けたり、誘拐犯や強盗を退治したり、時にはただ遊ぶために力を使ったりもしているわ。さっき言った街へ続くトンネルの中にいた時、突然大きな地震が起きて、それと一緒に恐ろしいオーラが爆発したの。あたしたちはトンネルが崩れるのが怖くて、すぐに体を小さくしたわ。幸い、何も起きなかったけれど。


でも、トンネルを出た途端、街の上空を数え切れないほどの恐ろしいクリーチャーが飛び回って、住民を襲っているのが見えたわ。襲われた住民がみんな凶暴化して、他の人に襲いかかっているのも。それを見たリスキくんとあたしは頷き合って、すぐに人々を助けるために駆け出したわ。助けられるかどうかは分からないけれど、せめてやるだけのことはしなきゃ。たとえあたしたちの助けがどれほど小さなものだったとしても。結局のところ、「刺さない蜂」を絶対に甘く見ないことね。

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