第二の運命:囚われの巨女
コリ視点
すべてはあの火事から始まったんだ。何もかもを破壊し、仲間の命を奪い、そしてあたしの親友をボロボロにしたあの火事。あの事故から一ヶ月ほどが経つけれど、あたしは今でも自分の行動を後悔してる。あたしは自分の体の一部を巨大化させる力を持ってる。なのに、その能力を使って火事から親友を救い出す代わりに、あたしはためらって、何もせずにバカみたいに突っ立ってただけ。全部が目の前で起きてるのを、ただ見てるだけだった。親友を炎の中に閉じ込めさせて、アズイマを助けるためにファドリに命を懸けさせちゃったんだ。カフェの屋根が崩れ落ちた時、それを支えようとさえしなかった。そのせいでファドリは中に閉じ込められた。
アズイマは今でも自分のことを責めてるはず。あたしもそうだから。彼女を慰めたかったけれど、あの事故の後、みんなバラバラの道へ行ってしまったし、アズイマがどこへ行ったのかも分からない。みんなと違って、あたしはまだ後悔の中にいて、前に進めないでいる。だからあたしは、もう二度とためらわないって誓ったんだ。どこへ行くことになっても、自分の力を使って人を助けるって約束した。木から猫を助けるみたいな小さなことでも、どんな助けが必要でも、困ってる人がいればあたしは必ずそこにいるって。
旅の途中で、あたしは「千の塔の街」として知られるカイロに辿り着いた。街に着いてすぐ、数人の子供たちが野犬の群れに襲われそうになっているのを見つけたんだ。あたしはすぐに手を巨大化させて野犬を追い払い、子供たちが無事なうちに野犬を倒すことができた。けれど、その途中で犬に引っかかれて服がボロボロになっちゃった。野犬を追い払った後、子供たちの両親が駆けつけてきて、子供たちを守ってくれたお礼を言われたよ。彼らはあたしを家に招待してくれて、美味しいカイロの伝統料理をご馳走してくれたんだ。
助けた子供の母親の一人が、犬との戦いでボロボロになったあたしの服に気づいた。
母親:「着替えは持ってるの? そんな破れたドレスで外を歩くわけにはいかないわ」
コリ:「ううん、持ってるのはこれだけ。後で道中で何か買うつもり」
母親:「ここで待ってて」
服のダメージについて話すと、お母さんは家の中に入っていって、一着の服を持って戻ってきた。そしてそれをあたしに手渡したんだ。
母親:「ほら、これを持ってって」
母親:「あなたのドレスみたいに可愛くはないけれど、少なくとも今よりは動きやすくなるはずよ」
渡された服を見ると、それは青いタクティカルスーツだった。
コリ:「マジでいいの、おばさん?」
母親:「ええ、持っていきなさい。お風呂場で着替えていいわよ」
母親:「あと、私のことはアイシャって呼んで」
アイシャは着替えるためにお風呂場を貸してくれた。
アイシャ:「どう、サイズは?」
コリ:「ぴったりだよ」
着替え終わって食事も済ませた後、あたしはアイシャやみんなに別れを告げて旅を続けることにした。
コリ:「改めて、みんなありがとう。ご飯も、それからアイシャ、この服も本当にありがとう」
アイシャ:「いいえ、お礼を言うのはこちらよ。子供たちを救ってくれてありがとう」
コリ:「気にしないで」
アイシャ:「これからどこへ行くの?」
コリ:「まだ決めてない。でも、いつかまた会えたらいいな」
コリ:「みんな、バイバイ」
アイシャ:「さようなら、アムラカ。あなたの無事を祈ってるわ」
コリ:「アムラカ?」
アイシャ:「『巨女』っていう意味よ」
カイロを発ってから数週間後、あたしはフェルファルという街に着いた。けれど、到着してすぐに大きな爆発音が聞こえて、見に行ってみると工場が火事になっていた。爆発は工場から起きたみたいだった。地元の人が言うには、まだ数人の作業員が工場の中に閉じ込められているらしい。それを聞いた瞬間、あたしは前の事故のことを思い出して、これは自分を埋め合わせるための二度目のチャンスなんだって感じた。今度は絶対にためらわないって決めて、あたしは閉じ込められた作業員を助けるために工場の中へ走った。
工場の中で、大きな鉄の棒の下敷きになっている作業員たちを見つけた。あたしはすぐに手を巨大化させて鉄棒を持ち上げ、立っている作業員たちに他のみんなを救い出すのを手伝ってって頼んだ。彼らはすぐに閉じ込められていた仲間を安全な場所へ運び出し、あたしは他に誰もいないか探し続けた。中に誰もいないことを確認して、崩壊する寸前に工場を出たんだ。生き残った人たちが家族と抱き合っているのを見て、あたしは思わず微笑んだ。
コリ:『これが過去を変えるわけじゃないけれど、少なくとも後悔を埋め合わせて、誓いを果たすことはできる』
数分後に警察が到着したけれど、安心するどころか、住民たちがすごく怯えていることに気づいた。驚いたことに、警察はあたしが助け出した作業員たちを即座に逮捕して手錠をかけたんだ。
コリ:「一体何やってんのよ!」
あたしはすぐに警察に怒鳴り、食ってかかった。
警察:「あいつらは工場の中で死ぬはずだったんだ。だがお前が助けやがったせいで、俺たちの楽しみが台無しだ」
住民たちがあたしを止めようとしたけれど、あたしは警察に言い返し続けた。
コリ:「はあ? 楽しみ? 人の命は遊びじゃないんだよ!」
コリ:「彼らを。今すぐ。放しなさい!」
あたしは手を巨大化させて、逮捕された住民を解放するように警察を威嚇した。けれど、奴らはすぐに作業員たちの頭に銃を突きつけたんだ。
警察:「そこまでだ! 動けばこいつらの頭を吹き飛ばすぞ」
警察:「お前が何者かは知ってるぞ、『巨女』。どこへ行ってもお節介を焼くんだってな」
警察は反吐が出るような顔であたしを見た。
警察:「クソ忌々しい女だ」
警察:「だから、お前も逮捕してやる」
彼らが住民を人質に取っていたから、あたしは何もできずに手錠をかけられた。
コリ:「あんたたち、本当に腐ってるね」
警察はあたしたちを刑務所へ連れて行った。そして、あたしは厳重な警備が敷かれた隔離独房に閉じ込められたんだ。
投獄されてから一ヶ月が経って、あたしはもうボロボロ。脱走しようとするたびに、警察は住民を人質に取ってあたしを屈服させた。ある日、凄まじい地震が起きて、その後に恐ろしいオーラが漂ってきた。それから間もなく、刑務所の外から混乱した物音や銃声、そして狂ったような笑い声が聞こえてきたんだ。あたしは独房の近くにいた看守を呼ぼうとしたけれど、最悪なことに、その看守も狂ったように笑っていた。
コリ:「おい! 外で何が起きてるの?」
けれど悲しいことに、看守はあたしに怒鳴り散らすだけだった。
看守:「黙れ、アマ! お前には関係のないことだ。大人しく中で黙ってろ」
看守:「あんたはただの、『囚われの巨女』なんだよ」




