第十四の運命:途方に暮れる動物学者
エリアス視点
すべてはあの火事から始まったんだ……。何もかもを飲み込み、俺たちの幸せをぶち壊し、出所も分からねぇ癖にすべてを終わらせちまったあの火事。あの事故から一ヶ月が経って、何もかもが完全に変わっちまった。俺たちの誰もが、もう幸せを見つけられねぇ。喜びは全部、あの火事と一緒に消えちまったみたいだ。だから、俺たちはみんなバラバラの道へ行くことに決めたんだろうな。たとえあの火事のトラウマから本当に逃れることはできねぇとしても、自分を落ち着かせるために。これからのことを考えるために、一人になる時間が必要だったんだ。
俺は街の動物園に行くことにした。子供の頃から動物が大好きだったし、俺の夢は親父みたいな動物学者になることだからな。親父はすげぇ動物のエキスパートなんだ。本当は、野生の生息地で直接動物の研究をしたいんだが、今の俺にはまだその準備ができてねぇ気がする。特に、あのトラウマがまだ俺の中にこびり付いてるからな。森の中やそんな場所に行っても、集中できるとは思えねぇ。それに、旅をするための装備も資金もねぇし、ましてや研究なんて到底無理だ。
数週間が過ぎて、どういうわけか、日が経つごとに自分の体が弱っていくのを感じ始めた。それだけじゃねぇ、時々急に目眩がしたり、理由もなく咳き込んだりするようになったんだ。俺のことをすげぇ心配した親父は、医者に行けって勧めてくれたが、俺は断った。俺自身も見たことがねぇ新しい動物の研究で忙しい親父に、迷惑をかけたくなかったんだ。親父が調べていたのは猿だったんだが、そいつは全身の毛が深い緑色をしていて、俺が知ってるどんな種類の猿とも全然違っていた。
けど、いつまでも大丈夫なフリは続けられなかった。ある日、家に帰った直後に、俺は突然ぶっ倒れて意識を失っちまったんだ。意識が戻った時、俺はもう病院のベッドの上で弱り切って横たわってて、両親が俺の傍で泣いてるのが見えた。二人は、俺が治すのがすげぇ難しい病気にかかったって教えてくれた。それから、俺にはもうあまり時間が残されてねぇって……。最初は、それを聞いてすげぇショックだったけど、そのうち二人と一緒に泣き始めちまった。自分の人生がこんなに短いなんて、思いもしなかった。
お袋と同じように、俺もすぐに運命を受け入れた。けど、親父の目を見た時、まだ諦めてねぇのが分かったんだ。それから、入院して一週間くらい経った頃だ。その一週間、ほとんど見舞いに来なかった親父が、身なりもボロボロで、死ぬほど疲れ切った様子で突然病室に現れた。けど、親父の顔には大きな笑みが浮かんでた。親父は、俺を治す方法を見つけたって言って、緑色の液体が入った注射器を俺に見せたんだ。親父は俺に自分を信じろって言って、その緑色の液体を俺の腕に注射した。
あれから数週間が経った。驚いたことに、俺は完全に回復したんだ。それどころか、前よりもずっと健康になった気がする。それだけじゃねぇ、特定の動物のことを考えると、自分の体の一部を動物に変えられるっていうユニークな能力まで手に入れたんだ。動物の体の構造さえ理解してりゃ、全身その動物に変わることだってできる。鳥になれば空を飛べるし、魚になれば水の中で息ができる。変身した動物の身体能力もそのまま受け継げるんだ。けど、副作用もあった。俺の髪と目の色が、親父が注射したあの液体と同じ深い緑色になっちまったんだ。おまけに、俺が変身する動物も、全部決まって緑色になっちまう。
俺は手に入れた能力と、髪や目の色の変化について両親に話した。親父は、俺に注射したあの液体には、研究していたあの緑色の猿のDNAが入ってたんだって説明してくれた。あの液体を使って俺の遺伝子を変異させて、体が病気に打ち勝てるようにしたんだって。
イサク:「もう遅すぎるのは分かっている……だが、許してくれ」
イサク:「お前を救うには、これしか方法がなかったんだ」
親父は俺とお袋に全部話した後、泣きながら俺に謝った。
俺とお袋はすぐに親父を抱きしめて、お礼を言った。
エリアス:「いや、謝らないでくれ、親父。怒ってなんてねぇよ。それどころか、助けてくれてありがとうって言いたいんだ」
エリアス:「ありがとう、親父、お袋。二人とも大好きだぜ」
抱き合った後、俺は親父に遺伝子を元に戻せるかって聞いてみたが、親父は首を横に振った。研究していたあの緑色の猿も、俺を救うためにすべてのエネルギーを使い果たして、死んじまったらしい。
エリアス:「だったら、あの猿がどこにいるか知ってるか? 俺、あいつの研究をして、せめて髪と目の色だけでも元に戻す方法を探したいんだ」
イサク:「あの猿の生息地はアマゾンの熱帯雨林だ。だが、極めて珍しい種だから、あんな緑色の猿をまた見つけるのは、野生でも至難の業だろうな」
エリアス:「だったら親父、俺、アマゾンに行ってあの猿を探してみてもいいか?」
イサク:「一人でか? 本気か? アマゾンのジャングルはすげぇ危険だぞ」
エリアス:「本気だよ、親父。俺の夢は、子供の頃からずっと親父みたいな動物学者になることだったろ」
エリアス:「それに、この新しい能力があれば、自分の身はしっかり守れると思うんだ」
イサク:「……分かった、いいだろう」
親父はアマゾンの熱帯雨林の地図を俺にくれた。
イサク:「気をつけろよ。自分の体を大切にするんだぞ」
エリアス:「ああ、ありがとう、親父」
最初は、お袋が別れを告げる時に反対してたけど、俺と親父が説得して、最後には行くのを許してくれた。
それから約一ヶ月。アマゾンであの緑色の猿の手がかりは、未だに一つも見つけられてねぇ。親父が地図に印をつけた場所を片っ端から探してみたんだけどな。けど、少なくとも、変身能力を使いこなすのはかなり上手くなったぜ。このアマゾンの森じゃ、他の動物が近寄ってこねぇように、よく野生動物に変身してるんだ。そのおかげで、動物の言葉もペラペラになってきたし、このジャングルのあらゆる動物たちと意思疎通ができるようになった。時々、あいつらと一緒に遊んだり、緑色の猿の居場所について手がかりがないか協力してもらったりもしてる。
今は、森の真ん中に張ったテントの中で、何匹かの動物が楽しそうに遊んでるのを眺めながら、親父にもらった地図を読み返してるところだ。
エリアス:「はぁ……この森を隅々まで探したのに、なんであの緑色の猿は見つからねぇんだ……」
他に手がかりがねぇか頭を抱えてたその時、突然大きな地震が起きて、それと一緒に、とんでもなく恐ろしいオーラが湧き上がるのを感じた。さっきまで楽しそうに遊んでた周りの動物たちは、そのオーラを感じた瞬間に、恐怖で蜘蛛の子を散らすように逃げていっちまった。
エリアス:「一体何が起きてやがるんだ?」
混乱しながらも、地震が収まった後に何が起きたのか確かめようと、ラジオをつけてみた。放送から聞こえてきたのは、「悪魔が目覚めた」っていう一言だけで、その後ラジオは完全に沈黙しちまった。もう何が起きてるのかさっぱり分からねぇ。探してる緑色の猿は見つからねぇし、今度は悪魔が復活だって? 勘弁してくれよ、俺はただの、「途方に暮れる動物学者」なんだぜ。




