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『日本改造計画』

『日本改造計画外伝』その拾壱<産業構造改革>

作者: 桃太郎

「ここらで、そろそろ社会構造改革に着手しようと思う。緊縮財政派の官僚、就職氷河期世代を作った犯人、天下り元官僚など多くの悪を無期懲役にしました。

 邪魔者を排除した所で、社会構造そのものを改革しましょう。」

「具体的には、どうするのです。総統。」

「必要なのは、企業と言う組織にあらず。人材ですよ。総理。」

「確かに、人が無ければ、組織は動かない。逆は、あり得ない、ですね。総統。」

「その通り。時に聞いたことありませんかね。『始業時間の五分前に出勤する事。』」

「あぁ……言われてみれば、そうです。確かに聞きました。」

「ですが、それは昭和の話。平成では異常。令和では違法となっていますよ、」

「違法……あぁ、そうでした。『一週間について四十時間を超えててはならない。』

 『一日について八時間を超えてはならない。』とありました。」

「労働基準法の三十二条ですね。実の所言えば、昭和二十二年時点で一日八時間でした。

 故に、一秒でも超過すれば、残業代を請求する権利が発生しました。労働者にはね。

 更に言えば、残業支払いは、三十分単位なので、二十九分五十九秒は、支払わない。

 と言う内部規定も違法です。ご存じですよね。総理。」

「勿論、存じておりますとも。で、それが改革とどう繋がるのでしょう。総統。」

「ですが、そんな事で一々訴訟を起こす社員は、査定や昇進で不利に働きます。結果、『訴えない事が美徳である。』と言う労働者の善意に甘えていたとも言えます。

 それが、昭和の常識でした。」

「成程、確かに仰る通り。『昭和の常識』でしたね。総統。」

「しかし、そんな苦労をしてまで出世しても責任十倍、仕事十倍、給与は増えない。

 こんな状況で、誰が昇進を望みますか。かつては、家族を養う為、昇進昇給を目指す。

 そう言う『社会構造』が常識でした。いわゆる『人材を大事にする』とも言いました。」

「成程、確かに仰る通り。すると、時計の針を戻すおつもりですか。総統。」

「それが、今では『五分前出勤』は、違法と訴え、残業代を秒単位で請求。更に、『五分前出勤』を命じた上司もパワーハラスメントで訴える。当然、弁護士費用や裁判費用も上司に支払わせた上で、賠償金をもせしめる。この方が、遥かに実入りがよい。

 『戦とは人馬一体』とはよく言ったもの。労使間の対立を煽ってどうするのです。

 これが、現在行われている『働き方改革』ですよ。総理。」

「何と言うか……凄まじいですね。」

「そんな『社会』に誰がした。永田町と霞が関でしょう。まったくもって度し難い。

 そこで、国営企業は、労働者、人材を大切にします。

 よって、最低賃金に肉体労働割増しを五割加算します。

 また、製造業と言えば、最も人手が必要な業種ですよ。

 にもかかわらず、十三万人リストラした馬鹿がいましたね。

 過去五年に遡ってリストラした会社は、社長に減俸八割二十年、役員は減俸七割二十年。

 更にリストラした人数に応じて罰金あり。一人当たり一万円。

 また、今年リストラされた全員を国営企業で雇用。

 年俸は、社会人経験年数を目安に個人の職経歴で決めます。社会人経験年数が、

 一年未満は百五十万円、一年以上は百六十万円、以降一年毎に十万円加算、

 三十五年以上は五百万円としましょう。

 つまり、国営企業は『終身雇用』『年功序列』『福利厚生』を最優先化します。」

「成程……良く分かりました。で、本題にはいつ突入するのです。総統。」

「そうですね。頃合いですし、本題に入りましょう。本題は、二つあります。

 一つ、人材派遣会社は、無用の長物を通り越して害悪。全て潰す。

 一つ、インターネットカフェは、無用の長物を通り越して害悪。全て潰す。」

「それならば、無用の長物を通り越して害悪である根拠からお願いしますよ。総統。」

「まず、人材派遣会社は、中抜きで儲け過ぎです。このせいで人件費が安くならない。

 更に、労働者に適正な報酬が支払われていない。理不尽を体現しています。

 次に、インターネットカフェは、『安い宿泊施設』と化しています。このせいで、

 浮浪者ホームレスの一つ前段階……予備軍を形成しています。」

「ネカフェ難民ですか。ホームレス同様、確かに問題ですね。如何致します? 総統。」

「まず、中小零細の人材派遣会社を数件買収。組織とデータベースを統廃合します。」

「データベース? 何のデータベースです。総統。」

「そもそも人材派遣会社とは、労働者と企業とを相互紹介マッチングする企業です。

 この際に、企業から紹介料と称して金銭を受理し、中抜きして労働者に渡しています。

 そして、相互紹介するには、労働者の情報を『管理』する必要があります。

 いわく、居住地域(最寄り駅)、年齢、職歴、資格、希望条件などですね。」

「成程……そういう事ですか。データベースで一元管理ですね。総統。」

「で、具体案の続きです。組織とデータベースを統廃合したら、新会社を設立。

 新会社は、国営ですので企業からは安く、労働者には高い報酬を分配します。

 赤字分は、税金と国債で補填。そうすれば人材派遣会社等、自然消滅します。

 破産申請してきたら、即座に受理して組織とデータベースを統廃合します。

 全ての人材派遣会社が潰れた所で、法律で人材派遣会社を禁止します。

 労働者は、国で一元管理。労働力が必要な企業に派遣。但し、教育は全て企業責任。

 更に、法律で人材派遣会社を禁止後に派遣料を大幅に値上げします。

 こうすれば、直接雇用した方が安上り。正社員化も続々進行する事でしょう。」

「成程……しかし、『引き抜き』は如何に対処します。総統。」

「全面許可。必要な人材ならば、金の草鞋を履いてでも手に入れるべし。常識です。」

「成程……では、ネカフェ難民とホームレス問題は、如何致します? 総統。」

「まず、宿泊施設としての使用を禁止。具体的には、宿泊施設の許可を出さない事。

 一般の飲食店同様、20:00から翌朝06:00まで営業休止、清掃させます。

 更に過疎自治体の国有地に仮設住宅を作り、移住させるのです。まさに一石二鳥。」

「成程……過疎地の人口増加も見据えると。しかし、仕事はどうするのです。総統。」

「仮設住宅建設そのものが、彼らに職を与えるのですよ。勿論、それは一時凌ぎ。

 ですが、過疎地の人口増加を、ビジネスチャンスと捉える事は。経営者の資質。

 一例を挙げると、ショッピングモール、工場、配送センター、鉄道、バス。

 広い土地と増えた人口を必要とするビジネスチャンスは、幾らでもあります。」

「成程……では、次の経産省との打ち合わせは、この様に計らいます。総統。」

「最後に、議員は、一日十二時間労働。公務員は、一日十五時間労働。とします。

 公務員は、月水金働く者、火木土働く者、日曜に働く者と三倍雇います。

 これで、朝7時から昼休憩含めて23時まで役所を開ける事が可能になります。

 すると、月水金働く者は、週45時間労働、最低賃金で月収約二十万円。

 火木土は、やや多いですが、むしろ、行政サービスも向上しする事でしょう。

 では、特に質問がないのであれば、この辺でお開きにしましょう。装置。」

 この後、挨拶を経て会議は、お開きろなった。


<END>


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