表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ショートショート 夢で泳ぐ〜バブリーガール2〜

作者: 美玲

皆さん、お久しぶりです!

私は石田良子です。

お元気にしてましたか?

私はお陰様でとっても元気ですよ!


新居に引っ越して数ヶ月経ちました。

新築のマンションで、前のアパートに比べるとちょっと手狭でけどで、設備も整っていて、何よりとてもきれい。


前に私の話を聞いたことがある人だったら、わかるかしら?

そうです!

前回私には喫緊の、ちょっとした困ったことがあったんだけど、何とか無事にその問題を解決することができて、今に至っています。


どうやってその問題を解決したかって?


あはは!

とっても簡単!

すべて回収したの!

お庭から床下収納、押し入れまで、全部!


ちょうどね、お花屋さんで、きれいなお花があったから、苗を買ってきて植えたの。

前にも言ったけど、全然そういうのうまくいかないんだけど、懲りずにまた苗木を買ってきて……。

で、それを植える代わりに、赤ちゃんたちの骨を回収したの。


ちゃんとあったわ。

骨……。

とっても小さくて可愛らしい骨。


お隣さんにバレないか心配だったけど、両隣のおじさんたちは、あっ!おじさんとか言って失礼よね!

私も十分おばさんなのに!

でも、その人たち私よりも年上だから、許して!


両隣のおじさんたちはどちらも夜働いて朝帰ってくるの。

だから昼はカーテン閉め切って寝てるから安全なの。

そもそもおじさんたち、庭なんて興味もないのよ。

だから庭で作業してても、誰に見つかることもなく、余裕で赤ちゃんたちの骨を回収できたの。


持つべきは、情緒も風情も関心もない、無害なおじさん!


それで床下収納に埋めた男たちはどうだったかと言うと……

まどろっこしいから結論から言うと——こちらもちゃんとした骨!


さすがにね、床下収納の開けるのはちょっと勇気がいったんだけど、でも、もう何十年も経ってるから大丈夫よねって、開けてみたの。

そしたら、こちらもまた見事に骨になっていて——うん、問題なし!


押し入れの中の子の骨も回収して……何十年ぶりかに、全員集合!

部屋中に骨並べて、魅入っちゃったわ!

それでね、家族団欒、愛した人たちの骨を眺めながらお茶したの。

アールグレイ……

とっても美味しかった……


それで、改めて私の家族は何人なのかなって数えてみたの。

全部数えたら男が三人、赤ちゃんが四人。

私、男は二人だと思ってたんだけど、見たら頭蓋骨が三つあるのよね。、確か二人だと記憶してたんだけど……。

不思議よねぇ。

まぁ、いっか、別に。

もう昔のことだから、二人も三人も同じよね!


でも赤ちゃんはね、四人だっていうのは覚えてるの、愛しい我が子のだもの。

行きずりの男とは訳が違うわ。

ただ、その愛しい我が子も誰の子なんだか分からないのが残念。


当時の私、毎日のようにいろんな男と寝てたから、ホント、誰の子だかわからないのよね。

ごめんなさいね、我が子よ!

だらしのないお母さんで!


でも後悔はしてないわ。

だって楽しかったんだもん、シリアナトーキョー!

シリアナトーキョーで知り合った男たちとのワンナイトラブは私の青春そのもの、人生そのものだったわ!

思い出すだけで、今でも体がウズウズしちゃう!


えっ? そんなんで、よく子供産んだわねって?

確かにそうよね。

そう思うのも当然よね。

でもこれも答えは簡単。

私ね、昔から子供産みたいな、子供産んでみたいなって思ってたの。

だから産んだの。

だって出産って、なんだかんだ言ったって女性だけにしかできなでしょ。

だから一度は産んでみたかったのよね。

まぁ結論から言うと、四回出産したってことなんだけど。


じゃあ、なんで殺したかって?

それも簡単。

私ね、子供を産みたいとは思ったけど、子供を育てたいと思ったことはなかったの。

だからね、子供達にはお父さんのところに行ってもらったの。

そのほうが子供たちも寂しくないでしょ!

ふふっ、私って、なんて子供思いのいい母親なのかしら!


えっ、なに?

どうして男たちを殺したかって?

あぁ、それ、いまそれ必要?

まぁ、いいわ、教えてあげる!

たいしたことないのよ。


一人目はやってる最中にやたら噛む奴がいて、それが痛くて痛くてね、我慢できないくらい痛かったの。

だからそいつの首に喰らいついて、喉元噛み切ってやったわ。


人が全力で腰振ってるってのに、ところかまわず噛んでさ、痛いって言ってんのにやめないの!

そういうのってどうなのかしら?

やめろって言ったらやめなきゃダメよね。


二人目は、確か、事後にいきなり鞄からカメラを取り出して、私が力尽きて全開で股開いてるところ、撮りだしたのよ!


なんて破廉恥な!

だからそのカメラを奪い取って、そのカメラで殴り殺してやったわ!

あまりにも殴ったもんだから、カメラが壊れちゃって。

カメラには悪いことしたわ。


それで最後の三人目は……。

なんだったかしら?

あはは、ごめんなさいね。

そもそも、ずっと二人だと思っていたから、サッパリ覚えていないわ!

でも、私が嫌だなと思うことをしたんでしょ、そいつ。


えっ? あっ、三人目はもしかして結婚を約束した男じゃないかって?

違う、違う!

それはないわ!

確かにその人とは結婚できなかったけど、後腐れなくに別れたのよ。

それにその人殺したりなんかしたら、私すぐに捕まっちゃうじゃない!

そうでしょう?

私たちが付き合ってるの、周りの人たち知ってたから、そんな人が行方知れずになったら、間違いなく私、第一容疑者になっちゃうじゃない!

ダメダメ!

そんな足がつくような、浅はかなことしちゃダメ!


ふふっ、私が殺した男たちは、あくまでその場限りの関係よ。


あの当時は、今みたいに至る所に監視カメラがあったわけじゃないし、

まして住宅街に監視カメラなんてねぇ……。

だから夜中に男たちが私のアパートに来ても意外と分からないのよ。

それが今は監視カメラもあちこちあるし、スマホでなんでも撮り放題。

ホント、あの時代が懐かしいわ!

踊るのもヤルのも、殺すものいい時代だった!


あぁ、久しぶりにこんなに長く喋ったから、喉が渇いてちゃった。

今日はこの辺にしておこうかしら。

長々と私のつまらない話を聞いてくれた皆さん、どうもありがとう!

あっ、そうそう!

実は、一難去ってまた一難。

新たな困りごとがあるんです!

あはは、もうわかってるって?


そうです!

家族の骨の処分どうしようかなってことです!

引っ越しの時に段ボールに入れて、この新居に持ってきたんだけど、どうしたものかと思って……。

このまま、ずっと一緒にいてもいいんだけど……。

まぁ、これは喫緊の問題ではないので、ゆっくり考えようかなと思ってます。


さぁ、いい加減これくらいにしておきましょう。

私は今から家族の様子を見ながら、アールグレイでもいただいて、のんびり過ごしたいと思います。


それでは、皆さん、ごきげんよう!

次、お会いするかはわからないけど、それまでどうかお元気で!









読んでいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ