魔法研究部、活動記録。
ここは、北海道の田舎の町─
そこに、町に1つしかない中学校に通う、1人のオタク娘がいた。
コンコンコン
「失礼します、2年B組高橋璃子です、池山先生に用があって来ました。」
そう言い、職員室に入り言う少女は、整えられたボブで紺色の髪に、惹き付けられるようなピンク色の瞳。綺麗に整えられたセーラー服を着た一般的な生徒である。
だが、その頭には、大きな魔女帽子を被っていた─
「おい、高橋!学校にその変な帽子被って来るなって、いつも言ってるだろ?さっさと取れ」
「はぁ、この帽子は取れないねぇ、これが私の個性だからさっ」
厨二病である─
「おい、廃部にするぞ」
呆れた様な口で言う先生。
「あぁ〜待って待って!ごめんなさい、取りますから!廃部だけは、ご勘弁おぉ」
突然焦ってそう言いながら帽子を取るのは、魔法研究部、『部長。高橋璃子だ。』
彼女が、2年生で、部長をやっている理由は...部員が...1人しかいないからである。
「失礼しましたー」
そう言い、職員室を出た璃子は、魔法研究部室。と書かれた、小さな部屋に長机1つと、周りに本棚が置かれた部室に魔女帽子を置いて、2B教室へと少し駆け足で向かった。
「おはよー」
璃子は、たまに厨二病を出してしまうだけで、友達は多くいるようだ。
「え!それ宿題なのぉ?!」
その後も、友達と喋りながら宿題をやり、HRが終わった。そして、ごく普通の授業を寝ながら聞き、授業は終了。璃子は、魔法研究部室へ向かう。
「ふぅ、やっぱりここが1番良いねぇ〜.....やりますか!」
そう言って璃子が、長机と、その下に敷いてあった絨毯をよける。
そこには、大きな魔法陣のようなものがかいてあった。そして、璃子は慣れたような手つきで、魔法陣の真ん中に立ち、呪文を唱える。魔法陣から青緑の光が発せられる。
「あ、え?」
先程とは、裏腹にとても焦った様子を見せる璃子。
「ここって、い、異世界ぃぃ?!」
「え、待って待ってまじで?!成功しちゃったよ!私の魔法!やっぱりねぇ〜この天才な私が2年間も研究したら、魔法なんて出来ちゃうんたよねぇ〜!」
璃子の2年間の成果が実り、璃子の異世界転移が成功した。
「『魔法研究部、活動記録①異世界転移完了!』っと!」
小さな手帳に初めての活動記録を書き込む。
そうやって、浮かれた足で、街へと向かう。
「おぉ〜!やばいやばい!スゴすぎ!アニメで観たまんまじゃん!」
『魔法研究部、活動記録②街に繰り出す』
その後も璃子は、異世界の街を楽しんだ。だが
「い、い、家がなぃぃぃ」
「そうだよね、確かに、家もなければ金もねぇ野宿ですか?野宿ですね?はい、失礼しました...」
半泣きでそう言う。そこに気の良い女性が!来る訳もなく、璃子は野宿の準備を始める。
『魔法研究部、活動記録③お金が、なかった...』
そんなこんなで、異世界生活2日目。璃子は、やはり、お金が、なかった。
「やっぱり...冒険者ギルドだよねぇ!」
そう言いながら、スキップで、冒険者ギルドに入る璃子。
「冒険者ギルドへようこそ、冒険者登録ですか?」
そして、璃子は右往左往しながら、冒険者登録を済ませる。
『魔法研究部、活動記録④冒険者登録完了!』
その後も、魔法研究部の活動記録はどんどん増えていき、魔法を習得するなど、その壮大すぎる璃子の魔法研究部『部長』としての人生の幕開けであった。