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柴犬に変身できるようになった僕が、ダンジョン配信を始めたらバズってた〜気づかずにショタの性癖を歪めてたようです〜  作者: 暁 とと


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第80話 人の母親

足の痺れも治まり、翔太くんのお母さんがいる一階へ降りた。


 すると、テーブルの上には、唐揚げとご飯が並べられていた。


「さあ、柴犬さんも一緒に食べましょう」

「えっ、いいんですか?」

「ええ、いつも翔太がお世話になってますし」


 そう言われ、遠慮がちに席についた。


 テーブルには僕と翔太くん、翔太くんのお母さんの三人しかいないのに、四人分の唐揚げとご飯が用意されている。誰の分だろう? と思いながらフォークを使い、唐揚げを口に運んでいると——。


ガチャッ!


 玄関の扉が開く音がした。


「ああっ! なんで柴犬がいるの!? それに、翔太の隣は私の席なんだけど!」


 仕事を終えたサラマンダーさんが帰ってきた。開口一番、僕を指さして叫ぶ。


「こら、人を指ささないの!」


 翔太くんのお母さんに叱られながらも、サラマンダーさんはずかずかと歩み寄ると、翔太くんを椅子からどかし、僕の隣に座った。そして、どかされた翔太くんを膝の上に乗せていた。


「はい、お姉ちゃんが椅子になってあげるからね〜」

「えぇ〜、ワンワンねーねがいい……」


 不満げな翔太くんの言葉に、サラマンダーさんはじとっと僕を睨む。すると、ふと僕の服に目を留めた。


「……ちょっと待って、それ! 柴犬が着てる服、私の服じゃない!?」

「そうよ。お姉ちゃんが『要らない』って言って、捨てるように言ったけど……いつか使う時がくるかもしれないと思って取っておいたのよ」

「お姉ちゃんより似合ってる」

「翔太は私の服を見て褒めるのよ!」

「イダダダァア!」


 翔太くんは、サラマンダーさんに頬をつねられ、逃げようとするが、左腕でガッチリ固定されていて身動きが取れない。


「まあ、柴犬さんは似合ってるよね」

「ママまで!」

「お姉ちゃんは清楚系じゃないのよ。活発系な服のほうが似合うと、お母さんは思うけど?」


 翔太くんのお母さんは、頬に手を当て首を傾げながらそう言った。


「そ、それより……訴えられるとか、ネットニュースとか、事務所で噂になってたし……急に休むから、まあ……ちょっとは心配してたけど。別に深い意味はないわよ? 仕事に支障が出たら困るし……それだけ。……まあ、案外元気そうで……よ、よかったじゃない」

「翔太くんのおかげですね」

「えへへ〜」


 サラマンダーさんって、ツンデレ属性あったんだっけ? まあ、心配してくれてたんだろうな。


「あら、そんなことがあったの? 柴犬さん、大変だったのね」


 翔太くんのお母さんがそう言うと、椅子から立ち上がり、ふわりと両手を広げた。


「柴犬さん、甘えてもいいよ」

「え?」

「さあ」


 促されるままに、恐る恐る立ち上がり、翔太くんのお母さんのそばへと近づく。すると、ふわっと優しく抱きしめられた。


「はい、よーく頑張りました〜」


 耳元で囁かれる声が、とても温かかった。


 親とは、もう何年も会っていない。だからなのか、この腕の中は不思議なほど安心する。けれど——。


 実の子どもの前でこんなことをされているのは、なんだか申し訳ない気がして、そっと離れようとした。

 しかし、その腕は思いのほか強く、逃れることはできなかった。


「中々いいな……」


 翔太くんがぽつりと呟く。何が「いい」のかは分からないが、満足げな表情をしていた。


 そして、気づけば約一分ほど抱きしめられたまま。ようやく解放される。


「……人の母親で、何やってるのよ」


 サラマンダーさんが呆れたように言う。


「い、いや……」


 なんと返せばいいのか分からず、曖昧に言葉を濁すと——。


「お姉ちゃんも、やってほしい?」


 翔太くんのお母さんが、いたずらっぽく微笑みながら両手を広げた。


「い、いらないわよ!」


 サラマンダーさんは顔を真っ赤にして、そっぽを向く。


 その後、翔太くんとサラマンダーさんと少しゲームをしてから、僕は家へ帰った。


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