第78話 休暇とショタ
前の会社から訴えると脅され、事務所にも迷惑をかけてしまった。最初はそれほど気にしていなかったけれど、時間が経つにつれ、「事務所に迷惑をかけたのではないか」と考え込むようになり、精神的に疲れ切ってしまった。
そんな僕の様子に気づいたのかどうかは分からないが、マネージャーさんから「とりあえず一週間ほど休みなさい」と強制休暇を言い渡された。
気分転換が必要だと思った僕は、翔太くんの家に遊びに行こうと考え、彼のお母さんに電話をかけた。すると、「いいですよ〜」と快く承諾してくれた。
さっそく翔太くんの家へ向かったのだけれど、着いて早々、翔太くんに泣かれてしまった。
「ワンワンだけど、ワンワンねーねじゃないー!!」
「え?」
実は、気分転換も兼ねて犬の姿で翔太くんの家に向かったのだけれど、泣かれた。
どうやら翔太くんは、犬の姿の僕よりも獣人の姿の僕に見慣れてしまい、すっかりそちらを気に入っていたらしい。試しに獣人の姿になると、「あ、ワンワンねーね!」と嬉しそうに抱きついてきた。
うーん、ちょっと複雑な気分……。翔太くんに気に入られるのは嬉しいけれど、最初は犬の姿で仲良くなったはずなのに。
「ワンワンねーね、大丈夫なの?」
翔太くんが心配そうに聞いてきたので、僕は笑顔で頷いた。
「うん、大丈夫だよ」
「じゃあ、ワンワンねーね、何して遊ぶ?」
首をかしげながら聞いてくる翔太くんに、僕は持ってきたゲーム機を取り出し、一緒にゲームをしようと言った。
家に上がろうとすると、翔太くんのお母さんが詰め寄ってきた。
「その前に、犬さんは服を着てくださいね。あと、お風呂にも」
翔太くんのお母さんが、じりじりと近寄りながら、僕をお風呂場へと追いやった。
「あ、はい……」
そういえば、犬の姿でやってきたので当然服は着ていなかった。流石にそれはダメだったようで、お風呂に入ることになった。
確かに、手足は汚れている。そこで、しっかりと洗い落とし、浴室を出たところで洗濯機の方に目を遣ると、タオルと服が置いてあった。
着る服がないので、仕方なく用意されていた服を手に取り、鏡で自分の姿を確認する。
白いブラウスは鎖骨を美しく見せるデザインで、薄手の素材がほんのり透け、肩が軽く出る形になっている。膝丈のスカートは軽やかな印象を与え、動くたびにふわりと揺れた。
「あのぉ……」
なんとも言えない気持ちで翔太くんのお母さんの方を振り返ると、優しく微笑んだ。
「お姉ちゃんの着なくなった服だけど、似合ってるわね」
そう言われてしまった。まあ、悪い気はしないけど……。少し落ち着かない気分のまま、翔太くんのいる二階へ向かった。
「あ、ワンワンねーね! 似合ってるね」
「う、うん……えへへ」
ちょっと照れくさい。
「じゃあ、ゲームしよ〜」
そう言われて、最近発売されたばかりの『モンハンター』をプレイすることにした。このゲームは、魔物をテイムしたり、マルチプレイで協力しながら進めていく内容になっている。
僕は買ったものの、あまりプレイできていなかったので新鮮な気持ちで楽しむことができた。気づけば、すでに四時間ほどが経過していた。
「ざっこ〜♡」
「え?」
「な、なんでもないよ〜」
つい、一撃で魔物を倒して反射的に言ってしまった。翔太くんは顔を上げて僕の顔を見て困惑していた。
なんだか、最近の口癖になっている気がする...
翔太くんにバレないように、なんとか誤魔化していると—
「そろそろゲームはやめなさい!」
下から翔太くんのお母さんの声が響き、集中力が途切れた僕たちはゲームを終了した。




