第63話 ワンワンねーねにプレゼント
ワンワンねーねの家に遊びに行った。お母さんに頼んで、車で送ってもらった。
「ごめんね、急に押しかけちゃって」
「ううん、大丈夫ですよ」
お母さんとワンワンねーねが話しているのをよそに、僕はさっそく家の中へ。
ワンワンねーねは今日も可愛い。フワフワの髪、優しい声、そしてどこか犬っぽい仕草。急な訪問だったけど、僕はちゃんとプレゼントを用意してきた。
お年玉を貯めたお金で買った首輪。お母さんには「別のプレゼントにしたら?」と何度も言われたけど、絶対にこれがいいと思った。だって、ワンワンねーねは可愛い犬なんだから。
「ワンワンねーね、これプレゼント!」
「わぁ、何だろう?」
ワンワンねーねは嬉しそうに包みを開けた....最初のうちは。
「....首輪?」
「うん!!ワンワンねーねに似合いそうなのを選んだんだ!!」
ワンワンねーねは微妙な顔をしていたけど、きっとまだ鏡で見ていないからだろう。自分じゃつけにくそうだったので、僕が直接つけてあげることにした。
「しゃがんで、つけてあげる〜」
「あ、うん」
ワンワンねーねがしゃがむと、僕は彼女の首にそっと首輪をかけた。黒い革の首輪がピッタリとはまる。
「似合うよ!!」
「そ、そう?」
ワンワンねーねの頬が少し赤くなった気がする。もしかして、照れてるのかな。可愛い....
でも、僕がワンワンねーねの家に来た本当の理由は、お母さんに買ってもらった新作ゲームを一緒に遊びたかったから
「ワンワンねーね、ゲームしよ!!」
「うん、いいよ!!」
二人でゲームを始める。最初は夢中になっていたけど、ワンワンねーねが負けそうになったとき....
「ワン.....ワンねーね?」
「動かないで」
突然、ワンワンねーねがコントローラーを置き、僕の肩を押して床に倒した。
「えっ.....?」
柔らかい手が胸の上に乗せられる。逃げようとしたけど、ワンワンねーねの顔がぐっと近づいてきて、僕は動けなくなった。
「ハァ、ハァ.....」
息が荒い。ワンワンねーねの口が少し開いて、かすかに湿った吐息が肌に触れる。鼓動が速くなる。
ーーーなにこれ!?
ワンワンねーねの手が、僕の服の中にするりと入り込んだ。
「えっ!? ワンワンねーね!?」
「じっとしてて....」
指先が背中をなぞる。くすぐったいような、ゾワッとするような、何とも言えない感触。でも、嫌じゃない。むしろ.....
「ふぅ〜」
「え?」
ワンワンねーねの手には、小さなムカデが握られていた。
「翔太くんの服の中に入ってたみたい。ごめん、急に押し倒して」
そう言って、ムカデを持ったままそっと立ち上がるワンワンねーね。
「う、うん.....ありがとう....,」
助けてくれたのは分かる。でも、心臓はまだバクバクしてる。ムカデより、ワンワンねーねの顔が近かったことの方がドキドキした。
苦手なのに助けてくれたんだ、ワンワンねーね。だから、息が荒くなってたんだろう。でも、それにしても.....
家に帰ってからも、僕は思い出してしまう。
押し倒されて、息が荒くかったワンワンねーね。
耳元で感じた吐息。
服の中をなぞる肉球の感触。
なんだか、変な気持ちになって、胸がぎゅっと締めつけられる。
(これって.....なんなんだろう)
布団に潜り込んで、ワンワンねーねの顔を思い浮かべる。
その瞬間、心臓がまた、ドキドキした。




