第59話 協力プレイ
1人でミノタウロスを倒そうとしたけど、無理だった。
ちょっと悔しくて、獣人の姿でむくれてしまった。
1人では倒せないことが分かってしまったので、オークキングを一緒に倒したアリスさんと美緒さんに手伝ってもらえるか聞いてみた。
「えええ〜、柴ちゃんの家の庭にダンジョンがあるの〜?」
「うん」
「ミノタウロスって強いですよね。動画でしか見たことないですが.....」
「柴犬さん、一緒に倒しましょう!!」
「いいんですか?」
「OKだよ〜」
「もちろんです! それに、柴犬さんが新しく手に入れたハンマーで戦う姿をまだ見たことがないので、ぜひ見てみたいです!!」
美緒さんやアリスさんは、登録者数が多く、さまざまな仕事で忙しいはずなのに、一緒にミノタウロスの討伐に協力してくれることになった。
大きな斧を持っている。殴ってくることもある。あと、小さな斧を二刀流で使って攻撃してくることもあるっと言う感じで 僕が戦った、ミノタウロスの情報を共有した。
「え、ミノタウロスって強いけど......動画で見た感じと違うわね」
「そうなの?」
僕は首を傾げた。
「はい。柴犬さん、サラマンダーさんがミノタウロスを倒した動画、覚えてますか?」
確か....サラマンダーさんがミノタウロスを倒していたな。でも、それは2年前の動画だったので、すっかり忘れていた。
改めて見直してみると、大きな斧を使っているが、背中に小さな斧はない。
つまり、サラマンダーさんがミノタウロスを倒した後は、殴るしか攻撃してこない。庭のダンジョンに居るミノタウロスのように二刀流で攻撃してくることは無かった。
他の討伐動画もすべて同じだった。ということは.....僕の庭にいるミノタウロスの戦闘スタイルはおかしい。
「ええ〜!? 僕の庭にいるミノタウロス、変異種みたいなものなの!?」
「多分、そうですね」
「うん〜これは倒すの、かなり難しそうですね〜」
「柴ちゃんのハンマー、私の爪、美緒ちゃんの剣...うーん、どんな風に戦おっか」
「普通のミノタウロスだったら、柴犬さんのハンマーもあるので、簡単に倒せると思ったんですけど」
ミノタウロス(変異種)をどう倒すかの協議は難航した。僕が防御に徹して......って感じもいいかもしれない。
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僕達は話し合いようやく役割を決める事が出来た。
「じゃあ、柴ちゃんがタンク役で、私と美緒ちゃんが攻撃する感じでいい?」
「柴犬さん、大丈夫ですか?」
「うん。大丈夫だよ〜」
こうして、役割分担は決まった。今回は、珍しいミノタウロスということで、討伐の様子を撮影することになった。
あと、ダンジョンの様子を見に来たいと2人は今日家に来るらしい。