第41話 翔太くん目線・性癖クラッシャー柴犬
今日は、ワンワンの家でお泊まりできるって、僕はずっと楽しみにしていた。ワンワンの家に行くのは初めてだから、ちょっとドキドキしていた。
ワンワンと、ボール遊びとか散歩とかゲーム色々遊ぶことを考えていたんだけど.....
でも、家に着いてみると、ワンワンがなんだか変だ。
「あ、ワン.....ワン.....?」
いつものワンワンじゃない。目の前にいるのは、あの柴犬で可愛いワンワンじゃない。ワンワンが、女の子みたいになってる。
急に知らない人が出てきて、ちょっと恥ずかしい気持ちになった。だけど.....なんだろう、このドキドキする感じは…? 知らないワンワンが出てきて、なんだか胸がキュッと締めつけられるみたいな気持ちがした。思わずお母さんの後ろに隠れてしまった。
「翔太くん。ワンワンだよ〜」
ワンワンがしゃがんで、僕と同じ目線にして多分だけど、安心させようとした行動だと思う。でも、ワンワンの姿が違っていることに、心がざわざわしてる....
ワンワンねーねーをみると顔が赤くなってしまう僕がいる。なんだか、ちょっと変な感じ。いつものワンワンとは、全然違う。僕の中で、ワンワンねーねーに対する気持ちが、なにかふわっとした感情に変わっていくのを感じた。
「翔太、見た目は違うけどワンワンだよ。どうする?お泊まりやめる?」
お母さんが言った。でも、僕はやっぱりお泊まりしたい! 反抗心が湧いてきて、思わずお母さんから離れて、走ってワンワンねーねーの家の中に入った。
中に入ると、おばあちゃんの家と同じ雰囲気だ。ワンワンねーねーは、ちょっと照れくさそうに笑いながら、お母さんから渡されたカバンを開けていた。
ワンワンねーねーは、お母さんが入れたお肉を見てシッポを大きく振っていた。ワンワンねーねーは、お肉が大好物らしい。
ワンワンねーねーの様子を見ていると、僕に近づきワンワンねーねーが言った。
「翔太くん、何して遊ぶ?」
「ゲーム!!」
僕は勢いよく答えたけど、実は心の中では、ワンワンねーねーと一緒に遊べるだけで、ちょっとドキドキしていた。ミンテンドースニッチは1台で2人で遊べるから、ワンワンねーねーがゲーム機を持ってなくても一緒にできる。
ゲームをし始めると、僕の手は少し震えているのに気づく。ワンワンねーねーが近くにいて、目の前でゲームをしているその姿が、すごく大きくて、なんだか緊張する。気づいたら、ゲームに集中できなくて、操作ミスを繰り返しうまくステージを進めることが出来なかった。
「大丈夫、大丈夫〜」
ワンワンねーねーの優しい声が、僕の耳に響いた。その声を聞くたびに、胸がドキドキして、目の前のゲームに集中するのが少し難しくなった。ふと、ワンワンねーねーの顔に目を向けると、その表情が僕の心をまた乱してきた。いつものワンワンじゃないのに、なぜか心の奥から湧き上がる感情があって、なんだかドキドキする。目を逸らしても、すぐにその顔が浮かんでくる。
「出来たよ〜」
時間が経って、昼ごはんの時間が来ると、ワンワンねーねーが作ってくれたカレーが出てきた。黒毛和牛が使われていた。ワンワンねーねーが作ってくれたカレーは、すごく美味しい。でも、ワンワンねーねーが気になりチラチラ見てしかう。
ワンワンねーねーは、大きな口でスプーンを使って上手く食べているけど、なんだ大きなお口の中を見ると....何故かドキドキするのが不思議で仕方がない.....
昼ごはんを食べ終わると、ワンワンねーねーが僕に頼み事をしてきた。
「翔太くん、僕の首のところにある勾玉、取ってくれる?」
その頼み方がなんだか優しくて、僕の心がまたドキドキした。近づくと、ワンワンねーねーの髪の毛がいい香りがして、目の前で触れようとする手が少し震えるのが分かる。
「う、うん.....」
勾玉を探しながら、ワンワンねーねーの毛の中に手を入れるとふわふわとした、さわり心地が最高である。
ワンワンねーねーの近くにいるので、匂いがする。犬のような匂いがするかと思ったけど、全然違う。なんだろう、お日様の匂いがしていい匂いだった。
毛で隠れて見えないけど、手探りで触っていると紐みたいなのを見つけた。僕は、首から取り外そうとしたが、紐と毛が絡まり勾玉を取ることが出来なかった。力を込めて引っ張れば取れたかもしれない。だけど、ワンワンねーねーが痛がると思って出来なかった。
「あった.....けど、絡まってて取れない。ごめんなさい」
「大丈夫だよ〜」
ワンワンねーねーが優しく微笑んで言ってくれて、僕は安心した。でも、なんだかちょっと落ち込んでしまう自分がいた。
午後は、ワンワンねーねーと一緒に昼寝をした。隣で寝ているワンワンねーねーを見て、僕の心はまたドキドキし始める。服の胸元から少し見える毛を見て、思わず触れてみた。
フワッとした感触に、僕の胸がドキドキと高鳴る。ワンワンねーねーが目を覚ましそうになったので、僕は慌てて目を閉じて、いつの間にか寝ていた。
「お風呂入る?」
ワンワンねーねーに起こされ目を覚ました。ワンワンねーねーに言われるがまま、お風呂に入ることにした。お風呂から上がると、ワンワンが牛丼を作ってくれていて、ちょうどご飯ができていた。
「まだ、濡れてるよ〜」
僕の体の拭きが甘かったから、ワンワンねーねーがタオルで僕の髪を乾かしてくれた。そのとき、タオル越しに感じる肉球の柔らかさが、僕をドキドキさせる。
「じゃあ、食べよっか」
「うん」
夜ごはんを食べ終わると、また一緒にゲームをして、ついにボス戦をクリアした。その後、ワンワンから注意された。
「そうだ、翔太くん。むやみに犬の背中に乗っちゃダメだよ」
「え?」
「僕だからよかったけど、普通の犬の背に乗るのは危ないんだよ。最悪、脊髄を痛めたりするかもしれないし」
「ご、ごめんなさい.....」
「分かってくれたなら大丈夫だよ」
犬の背中に、乗ったらダメだと注意された。つい、乗っても良いのかと思っていた。
「じゃあ、そろそろ寝よっか」
「うん」
「おやすみ〜」
ワンワンと一緒に布団に入って、ゆっくりと目を閉じた。
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翌朝、目を覚ますと、僕の手がワンワンの肉球をギュッと握ていたんだけど離れていた。ワンワンねーねーは、1度寝ると中々起きないので、僕はワンワンねーねーが寝ている間、静かに肉球を触っていた。なんだかその感触が不思議で、でもとても温かくて安心する気持ちが広がり僕はすぐ寝てしまった。
朝食を食べ終わったころ、お母さんが迎えに来た。僕は名残惜しいが家に帰ることになった。
「じゃあね〜」
「バイバイ!!ワンワンね〜ね〜」
「うん、バイバイ〜」
ワンワンねーねーが僕に微笑んで手を振ってくれる。お母さんがお礼を言うと、僕はワンワンねーねーに最後にもう一度手を振り、家に帰ることになった。
その日の夜、家に帰っても、ワンワンねーねーのことが頭から離れなくて、何度も思い出しては、またドキドキしている自分に気づいた。
「また会いたいな....」
心の中でそうつぶやいてしまっていた。




