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第4話 ドローンカメラ

探索者ギルドにやってきた僕は、早速魔石を査定してもらうために受付へと向かった。


「こんにちは。今日は、どうなさいました?」

受付のお姉さんがにこやかに声をかけてくる。


「査定をお願いします」

「分かりました。では、こちらの箱に査定したい魔石を置いてください」


指示された箱に魔石をそっと置く。お姉さんは箱を手に取り、そのまま奥へと消えていった。しばらく待っていると、数分後に戻ってきた。


「こちらの小さな魔石は1万円ほどです。そして、こちらの大きめの魔石は8万円ほどで買い取らせていただきます」


ーーーゴブリンとか、そんなに強くない魔物の魔石でも1万円!?


予想以上の高値に思わず驚く。僕の目的はあくまで魔石の加工だから、そこまでお金にはこだわっていなかったのだが、それでも1個1万円となると嬉しくなってしまう。とりあえず、ゴブリンの魔石は売ることにしたが、大きめの魔石は手元に残しておくことに決めた。本来の目的は、あくまで魔石を加工すること。だからこそ、品質のいい魔石はできるだけ手元に置いておきたい。


「じゃあ、この大きい魔石は持ち帰ります」

「そうですか。では、こちらの魔石は換金させてもらいますね」


お姉さんは手際よく処理を進め、僕に受領書と1万円を手渡してくれた。思いがけず手に入った1万円を眺めながら、今夜は少し贅沢をして美味しいものでも食べようかな、なんて考えながらギルドを後にした。


*****************


ギルドを出て、ふらふらと街を歩いていると、ふと見慣れない店が目に入った。看板には『中古ショップ』と書かれている。


ーーーこんな店、前からあったっけ?


興味を惹かれた僕は、自然と店の扉を開けていた。


店内に入ると、ダンジョン探索に役立ちそうな道具がずらりと並んでいた。初めて見るものも多く、思わず目移りしてしまう。どれもこれも実用的なものばかりで、まるで小さな宝探しをしている気分だった。


そんな中、ひときわ目を引くものを見つけた。


「お?」


手に取った箱のラベルには、こう書かれている。


『ライブ配信ができるドローンカメラ』


ダンジョン内での探索を自動追尾して撮影できる優れものらしい。最近はダンジョン探索を生配信する冒険者も多く、そういった配信でよく見かける機材だ。


ーーーでも、こういうのって普通すごく高いんじゃ......?


半信半疑で箱の上に貼られた値札を確認すると......そこには 「10,000円」 と書かれていた。


ーーーえっ、本当に1万円!?


ネットオークションなんかでは、こういう機材は普通に5万円以上するはずだ。これは掘り出し物なのでは……?


念のため、レジに座って本を読んでいる店員名札に『店長』と書かれた男性に声をかけてみた。


「あの、すみません。このドローンカメラ、本当に1万円なんですか?」


すると、店長はちらりと僕を見て、面倒くさそうな声で答えた。


「......うん。買うの?」


「え、あ、じゃあ......買います!」


臨時収入があったおかげで、ほぼ即決だった。正直、最初は魔石を売ったお金で美味しいお肉でも買おうと思っていたのだが、こういう掘り出し物を見つけてしまったら、買わないわけにはいかない。


こうして僕は、思いがけず 『ダンジョン探索用ライブ配信ドローンカメラ」』を手に入れたのだった。

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