第28話 事務所宿泊
ダンジョンボスであるオークキングを倒した僕たちは、もうクタクタで動く気力もない。
『お疲れ〜』
『すげぇ〜迫力満点だった』
『柴犬さん、可愛いだけじゃないんですね!!』
ダンジョンを出て配信を終え、オークキングの魔石を持ってダンジョンから出てきた。
「ふぁあああ〜疲れた〜」
「まさか、ボス戦になるなんて思わなかった」
2人とも心身ともに疲れている。僕も疲れて歩きたくない。
「事務所近いし、泊まらない?」
「そうね。確かに、それはいい考えね」
どうやら、イヌイ事務所には宿泊できる場所があるらしい。
多分、イヌイ事務所に所属する人たちには遠方から来ている人もいるから、その人たち用に作られたのかもしれないな〜
「事務所って泊まれるの?」
「そうだよ〜前にアリスが泊まったことがあるんだけど、少し小さいけど普通のホテルと同じぐらいだったよ」
「僕も泊まれるの?」
「柴犬さんも泊まれますよ。人数に限りはありますが、多分大丈夫でしょう。一応、マネージャーさんに空き情報を聞いてみます」
と言って、美緒さんはマネージャーさんに聞いてくれた。
すると、今日は空いているらしい。
それから、マネージャーさんがダンジョン攻略おめでとうと祝福してくれた。
ここから、近くにある事務所に向かい、到着した。
「着いた〜僕は早くベッドにダイブしたい!!」
「アリスも同じ意見で〜す」
11階の事務所で、マネージャーさんに会い、カードキーをもらって12階に向かった。
イヌイ事務所は、どうやら11階と12階を所有しているらしい。
改めて…すげぇ〜と思ってしまった。
「じゃあ、僕はこれで〜」
「バイバイ〜柴ちゃん」
「一緒に寝ますか?柴犬さん?」
「あ、大丈夫です」
と言って、自分の部屋に向かった。部屋はカードでピッとするだけなので、犬の姿でも簡単にドアが開く。
オートロック式なので、鍵を閉める必要はない。中に入ってみると、アリスさんが言っていた通り、部屋にはベッドと机があり、トイレ、洗面台、そしてシャワー室も完備されている。
とりあえず、勾玉を外して僕は人間の姿に戻った。そしてシャワー室に入り、汗や泥をしっかりと洗い流し、タオルで体を拭いた。
ただ、泊まるつもりではなかったので、着替えを持ってきていない。
仕方がないので、もう一度勾玉を首にかけて柴犬の姿に戻った。帰るときに裸の状態だと、さすがに露出魔扱いされてしまうからな。
シャワーを浴びてさっぱりした僕は、ベッドにダイブ。ご飯も食べず、そのまま深い眠りに落ちた。
*******
柴犬くん。今日はダンジョンで大活躍だったんだ。
「それって、柴犬さんの動画ですか?」
「そう。今日は会議があってリアルタイムで見れなかったからね」
「そういえば、柴犬さん、今日は事務所に泊まってますよ」
「え、本当?」
そうか。柴犬くん、今日は事務所に泊まっているのか。
「ところで、柴犬くんの予防注射ってもう終わったの?」
「まだ....みたいですね。柴犬さん、注射が苦手らしくて、まだ受けられてないんですよ」
「やっぱり.....」
予防注射リストを確認すると、柴犬くんだけが未完了になっていた。ダンジョンに入る者は全員、事前に予防注射を受けるのが義務付けられている。
ダンジョン内には魔力が多く漂っている。ダンジョンの階層が深くなるほど魔力濃度が高くなり、長時間ダンジョン内で滞在していると『ダンジョン病』と呼ばれる症状にかかり、倒れたり、吐き気や目眩に襲われてしまう。
ダンジョン内でそんなことになれば、魔物に襲われたときに危険だ。そのため、イヌイ事務所ではダンジョン探索に従事する全員に予防注射を義務付けている。
「じゃあ、明日私が柴犬くんを病院に連れて行くよ」
「良いんですか?」
「明日は私が暇だからね」
そう言って、私は早速柴犬くんがいる部屋に向かった。




