第27話 ボス戦は、油断大敵
オークキングは、僕たちが近づいたことに気づくと、金棒を持ち振り上げた。その姿は大きく、迫力満点だ。それに、巨体な図体を持っているにも関わらず、俊敏力がある。
オークキングの金棒が一度でも僕たちに当たったら、それだけで致命傷を免れなさそうだ。
「グォオオオオオォオ!!」
その雄叫びは、ゴブリンやホブゴブリンの比ではない。音波のような衝撃が周囲を圧倒する。
「うにゃああ!!」
最初に動いたのはアリスさんだった。アリスさんは猫型と猫の特徴である身軽を生かし金棒をかわしながら一気に攻撃に転じる。アリスさんの鋭い爪がオークキングの腹を切り裂く。しかし、オークキングの皮膚は分厚く、爪の一撃では血が滲み出る程度。
明らかにダメージが足りない。
「グルゥアアアア!!」
オークキングは攻撃された事に怒ったのか、アリスさんに集中的に攻撃を始めた。あまりのスピードに、アリスさんは必死に回避しながらも後退を余儀なくされている。
オークキングがアリスさんに夢中になっている隙をついて、美緒さんが素早く踏み込み、オークキングの足元を斬りつけると、小さな声を上げてよろけたが、それでもその巨体は崩れない。
「グガァ!?」
僕も即座にオークキングの首元に飛びかかり噛み付いたが、筋肉が硬すぎて歯型をつけるのが精一杯。
オークキングの体は想像以上に頑強だ。
「かちゃい....」
このままでは時間がかかる。攻撃が効いている様子もないが、これ以上の選択肢はない。必死に食らいつくしかないのだ。
『苦戦してる』
『オークキングだからな。これは、勝てるか五分五分か!?』
『いや、ダンジョン適応者が3人もいるんだ!絶対に勝つ!!』
『柴犬さん、頑張れ!!』
感覚的には何十分間も戦っている感じがする。
僕達はオークキングに同じ箇所を攻撃しちょっとずつだがダメージを与えていた。
すると、オークキングが危機感を覚えたのか今まで以上に勢いよく金棒を振り回した。
オークキングの急な奇行に驚き、僕たちの動きが一瞬止まる。
「オークキングも焦っているとアリスは思うよ」
「確かに、だけど今まで以上に気を引き締めて戦わないと....柴犬さんは大丈夫ですか?」
「まだ、大丈夫だよ」
「グギャカアアアアアア!!」
オークキングの動きは早いが、アリスさんは変わらず金棒を巧みにかわし、再びオークキングの腹を傷つける。
アリスさんと美緒さんの連携で、オークキングの隙を突いてさらに攻撃を加える。僕も負けじとオークキングに飛びつき、首元を噛みつき、その硬い筋肉に少しずつだが、ダメージを加えていく。
「グギャァアアアアア!!!!!」
オークキングの硬さと耐久力はすごい。僕の顎は疲れ果て、息も上がる。それでも攻撃を続けなければ、倒せないので、全力で頑張っている。
「グガァ....アアア.....」
「「はぁ、はぁ、はぁ.....」」
「ハァ、ハァ、ハァ」
僕達は、息をきらしながようやくオークキングは地面に倒れた。
僕達は勝ったと思ったと思い油断した。
「やりまし〜」
「もう、アリスはクタクタだよ〜」
オークキングは、最後の力を振り立ち上がりアリスさんに向かって金棒を振り下ろしてきた。
「「え?」」
オークキングは、最後の力を振り絞り、再び立ち上がり、アリスさんに向かって金棒を振り下ろしてきた。その動きに、アリスさんは油断して気が緩んでいたのか、咄嗟に反応できなかった。
アリスさんの防御壁が発動したが、オークキングの金棒の衝撃で簡単に破壊されてしまった。
僕は、咄嗟にアリスさんの前に全力で飛び込み僕は加工した魔石を発動させた。
「ワン!!」
加工した魔石の力が、金棒の衝撃を防ぎきると、オークキングは力尽きた。
「グガァ.....」
ようやく、オークキングは動かなくなり、魔石に変わりようやく安堵した。
『すげぇ....柴犬さんの身につけてる加工した魔石.....やべぇ性能だ』
『あの攻撃を防げるなんて.....』
『あ、あっぶな....」
『心臓のバクバクが止まらん』
「柴犬さん、ありがとう!!」
「アリス、油断しちゃダメだよ」
「ごめんなさい.....」
「柴犬さん、ありがとうございます!!」
アリスさんが反省の色を見せながらも、僕たちはお互いに息をついた。しかし、僕が新しく作った加工魔石は1回限りで、粉々に砕けチリになってしまった。




