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4話

==================================


【トウマ・ゲント】 


Lv. 1


HP 100/100

MQ 0


魔力総量 0

魔力 0


魔法攻撃力 0

魔法防御力 0


火属性威力 0

水属性威力 0

風属性威力 0

雷属性威力 0

光属性威力 0


筋力 5

耐久 5

敏捷 5

回避 5

幸運 5


クラスF

堕威剣邪


[ユニークスキル]

【太刀奪い】


==================================


 ゲームやラノベでよく見るような数値がずらりとパネルに表示されている。


 だが、見た感じあまり良さそうではない。


(なんだろう? このクラスFの【堕威剣邪】って・・・)


 真っ先に目が留まったのはクラスの項目だ。


 堕威剣邪。

 そのままだと〝ダイケンジャ〟と読めるが・・・。


 そこでゲントは嫌な予感を抱く。


(まさか・・・女神さまがしくじったとか? 大賢者を堕威剣邪と間違えてしまったとか・・・そういうこと?)


 嘘みたいな話だったが、賢者の資格とやらが無かった以上、そうとしか考えられなかった。


(ミスが多くてよく叱られてるとか言ってたもんなぁ・・・)


 覗き込むようにしてフェルンもパネルの内容を確認する。

 それを目にすると、彼女はあからさまに落胆の表情を覗かせた。


「クラスF・・・。そうか、すまない。どうやら私が間違ってキミを呼び出してしまったようだ」


「うーん、どうなんでしょう?」


 フェルンが間違えたというよりも、そもそもディアーナがしくじっていた可能性の方が大きいようにゲントには感じられた。


 けれど。

 フェルンはこのことをかなり重く感じている様子だ。


「本当にすまない・・・すべて私のせいだ。キミは私が責任をもって最後まで面倒を見るから。まずはぜったいにここから脱出させよう。安心してくれ」


「こちらこそ、なんか申し訳ないです」


「どうしてゲント君が謝るんだい?」


「いえ。こっちが厄介なことに巻き込んでしまった気がするので」


 さすがに女神のことを口にするのは避けたが、ゲントはひとまずフェルンに謝罪する。


 結局、彼女も同じように謝って、しばしの間、お互いがぺこりぺこりと頭を下げる時間が続いた。




「それであの、このクラスっていうのはどういう意味があるんでしょうか?」


「それは魔法の適性を示唆したものなんだよ」


 クラスは生まれた時点で判明するものらしい。


 FからSまで存在し、これが高ければ高いほど、魔術師としての才能があるということのようだ。


「じゃあFってことは、適性はまったく無いってことですか?」


「残念ながらそういうことだね」


 それを聞いてゲントは確信する。

 やはり、ディアーナが大賢者と堕威剣邪を間違えたのだと。


 するとそこで。


「えっ、ちょっと・・・待ってくれ」


「はい?」


 フェルンが驚いたようにゲントのステータスを覗き込む。


「キミ・・・! 魔力がゼロじゃないか!?」


「つまり魔法の適性がないってことですよね?」


「いや、そうじゃないんだ・・・」


 ゲントが首を傾げていると、フェルンは神妙に呟く。


「魔力がゼロなんてことは・・・ぜったいにあり得ない。グレン王が『時空の書』を使った以上に起こり得ないことなんだよ・・・」


 心なしかフェルンの顔は少しだけ青ざめている。


「えっと、どうしてでしょう?」


「だって、魔力がゼロなら・・・すでにキミは死んでいるってことだからね」


「・・・は?」


 ここでゲントは、この異世界における魔力が、自分がイメージしていたものと大きく乖離していることを知る。


 なぜなら、魔力は人々の寿命と密接に関わっているとわかったからだ。


「まずはじめに。魔力について話す前に、魔力総量について理解してもらわなくちゃいけない」


 フェルンによれば、この魔力総量もクラスと同じで、生まれて時点で確定するもののようだ。


 そして、ここからが重要で。

 それは歳を取るごとに減少していくものなのだという。


「魔法を使用する際には魔力を消費する。それは理解できるよね?」


「はい」


「でも魔力は魔法を使わなくても自然と減っていくんだ。それで、魔力が尽きた時――つまりゼロになった時、人は寿命を迎えることになるんだよ」


「ああ。だから、すでに死んでいるって言ったんですね」


「これがわかると、私があり得ないって口にした意味もわかるよね?」


「はい。たしかにおかしいと思います」


 一般的に20歳を境にして魔力の減少スピードは加速し、30歳を迎える頃にはそのスピードもスローダウンするらしいのだが、この頃になるとほとんどの者は魔力が残っていない状態となるのだという。


「実は出会ってからずっと気になってたんだ。失礼を承知の上で質問するけど。ゲント君、キミは今いくつなんだい?」


「39――いや、40歳になったばかりです」


「40歳・・・そうか。話を聞いてだいたい予想がついてると思うけど、この世界では35歳を越えて生きてる者は稀なんだよ」


(なるほど。だからさっき俺の顔を見てフェルンさんは驚いたんだ)


 自分の顔は年相応だとゲントは自覚しているので、彼女に驚かれたことはべつにショックではなかった。


「たしかに40歳なら魔力が極端に低くても不思議じゃない。でも、魔力ゼロっていうのはやっぱりあり得ないよ。なぜなんだろう・・・」


 フェルンはひとり考え込むように唇に親指を当てる。


「じゃあ、このステータス画面が壊れてるとか、そういうことですか?」


「・・・うん、そうかもしれない。それ以外は考えられないと思う」


 まだどこか納得できない様子のフェルンだったが、ここで長話をしていてもなにも解決しないとわかったのだろう。


 タイミングを見て彼女は話を切り上げる。


「とりあえずありがとう。キミの現状はよくわかった。そろそろこの場所に留まり続けるのは危険だ。まずは移動してダンジョンの中を探索しよう。どこかに出口があるかもしれない」


「わかりました」


「私のあとについて来てくれ」


 腰を上げてローブを振り払うと、フェルンは先を歩きはじめる。


 ゲントは言われたとおり、そのあとについて行くのだった。

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