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7話

 ――フルゥーヴ伝承洞 第6層――


「「「ドゥッハッハッハッハッハアアア~~!?」」」


 ゲントが魔剣を振り抜くと、衝撃波がオーガバトラーの群れをなぎ倒していく。


『おぉぉっ~~!! さすがはマスターです~♪』


「ありがとう」


 魔剣を下ろしながら、オーガバトラーの残骸にゲントは目を落とす。


==================================


[モンスター名]

オーガバトラー


[危険度]

B+級


[タイプ]

怪人型


[ステータス]

Lv. 52

HP 21000/21000

MQ 130

魔力総量 39万4300


==================================


 あれから30分近く。

 ダンジョンの敵を倒しながら進み、ゲントは自らの仮説が正しいことを確認していた。


(やっぱり、どのモンスターも火魔法しか撃ち込んでこないな)


 これでますますこのダンジョンの中には、魔力総量の高い何者かが潜んでいる可能性が高まってきた。


(すべては最下層まで行けばわかることだ)


『それにしても、どのモンスターも魔法が使えちゃうんですねぇ~』


「そうだね」


『モンスターって、ホントいろんなタイプがいるってわかりましたっ! あの鉄巨人みたいな敵を相手にするのはもうイヤですけどぉ~・・・』


 たしかにルルムが言うとおり、『フルゥーヴ伝承洞』に出現するモンスターは、ほとんどが魔法を使って攻撃を仕掛けてきていた。


 そもそも承認否認がどうこう以前に。

 魔法を使ってくるモンスター自体がけっこう珍しいようなのだ。


 そんな話をしていたフェルンの言葉をゲントは思い出す。


 魔王降臨以降、フィフネルではヒト族しか魔法は使えなかったようなのだが、ある時期を境に、魔法を使えるモンスターが出現するようになったのだという。


 人々は魔力が尽きて死んでしまうと、体内に残された魔素(マナ)を大気に放出する。


 そうした魔素が黒の一帯まで行き届き、モンスターにも降り注ぐことによって魔法が使える変異種が現れたのだろう、というのがフェルンの主張だった。


(あとホットスポットにも偏りがあって、特定のモンスターを呼び寄せる性質があるとかって、フェルンさん言ってたっけ?)


 だから、『フルゥーヴ伝承洞』に出現する敵のほとんどは、魔法が使える変異種ばかりなのだろうとゲントは思った。


==================================


【RESULT】


☆☆戦闘に勝利しました☆☆


[総合判定]

SS+


[討伐モンスター]

オーガバトラー×5


[タイム]

00:01:44


[獲得EXP]

15,000


[経験値ブースト]

×1.5


[特殊ボーナス]

《獲得EXP10倍》


[EXP合計]

225,000


[入手アイテム]

鋼殻の飾り×1

エメラルドポーション×1


==================================


【LEVEL UP】


☆☆レベルアップしました☆☆


Lv. 759→Lv. 761


次のレベルまであと 経験値 94,311


==================================


 目の前に立ち上がった光のパネルを確認したあと。


「ステータスオープン」


 ゲントはパネルを操作して自身のステータスも見ておくことに。


==================================


【トウマ・ゲント】 


Lv. 761


HP 76100/76100

MQ 0


魔力総量 0

魔力 0


魔法攻撃力 0

魔法防御力 0


火属性威力 0

水属性威力 0

風属性威力 0

雷属性威力 0

光属性威力 0


筋力 5356

耐久 5013

敏捷 5260

回避 5111

幸運 5388


SPゲージ 2977/7610


クラスF

堕威剣邪


[ユニークスキル]

【抜剣覚醒】


[奥義]

〈居合い重ね〉

〈奪魂招刃・朧〉

〈兇変の舞〉

〈つばめ返し百連〉

〈払車滝壺剱〉

〈天撃の構え〉

〈覇王瞬獄殺〉


[アビリティ]

《攻め立て》

《風纏い》

《勇空》

《天駆》

《気力絶倫》

《慧眼の睨み》

《火事場の馬鹿力》

《不意討ち》

《ド根性》

《ガード強化》

《格闘王》

《氣合》

《神速陽動》

《踏ん張り》


==================================


(今回もうまくいったな)


 ここまでダンジョンを進んで判明したことがさらにもうひとつあった。


 それは、魔法陣を先行してぶった斬ることで、モンスターの魔法をキャンセルできるということだった。


 幸いゲントは、スピード系のアビリティをいくつか所有しているため、相手が魔法を放ってくる前に、魔剣で魔法陣を叩き斬るという離れ業ができてしまっていた。


『もうマスターに敵うモンスターはいないですね~☆』


 鼻歌混じりのルルムとともにその場をあとにしようとする。


 が。


(あ、そうだ)


 あることを思い出し、ゲントは立ち止まった。

 

 ぽわぽわぽわ~~。


 今、通路に倒れたオーガバトラーの集団からは黒煙が立ち昇っている。


「淀みを斬っておかないと」


 この黒い煙は、モンスターが自然へと還る際に生じるもののようで、フェルンによれば、これはマイナスの魔素に該当するという話だった。


(この瘴気を放っておくと、一定の確率でモンスターがまた生まれてしまうって話だったよな)


 黒の一帯が消え去ったおかげでモンスターの発生源は滅んだわけだが。

 こうした瘴気を放置しておくと、このダンジョンでまた新たなモンスターが誕生してしまう可能性があった。


 フェルンいわく、この黒い煙は魔法でも消すことができず、どうすることもできないという話だったのだが・・・。


 ブゥゥゥン!!


 ゲントが黒煙に向けて魔剣を斬ると、瘴気は完全に消滅してしまう。


「どういうわけか、できちゃうんだよね」


『ですですっ~~♪』


 実はこのダンジョンに入ってからゲントはこのことに気づいた。

 先ほどからモンスターとの戦闘を終えるたびに、こうしてマイナスの魔素を斬っては進んでいる。


(放っておいてもいいことはないんだろうし。この先も忘れずにちゃんと瘴気は斬っておこう)


 そんなことを考えながら、ゲントはダンジョンをさらに進んでいく。

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