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22話

==================================


 【刀剣選択/魔剣】


 ☆☆モードを選んでください☆☆


 剣瞬猛怒(フリーダムモード)・・・戦闘特化型

 相手に攻撃する


 轟斬猛怒(ベルセルクモード)・・・能力捕食型

 相手から力を引き抜く


 ▶絶剱猛怒(アルゴスモード)・・・集束裁定型

 相手に力を与える


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 新たに絶剱猛怒というモードが出現したのだ。


 そして。

 そこにはゲントが予想したとおりの文言が記されていた。


(相手に力を与える・・・よし。これでなんとかなりそうだ)


 さらに光のパネルの操作を続ける。


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 絶剱猛怒に切り替えますか?(Y/N)


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 ゲントがYESを選択した瞬間。


 ズァギャァァ!!


 これまで黒緋色だった魔剣の外見が黒蒼色へと変化する。


『わわわっ!? またなんか色が変わりましたよぉっ~!?』


「うん。これで俺の能力を与えることができるようになったんだ」


『能力を与えるんですかぁ・・・? なんでぇっ?』


「まあ、見ててよ」


 ルルムはまだよくわかっていないようだが、ゲントにはある確信があった。


 魔剣の(グリップ)を握り締めると、そのまま裂け目の中へと降りていく。


『マスター!? 危ないですよぉ~!!』


「大丈夫っ!」




 鉄巨人はあいかわらず黒炎を四方八方にまき散らしながら暴れ回っていた。

 だが、でたらめに撃ち続けているからこそ隙がある。


(よっ)


 《風纏い》のアビリティのおかげでそれをすんなりとかわしながら、ゲントは鉄巨人へと近づいていく。


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[アビリティ名]

風纏い


[レア度]

S


[種類]

永続


[効果]

天翔ける風を纏い、回避能力が大幅に上昇する。

高確率でモンスターの攻撃を回避する。


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 アラフォーおっさんとは思えない身のこなしだ。

 さすがレア度Sのアビリティと言える。

 

 またゲントは、肉体を極限まで高めるアビリティも引き抜いていた。


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[アビリティ名]

筋肉共鳴


[レア度]

C


[種類]

インスタント


[効果]

速筋線維を段階的に強化し、肉体の限界を越える。

なお、最大値に達しても強化は持続する。


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(この力を鉄巨人に与えてやる)


 そのまま敵の背後に回り込むことに成功する。


 そして――。


 魔剣を振りかざすと、それを背中に思いっきり突き刺した。




 ビッリィビッリィビッリィーー!!




 その瞬間、妖気とともに黒い稲妻が走る。


 背中を突き刺されたというのに、鉄巨人は特にこれといって気づく様子もなく、引き続き暴れ回っていた。

 やはり、物理攻撃は通らないようだ。


 が、今は気づかれないのが好都合と言えた。


(イメージしろ・・・。相手に俺のアビリティを与えるんだ)


 葬冥の魔剣(ケイオスヴァレスティ)を突き刺しながら、ゲントはイメージを強くする。




 ギュルルルル!!




 《筋肉共鳴》と《天刻の拍動》。

 これらのアビリティを頭の中で組み合わせて、魔剣に力を込め続けた。


==================================


[アビリティ名]

天刻の拍動


[レア度]

A


[種類]

インスタント


[効果]

所有するアビリティの効果を大幅に上昇させる。

10分経過時に上昇値が最大となる。


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 徐々に鉄巨人の体躯に変化が現れ始める。

 肉体が徐々に膨れ上がりはじめたのだ。


 鉄製の表面がはち切れんばかりに膨らんでいく。


(これでたぶん大丈夫だ)


 ゲントは魔剣を引き抜くと、最後に残していた奥義を鉄巨人に向けて放った。


「奥義其の12――〈吹雪ノ太刀〉!」


 ばーーーん!!


 衝撃波の反動によってゲントの体はそのまま宙に弾き飛ばされ、裂け目から地上へと舞い戻ることに成功する。


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[奥義名]

吹雪ノ太刀


[威力/範囲]

C+/単


[消費SP]

7%


[効果]

荒々しくも華麗な刀剣を振り抜き、高速で敵を斬り倒す秘技。

敵単体に命中率の高い中ダメージを与える。


==================================


 着地して付着した泥を払うと、ゲントは巨大な穴に目を落とした。


『いったいなにをされたんでしょうっ?』


「すぐにわかるよ」


 ゲントの言葉どおり、裂け目の中では変化が起こりつつあった。

 鉄巨人がどんどん巨大化しているのだ。


 それに比例するように黒炎の威力も増していく。


「この場所はもう危険だな。少し距離をとろう」


『りょーかいですぅ!』


 目にも留まらぬ速さで裂け目から離脱すると、ゲントは離れた位置から鉄巨人の様子を窺う。




 ***




 鉄巨人の肉体は倍まで膨れ上がり、先ほどとは比べものにならない力で暴れ回っていた。


 だが。


『あっ~~!! 穴にはまっちゃって動けなくなってますっ!?』


「そのとおり」


 これこそがゲントの狙いだった。

 鉄巨人の肉体を極限まで高め、巨大化させることで穴の中で身動きを取れなくしたのだ。


 パワーで押し返そうとするたびに動きが制限されていく。


 まだまだ鉄巨人の体は膨れ上がっていたため、地面にどんどん埋まってしまっていた。


(しばらくの間はこのまま動けないはず)


 ただ、これは問題の根本的な解決にはなっていない。


 いずれ大地ごと根こそぎ破壊し、鉄巨人が這い上がってこないとも限らないからだ。

 それだけ敵は段違いにパワーアップしている。


 ゲントの読みでは土に埋もれていき、そのまま地中深くに閉じ込められるものと考えていたわけだが・・・。


(うーん。さすがにちょっと無理そうか?)


 《筋肉共鳴》と《天刻の拍動》の組み合わせは強力だったようで、予想よりもだいぶ早く鉄巨人は強くなりすぎてしまっていた。


 ならば次のアイデアを打つべきだ。


 これもまた、営業マンとして培ってきた心構えのひとつ。

 待っていても問題が解決することはないのだから。


 そこでふと・・・。

 ゲントの視界にあるものが映った。

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