17話
(能力捕食型・・・これってまさか)
異世界作品の定番でよくあるのが〝相手から能力を奪う〟というスキルだ。
これがそれと似たような力を有しているのだとすれば――。
『どうでしたか? マスター』
「ルルムの言ったとおりだよ。魔剣の性能を引き出せるっぽい」
『そうなんですねっ! よかったですっ~~♪』
「できるかわからないけど、ちょっと試してみるよ」
『はい、お願いしまぁーす☆」
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轟斬猛怒に切り替えますか?(Y/N)
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ボキィィィン!!
ゲントがパネルを操作してYESを選択すると、黒紫色だった魔剣は黒緋色へと外見が変化する。
ちょうどそんなタイミングで。
こちらに突進してくるモンスターの群れが目に入った。
ゲントは変色した魔剣の柄を握り直すと、目の前の集団に剣先を向ける。
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[モンスター名]
バーバリアン
[危険度]
C+級
[タイプ]
戦士型
[ステータス]
Lv. 35
HP 4100/4100
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(危険度C+級。最初に試す相手として不足ないな)
光のパネルを閉じると、ゲントは魔剣を突き立てたまま突進を仕掛ける。
敵側からすれば、丸腰のまま向かって来ていると思ったに違いない。
(でも残念だ。こっちには最強の魔剣がある)
すべてを相手にする必要はない。
ゲントは目標を1体に定めると、魔剣をバーバリアンの胴体に突き刺した。
「オオオオオオオオン~~!?」
視えない剣による不意打ちを食らったバーバリアンは、その場で雄叫びを上げて立ち止まる。
(よし、今だ!)
ゲントはあるイメージをしながら、突き刺した魔剣をそのまま思いっきり引き抜いた。
敵がその場に倒れ込むと、新たなパネルが立ち上がる。
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轟斬猛怒の権能により、
奥義〈斬り潮〉を獲得しました。
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「マジかよ。できちゃったのか・・・?」
実はゲントは、敵に剣を突き刺しつつ、奥義を引き抜くようなイメージをしていた。
(まさか本当に奥義が手に入るなんて・・・)
狙ってやったこととはいえ、さすがに驚きが隠せない。
ゲントはすぐさま自身のステータスを確認する。
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【トウマ・ゲント】
Lv. 88
HP 8800/8800
MQ 0
魔力総量 0
魔力 0
魔法攻撃力 0
魔法防御力 0
火属性威力 0
水属性威力 0
風属性威力 0
雷属性威力 0
光属性威力 0
筋力 568
耐久 547
敏捷 560
回避 551
幸運 562
SPゲージ 880/880
クラスF
堕威剣邪
[ユニークスキル]
【抜剣覚醒】
[奥義]
〈斬り潮〉
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(なんかいろいろと追加されてるけど・・・)
ステータス画面には、これまで存在しなかったSPゲージと奥義という項目が新たに追加されていた。
一度、奥義の項目をタップして内容を確認してみることに。
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[奥義名]
斬り潮
[威力/範囲]
C/全
[消費SP]
5%
[効果]
翻弄して敵陣を切り崩し、剣閃を一気に斬り抜く大技。
敵全体に命中率の高い小ダメージを与える。
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試しにやってここまでできたのなら・・・。
あとはすることはひとつしかない。
(ちゃんとこれが繰り出せるか確認しないと)
反撃を仕掛けてくる別動隊の攻撃を回避すると、ゲントは魔剣を振りかざす。
「いくよ、ルルム」
『らじゃ~ですっ☆』
剣先に意識を集中させる。
(これから俺は奥義を放つんだ・・・。イメージを膨らませて・・・)
頭の中でなにかが弾けた瞬間。
「奥義其の1――〈斬り潮〉!」
ゲントは無意識のうちにそう叫びながら、魔剣を振り抜いていた。
ゴアシャァ!!
その刹那。
円軌道を描く衝撃波がバーバリアンの群れを木っ端みじんに吹き飛ばしていく。
『おおおぉっ~~!! やりましたよぉ~!! マスタ~~っ!!』
「・・・うん。できちゃったね・・・」
本当に奥義が繰り出せてしまったことに、さすがにゲントも驚きが隠せない。
しかも、思いのほかそれは強力だった。
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【RESULT】
☆☆戦闘に勝利しました☆☆
[総合判定]
SS+
[討伐モンスター]
バーバリアン×7
[タイム]
00:04:50
[獲得EXP]
10,500
[経験値ブースト]
×1.2
[特殊ボーナス]
《獲得EXP10倍》
[EXP合計]
126,000
[入手アイテム]
強化カクテル×3
防御カクテル×1
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【LEVEL UP】
☆☆レベルアップしました☆☆
Lv. 88→Lv. 89
次のレベルまであと 経験値 64,595
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リザルト画面を閉じると、ゲントは一度大きく息を吸い込んで呼吸を整える。
すると、だいぶ冷静さが戻ってきた。
(よし。奥義が手に入るってことが確認できたんだ。この分だと一気にモンスターを殲滅できそうだな)
この先どこまでモンスターが出現し続けるかわからなかったが、やるべきことはひとつしかない。
(とにかく倒し続けないと)
そう決意を新たにすると、ゲントはまたべつの敵に目を向ける。
「次いこう。ルルム」
『はいっ! どんどん倒しちゃいましょお~~♪』




