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おもいで精霊と何者でもない私  作者: 天乃 朔
第2章 もしかしてアイドル!?

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218 【記憶】

 私は幼い頃からテレビアニメをよく見ていた。


 侵略者から地球を守るため巨大ロボットに乗り込む少年少女、永遠に年を取らない一家の繰り返される日常、未来から来た猫型ロボットが持ち込んだ未知の道具による大騒動……


 私が生まれる前の作品も数多く再放送されていて、そんな中に、“魔女っ子もの”と呼ばれる女の子向きアニメがあった。

 大抵は魔法の国から来た女の子が魔法で日常のあれこれを解決する話なのだけど、でも、どちらかと言えば、私は魔女っ子アニメのような女の子向きアニメよりも、ロボットもののような男の子向きアニメ方が好きだった。

 魔女っ子アニメの主人公は、大抵が魔法の国からきたお姫様で、感情移入が難しかったためかもしれない。


 ただ、そんな再放送された魔女っ子アニメの中に『魔法少女メルティミミ』という作品があって、それは珍しく私を夢中にさせた。戦う魔法少女アニメ『マジカルティアラーズ』が登場するまで、メルティミミは私の一推しだったのだ。

 メルティミミは、普通の女の子がひょんな事から魔法を手に入れ変身、期間限定でアイドルとして活躍するという物語だ。


 ステージを飛び回る妖精、精霊、幻獣、色とりどりの光の蝶々。

 現実ではありえない魔法による舞台演出は、普通のアイドルからしたら反則だと思う。

 でも、それが何よりも私を惹き付けた。

 メルティミミの存在に、他のアイドルが敵うわけが無い。彼女は魔法で作り出された完全無敵なアイドルなのだから。


 そんなメルティミミを愛する私だったので、ゲームの『アンの魔法(まじかる・)物語(すとーりーず)』、通称『アンま』のアイドルルートにも多少困惑したものの、そういうものかもしれないと直ぐに受け入れた。


 だって、魔法で夢のようなステージを演出なんて、いかにも魔法少女ものっぽいじゃない?


 冷静に考えると、マジティアの戦う魔法少女の世界観にメルティミミの魔女っ子アイドルの世界観が突っ込んできたカオス状態だったのかも知れないけれど、当時の私は違和感を抱くことはなかった。


 さあ、魔法で華麗なる変身!幻想的なステージを繰り広げて見せるわ!


 コントローラーを握る手にも力が入るというものである。

 しかし、アイドルルートに入った途端、魔力パラメーターが消えた……ついでに知力パラメーターも消えた。

 魔法で変身どころか、魔法の存在が影も形も無くなってしまったのだ。


 アンズって魔法少女だったよね。このゲームのタイトル『アンの魔法物語まじかる・すとーりーず』だったよね。

 魔法どこいった?


 ゲームは、歌のレッスンと踊りのレッスンの繰り返しで進む。そして、定期的にオーディションがあって、歌とダンスのパラメーターが高いほど合格の確率が上がる。

 すごく真っ当ではある。

 これが普通のアイドル育成ゲームであれば、……であるけど。


 これはあれだろうか……


 大抵の魔女っ子アニメは、魔法を失って終わる。メルティミミのアイドル活動も期間限定、魔法が消えると共に舞台から去るのだ。

 つまり、「魔法では本当の夢を叶えることはできないんだよ」と現実を突き付けられる訳だ。


 だから女の子は一足早く大人になるのかも知れない。


 もしかして、だからこそ私は魔女っ子ものが苦手だったのも知れない。

 それは正論だ。だけど、でも―――





 アンまにそんなの求めてなーい!!!


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