7話 特大盛りだ!
チョロチョロと水が流れる川沿いを歩きながら
村へ戻る2人。
アイラは、まだロイの背中でおやすみ中だ。
気持ち良さそうな寝顔を覗かせる。
薄暗くなった頃…村へ着く。
「聖女様だ!」
「聖女様が帰ってきたぞ!」
村の入口付近で騒ぐ人達。
背負いながら歩いて来たロイから降りて小走りで
村人達の所に向かうアイラ。
全魔力が何とかと言っていたはずたのだが‥
元気じゃねえか!
アイラの元へ大勢の人達が集まり
そのまま村の広場に向かう。
広場の中央に立つアイラ。
その前に座り出す村人。
「聖女様の話しを聞くのじゃ!皆の衆!」
静まり返る広場。皆これから話す聖女様の言葉を1つも聞き逃す事が無いように真剣な表情をしている。
私達は予定通りに、水門へ向かいました!
そこには剛腕猿を子分としているホワイトコングがいたのです。
ホワイトコングだって!
Bランクモンスターじゃないか!
ある村人が立ち上がり叫ぶ!
まるで演説を盛り上げる役目の様に見える村人は
大げさな手振り身振りをするのだった。
Bランク?
コア(モンスターの強さを表すランクです。因みに、ブーンキラーはFランク。剛腕猿はEランクになります。)
なるほど…
まぁまぁ強い奴だったんだな!
コア(因みにモンスターランクで付き人ロイを例えるとE+辺りです。)
モンスターで例えるな!
ロイは反論するが
ロイの言葉を聞く村人は今この場にはいないのである。
とても強いモンスターでした。
私はバリアを張りながら反撃のチャンスを伺いました。
ですが…
息を飲む村人達。
先程、立ち上がり叫んだ村人も何時の間にか
座り込んでいた。
付き人のロイが恐怖の余り逃げ惑い
私はロイを庇いながらの戦闘になったのです!
「ちっ!」
舌打ちをしながらロイを見る村人。
(あのクソ聖女が!)
村人達の冷たい目線がロイに集まる。
(お、俺は…頑張ったんだ!)
恐怖心を振り払う為、私はロイを抱きしめたのです!
聖女の私が貴方を守るからと!
歓声が湧く!
「流石、聖女様だ!」
付き人のロイを私の後ろに避難させ…
(俺は、お前の前に居たぞ!)
私はホワイトコングの投石攻撃に対し
光魔法を撃ちました!
お互い譲れない激しい戦闘になったのです。
(……………)
私の魔力が尽きかけたと思った瞬間。
天から声がしたのです!
そして一閃の光がホワイトコングに突き刺さり!
遂に倒れたのです!
アイラは自分の手を胸の前で組み合わせ
天を見上げる。
まるで神様が見えているかの様な
胡散臭い表情をするのだった。
「あれこそ神の救いだったのです!」
大歓声が広場を包む!!
「うわ〜〜〜〜〜!聖女様!」
満面の笑みのアイラ。
両手を広げ、天からの光りを全身に受けています感を
村人達に見せつけている。
現在お日様は
おやすみ中なんですが光りを全身に受けています感は
私が聖女様だぞ風に見せる効果を村人達に伝えるには
十分効果が有るようだ。
(神じゃなくて…俺の攻撃だ!)
村長は涙を流す…
ワシはひとめ見た時から聖女アイラ様の光に溢れた
姿を信じておったのだ。
ほう…どんな光りに溢れているんだ?
ロイの言葉を誰も耳に入れないで勝手に広場の村人達は
盛り上がって行く中で突然!
アイラが涙を流す。
ホワイトコングは確かに倒したのですが…
皆様の大事な水門がホワイトコングの攻撃に耐えず
崩壊してしまったのです。
私も必死に阻止したのですが
付き人のロイを守りながらの戦いで守れませんでた。
水門の崩壊を…
その場に座り込む胡散臭い聖女様。
涙を流し口を手で押さえ、片手を地面につけ
脚を折りたたみ肩を震わせる。
まるで物語の終盤に最愛の想い人を失ったかの様な
最高に胡散臭い顔をしている。
何故。
随所にロイをチラつかせ責任はロイにあるんだぞ。
皆それだけは分かってほしい。
みたいな言い方をするのかロイは納得できず
名演技中のアイラを睨む…
やはり胡散臭い顔をしている。
壊したの貴女のライトアローだろうが!
そう叫びたいロイだが諦める。理由は
胡散臭い顔のアイラの名演技に村人達が酔いしれて
いるからだ。
娯楽が少なさそうな感じがする村だ…
大丈夫だ!モンスターを倒してくれたんだ!
水門は俺達が作り直す!そうだろ皆!
そうだ!!俺達が作り直す!
村人達が団結する。
(何だこれは?)
ありがとう。心優しき人々よ。
朧気な表情のアイラは感謝しながらも私は
頑張ってきたの。
でもロイが!とロイ推しする。
村前より立派な水門にしようぜ!そうだ!名前は聖女アイラの水門にしよう!
拍手が止まらない広場。
貴女は…
大陸1のペテン師だ!
ロイは精一杯、溜まった不満をぶちまけかの如く
叫んだ!
しかし次の声に呆気なく掻き消されしまった。
「宴だ!!」
村人が騒ぎだす。
一件落着ねロイ!少し話し盛りすぎたかしら?
ペロっと舌をだすアイラ。
盛りも盛った特大盛りだ!
宴は夜通し続いた…
そして翌朝。
次回へ続く。