6話 私の勇者様
瓦礫が動く。
「ガラガラ!!」
何かが飛び出して来る!
「な、何だコイツ!!」
ロイ達の前にデカく白い猿?
が現れる。
コア(ホワイトコングです。注意強敵です。)
「うっほ!うっほ!」
胸を叩きながらロイ達を威嚇する。
(コア!攻撃ルートを出してくれ!)
赤いルートしかない。
初めて見たルートだが赤はだいたい駄目な意味で使う
イメージしかないロイ。
「これだけか?」
コア(力の差があります。攻撃してもダメージを受ける方が確率的に高いです。逃げる事を推進します。)
「アイラ逃げるぞ!」
セイントバリアに守られたアイラ。
逃げるわけには行きません!
水門を破壊し村人達を苦しめる!この根源を放置する
わけには行かないわ!
(お前だ壊した奴は!!!)
瓦礫が飛んでくる!
うわ〜〜!
必死に逃げるロイ。
冗談じゃない。さっきの猿と比較にならない力だ。
さっきの猿どもがスカウト対象ならコイツは油の乗った
ベテラン投手だ。
「聖女様。先程みたいにライトアロー撃ち込んで下さい!」
逃げ惑いながらアイラに頼むロイ!
アイラはホワイトコングの瓦礫投石をセイントバリアで弾きロイを見つめる。
あ!笑った。
「それは無理よロイ!私は自分を守る為に全魔力を使っているの。だからライトアローは撃てない!」
何で笑う!他人を守れ!
どんどん瓦礫を投げつけてくるホワイトコング
仲間が殺られてイライラしている!
(真面目にヤバイ!強すぎだろアレ!)
しっかりバリアで弾き返すアイラは
逃げ惑うロイを見て、また微笑む。
(あの野郎!自分ばっかり守りやがって。)
全然、当てにならん!!
(コア!何かないか!奴を倒す方法は?)
コア(…………………)
やっぱり無いか。
そう思いアイラの後ろに周り込む。
「これなら安全だ!」
な、何してるの!
聖女の付き人の貴方が聖女の背中に隠れるなんて
私を守りなさい!
紋章が輝く…
ロイの紋章も輝く
共鳴する2人の紋章。
ロイはセイントバリアで守られたアイラの前に立つ!
「聖女様を守りたい!」
コア(おめでとう。聖女様を守りたい気持ちになる。特技を覚えました。)
(マジで要らないスキルだな!)
ホワイトコングの瓦礫投石を弾くバリアの前で聖女様を守りたい気持ちでホワイトコングの投石を躱すロイ!
(意味があるのか?俺の行為は?)
コア!ヤバイぞ!これは本当に何か無いのか?
コア(1つだけあります。)
(何だ?)
コア(勇者を職業に表示し、勇者の力を開放すればホワイトコングを倒せる確率が100%になります。)
(そしたら俺が勇者だってバレるだろ!)
コア(私に考えがあります。聞きますか?)
コアの考えを聞くロイ。
「……………………………無理だって!」
コア(死にますよ。)
「グッ!」
ロイはコアの作戦を実行に移す事にする!
せ、聖女様…
このままだと2人とも助からないかもしれません。
だから聖女とキ、キスがしたい!
え?嫌よ!意味がわからないわ!
口を押さえながら嫌がるアイラ。
アイラ!
幼馴染みのお前とキスがしたいんだ!
俺は死ぬかも知れないんだ!
最後に好きな人とキスがしたいんだ!
顔が真っ赤になる!アイラは地面を見つめる。
「そ、そんなに……したい?」
したい!
目を瞑り唇を差し出すアイラ。
緊張するロイ。
2人の唇が重なる
「聖女様の初キッスだぞ!」
可愛いな。
コア(思春期さん、勇者を職業に表示します。)
身体から力が溢れ出すロイ。
青白い光りがロイを包み込む。
自分でも感じる増力感…
コア(今のロイのレベルの勇者の力に変わりました。)
付き人とはエラい違いだ!さすが勇者だな。
爺ちゃんの剣を構えるロイ。
凛々しい姿にビックリするアイラ
「ロイだよね。どうしたのよ急に?」
聖女様の力が俺に流れてきました!
「まぁ!」
コア(一撃で決めます。)
え?本当に言うのこれ?
コア(言わないと技が発動しません。)
本当に?
コア(そう言う世界なんです。)
天空を貫く我が剣よ!
その剣先に纏いし神の怒りを我が力となり
解き放て!
「天雷神波斬!」
テンライシンハザン。
恥ずかしい
コレは恥ずかしいぞ!
爺ちゃんの剣が光るバチバチと雷を纏う。
ロイはそれをホワイトコングめがけ振り払う。
雷を放ちながらホワイトコングに真空波が飛んで行く。
ホワイトコングは反応出来ない様だ。
真空波がホワイトコングに直撃してもダメージを
受けた様に思っていないホワイトコングは
次の投石の動作に移る。
しかし
右手は瓦礫を掴むが、そのまま右半分の身体が瓦礫の中に埋もれるように倒れ左半身だけが残る。
その瞬間、稲妻がホワイトコングの身体を焼き尽くす!
黒焦げになり消えるホワイトコング。
勇者はやっぱりすげ〜な。ロイは自分が放った技に
只々驚く。
勇者は常に隠し村人として過ごした15年。
勇者の自覚は、そもそも持ち合わせてはいなかった。
「なんて力なの!まるで勇者様だわ!」
全て聖女様の力です!
私に力を与えてくれたのは間違いなく聖女様です!
褒めまくるロイ。
照れまくるアイラ。
(誤魔化せた!ナイスだコア!)
コア(再確認しました。技の名前の前の恥ずかしい言葉は、不要でした。)
ワザとやらせたな!
コア(………)
ホワイトコングの魔石と魔グミを手に入れるロイ。
ロイが食べなさい!
魔グミを食べるロイ。安定の無味無臭…
身体が熱くなる。
コア(レベルアップしました。新しい特技を習得しました。)
確認するロイ…
【剣術1 蟹挟み耐性1 背負いながら戦うのが上手い1 聖女様を守りたい気持ちになる1 キスが上手く出来る1】
(要らない!キスが上手くなるは要らない。)
村へ戻る2人…
疲れたから(おんぶ)と騒ぎ紋章が光るアイラ。
ロイの紋章が反応する。
別に聖女パワー使わなくても
今日は普通に背負ってやるけどな!
背負いながらロイは村へ戻る。
「私の勇者様…」
焦るロイ。
何だ寝言か。
寝顔が穏やかなアイラをみるロイ。
「聖女様、お疲れ様です。」
次回へ続く。