困ったことに悪魔降臨
俺の名前は夢見増夫。毎日を全力投球で生きている。仲間と共に強大な壁に立ち向かったり、時には孤独に仕事をこなす。もちろん日々を過ごすために鍛練も怠らない。友達には「マスオさんはここに命かけてますね」なんて言われる。時々俺の何をわかっているんだと一人憤ることもあるが自分にとってこの生き方が合っているんだと思う。
ある日ネットサーフィンをしているといつの間にか不思議なサイトに飛んでいた。
(黒魔術で夢を叶えてみませんか?)
胡散臭さしかないこのサイトを何故か読み進め、気が付けば黒魔術の儀式に入っていた。
サイトによれば用紙に大きく円を書きこの中に五芒星を書く。その真ん中辺りに水の入ったコップを置き自分の体の一部をコップの中へ。髪の毛を入れてみた。出来たら呪文!
「サッサタラバガニンジンタンナベ」
もう胡散臭いとかじゃないなと思いだんだん恥ずかしくなってきた。コップ越しに五芒星を眺めていると線が大きく歪み水が光だしその光が天井まで拡散していく。眩しくて目を開けているのが辛い。
光がだんだんと小さくなっていくと中から現れた。異形の存在。「あ、悪魔」
思わず口に出た。
「そうだ、この悪魔様がお前の願いを叶えてやろう」
サイトには出てきたあとのことなど書いてなかった。
「ただし代償が必要だ」
寿命とか言い出すのだろうか?言葉が出ない。
「俺様は下界に興味がある」
あれ?悪魔ってどこににいるんだっけ?ここって下界なんだ。
「仕事というものを教えろ、下界で生きていくにはどうしたらいい?」
「はい?」
どうでもいいことを考えていたら聞き取ったはずの言葉を理解できなかった。
「仕事だ!金、というものを稼ぐのだろう?」
今度はしっかり理解できた。が、言葉は出てこなかった。これは恐怖などから来るものではなく、単純に悩んだ結果だ。
「どうした?」
「...………」
悩み困った。
俺は引きこもりニート野郎だからである。