輝ける季節(三十と一夜の短篇第37回)
風光る季節がまた巡ってきた
ぬくもりを抱えた風の接吻に
寒さに押さえこまれていた万物は
生命力を一斉に溢れさせる
冬枯れのすさまじき景色は
嘘のように消え去っていく
新たな芽ぐみが凍えていた世界を打ち壊す
陽光は惜しみなく下界に微笑を向ける
草木は弾かれたように萌出ずる
花々は太陽に咲い返す
小鳥たちは喜びを露わにして翼を翻して空をゆく
虫たちもまた暗い穴から這い出てくる
生きとし生けるものたち
春の輝きを周く享受せよ
我らは煌めき 生を謳歌する