初仕事と再会
俺は王都西側の草原に来ていた。
見渡す限り何もないただの草原が広がっている。さらにその先には山脈があり頂上近くから雪が積もっているのが見える。
さて、討伐するのはキツネに似たエデティとかいう魔物だったな・・・
俺は周囲を警戒しながら適当に歩き始める。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
いない・・・
キツネどころか何も生き物が見つからない・・・
俺はその場で座り込んだ。風がいい感じに吹いていき緊張した身体が解れてくる。
目を閉じていればすぐに眠れそうだ。
ゆったりとした時間が流れていく。ちなみにまだ生き物がいない・・・
ツンツン、ツンツン
つい、ウトウトしていると何か硬いモノが俺の身体を突いてくる。
目を開けて確認するとそこには、護衛騎士のセリナが俺に剣を向け立っていた。
「おい、こんな所で寝るな!魔獣の生息域だぞ!」
その魔獣がいないから探しているのに・・・
「その魔獣を探しているんだ。ところで騎士がこんな所で何をしているの?」
「陛下から命じられたのだ。お前と一緒に行動するようにと・・・敬愛する姫様から離されてこんな目に・・・」
本音が漏れてますよ・・・
王様もよくやるな。俺の為に騎士を派遣してくれるなんて・・・
彼女ならばこちらの魔法も知ってるし魔物にも騎士だから詳しいだろうし一緒にハンターするなら最適かな
「あの・・・俺、エデティという魔物を探しているんですけど・・・」
とりあえず、何やらブツクサ言っている彼女に魔物の事を聞いてみる事にした。
「あぁ、エデティは背丈の長い草むらにいる事が多い。ちょうどあの辺に行けばいるだろう。」
そう言ってセリナは俺の背丈ぐらいの草が生い茂っている草むらを指差した。俺は言われた通り、草むらをかき分けて行くと隠れる様にキツネがいた。可愛かったらどうしようとか考えていたが、赤い目がむき出しになり口からはおびただしいよだれがたれているのをみた瞬間、そんな考えは消えた。キモいし臭い。
俺は魔法を直ぐ様イメージし発動した。
ザッシュ!
キツネの頭から身体が真っ二つになった。
「おっ!倒したか・・・そのエデティは尻尾が討伐証明になるから真っ二つにすると意味が無いぞ!」
そういう事は最初に言ってください。
俺は気を取り直して別のキツネを探す。今度はすぐに見つけた。尻尾が傷つかない様にイメージをして魔法を発動する。
今度は頭を切断した。ドサッと倒れたキツネの尻尾をナイフで切り空間庫に入れる。
その様子をじっと見ていたセリナが急に詰め寄ってきた。
「何だ!今のは尻尾がどこかに消えたぞ!どうしたんだ?」
そういえば前の時は見せてなかったな空間庫。
「今のは空間魔法で作った魔法で何でも入る入れ物だ。」
説明が難しい。4次元とかどう言えばわからない。かく言う俺もあの国民的アニメが無かったらイメージ出来なかったけど・・・
「空間魔法にこんな使い方があるなんて・・・」
セリナは口を開けたままこちらをじっと見ている。こんな姿でも美人は絵になるな・・・俺は手をセリナの目の前で振って注意を引きつける。セリナは、はっとした様に慌ててごほんとわざとらしい咳をする。
さて、どんどん倒していくかな・・・