尋問会(後)
俺は素直に全部話す事にした。異世界云々は省いて・・・
旅をしていて寝て起きたら森の中に一人でいた事。
魔物に襲われて逃げたら遺跡みたいな所に入った事
夢の中で神様から魔法を教えてもらった事
成り行きで騎士達と同行することになった事
王都への途中で魔物に襲われ、それのボスを倒したことなどだ。
俺の話を静かに聞いていた王様達だったが神様に魔法を教えてもらった所で顔色が変わった。
「そ・そ・それではワァール殿は神理魔法の使い手ってことですか!?それは凄い!系統は?空間魔法!それは素晴らしい!空間魔法の使い手はここ数百年いなかったはずですからなぁ。いやはやなんと素晴らしい!神理魔法に適正がある人間の数が年々減少しているなか最早、幻とも言われた空間魔法!儂は今奇跡を目撃している!!」
宮廷魔術師長って呼ばれた爺さんのテンションがどんどん上がっていくな。興奮しすぎてポックリ逝きそうだが大丈夫なのかな?
あまりのテンションの高さに内心引いていると、冷静だった総騎士団長は見てみたいと言った。なんでも実際に自分の目で見ないと信用しないらしい。国王もそれに同調し、王城の中にある修練の間という王族が魔法の練習をする場所に行くことになった。尚、宮廷魔術師長の爺さんは俺達が移動する時も一人で喋り続けていた。
俺達は修練の間にやってきた。ここは何代も前の王様が当時の空間魔法使いに作らせた部屋で、部屋自体が異空間にあり強力な魔法を使おうと王城には何ら影響は無い独立した場所なんだそうだ。
俺は誰も装備していない鎧に魔法を使うことになった。胴体を切断するイメージを作り、魔法を発動する・・・
カランっと金属の兜が下に落ち音を立てた。鎧の胴体部分はざっくりと切られている。
「ほぉ、素晴らしいな。剣ではこう綺麗にいかない。金属の潰れたところもなく切断されている。」
総騎士団長は切断された鎧の断面を見ながらそう呟いた。
俺達は再びさっきの部屋に来ていた。正気に戻った?宮廷魔術師長が「なんで儂だけ空間魔法が見られないんだ」と、とてもウザかったが・・・
気を取り直して話をしたのは俺の今後のことだった。
宮廷魔術師長は俺を宮廷魔術師にするべきだと訴えたが、身分が確かじゃないとなれないみたいだ。当然だな。身分がわからないものを採用して、もしその人が他国のスパイだったらとかあるんだろう。
そこで総騎士団長がハンターズギルドに登録してみればと言った。なんでもハンターズギルドは農村などの貧しい人々から一獲千金を狙ってハンターになろうという若者が多いそうだ。
「ハンターかぁ・・・」
話し合いが終わった後、俺は部屋に戻り一人呟いた。
あの後、聞いた話によるとどうやらハンターはラノベとかでいう冒険者みたいな仕事だそうだ。薬草採取や魔物の討伐などが主な仕事で、依頼達成した達成率によってハンターズギルドから給料が支払われるそうだ。
昔は依頼ごとに報酬が出ていたらしいのだが、報酬が少ない依頼がいつまでも残って報酬が高い依頼しかしないようになったのでこうなったらしい。