尋問会(前)
俺は今、謁見の間でたくさんの騎士と共に方膝立ちで胸に右手を添えて下を見ている。このポーズは謁見の際に使われる最上位の礼だそうだ。俺の今の服装は地球のスーツに似た服装で所々に金色の装飾が施されている。騎士達は頭以外はフル装備でとてもこの体勢がきついそうだ。騎士の一人がそうぼやいていた。この謁見の間には他にも上位貴族や、宮廷魔術師がいて彼らの舐めるような視線が余計に疲れる・・・そんな場所だった。貴族達は優秀な騎士をを見つけていかに他の貴族を出し抜いて接触を持とうかと画策しているそうだと後から教えてもらった。
「これより、神山への第三王女、ミルファリア=ファゼランス=アルヴァリオン姫殿下の護衛を勤めた騎士達への勲章授与式を執り行う。」
「国王陛下!入場!」
ドォーーーーン!!
どこからか大きく響き渡る重低音の銅鑼の音が聞こえる。決して狭くないこの謁見の間にここまで響かせるなんて・・・これも後から聞いたことによると魔道具の効果らしい。
「一同、面を上げよ!」
威厳のあるはっきりとした声が聞こえた。
・・・俺はこの声に聞き覚えがある・・・
下を向いていた顔を上げると、正面の一際豪華な椅子―玉座―にはこの前に一緒に話をしたおっさんが座っていた。
「えっ!?」
俺は内心驚いていると、俺の驚いた顔を見つけたのか陛下がこちらをみて一瞬、笑みを浮かべた。あれだ・・・おっさんの事だから、今日この場で驚かせようとしたんだろう。
おっさんにしてやられたと悔しい思いが出て俺はこの後の話を何も聞いてなかった。
―次の日―
俺はメイドに連れられ、執務室だろう部屋に来ていた。俺の前には陛下が座り、その横には総騎士団長と呼ばれていた巨大な鎧を着た威圧感のある人と、宮廷魔術師長と呼ばれていた漆黒のローブを着ていかにも魔術師だという姿のおじいさんが立ちながらこちらを伺うような視線向けていた。それに対し、俺の後には騎士のセリナと護衛騎士隊長がいる。何とも言えない空気のなかで総騎士団長が口を開いた。
「お主が、エルベルディリアを倒したという平民の旅人か?」
「エルベルディリアというのは?」
俺は返事に困った。エルベルディリアとは何か想像できず、とりあえず質問に質問を返してみることにした。
「・・・エルベルディリアとは神山付近に生息する魔獣で身体が剣が通らないほど硬く下級種を配下にして群れを作ることからも危険で有名なのだ。」
群れで思い出した。そうか。。。あれがエルベルディリアか・・・
「わしが聞きたいのは使った魔法についてじゃ・・・どうやったらあんな綺麗に切断できるのかを知りたい。」
宮廷魔術師長は使った魔法について知りたいらしい。皺枯れた顔に眼だけが爛々と輝いている。