プロローグ
初投稿
がやがやとうるさく感じる中、俺、鳴神 守 〈なるかみ まもる〉は吐き気と戦っていた。
その吐き気の正体それは車酔いだ。俺は乗り物、特に自動車に酔い易く修学旅行の3分の1を占めるこのバスでの移動が嫌で修学旅行に行きたくないと散々ごねていた。親と担任に説教されて行く事になったが・・・
親に渡された酔い止めはもう効果がなく、俺は目を閉じ早く止まれと念じ続けていた。
「鳴神のやつ、修学旅行始まったばかりなのにもう、寝てるぜ!」
「起こしてみようぜ」
なんか自分を呼んだ気がする・・・
「やめなさい。車酔いなんだから。」
ん・・・ナイスだ・・・そのまま守ってくれ・・・
「・・・昔、彼はやらかしたの・・・バスの中で壮大に吐いたわ・・・えげつない匂いと床に流れる汚物・・・私の小学校の修学旅行の思い出はそれだけだわ・・・ねえ、お願い・・・私にちゃんとした修学旅行させて・・・」
ん?なんか空気が変だぞ・・・
それからは誰にも邪魔されず寝る事ができた・・・
「んーーーーよく寝た・・・あれどこかのSAに着いたのかな?誰もいない・・・」
誰もいないバスの中で俺は独り言をつぶやいた。
とりあえず降りてみようと思い、開いていた出入り口から外を見た瞬間・・・
「!?なんじゃこらーーーー」
鬱蒼とした森にまわりは囲まれ道路らしきもない森の真ん中にバスはあった。
「えっ!?ドッキリ?・・・」
そんな感想しか出てこなかった。だってありえないもん。
とりあえずバスから出てみるとやはり森だ・・・ここどこだろう?京都に行く途中だから奈良?
奈良県民の皆様ごめんなさいと心の中で謝りながらバスの周辺を回ってみる・・・
誰もいない・・・あっ、荷物のキャビンが開いてる。中は・・・自分のバックしかない・・・
バックを回収し荷物を確認していると何処からか獣の鳴き声が聞こえてきた。
鳴き声の方を見ると、そこには2mぐらいの大きな犬・・・いや、オオカミがいた。
グルゥゥゥゥゥゥッ!
やばい・・・目があった・・・
武器もあれば良いけど、あいにく何も無い。
そこからは、それこそ死に物狂いで走り続けた。
森の中を走って走って走り続け、
気が付いたら大量のオオカミに崖を背に追い詰められていた。
「ハァハァハァ・・・やばい・・・死ぬ・・・」
走り続けた所為かもう足腰に限界が来ていた。
祖父から教わった武術をもうちょと真面目にやっとけばな・・・
そんな後悔が浮かんでくる。
どうせ、死ぬのだから少し休もう・・・
俺は周囲を見回して座りやすい岩を見つけると、そこに倒れる様に座り込んだ。
ガコン
なんか岩が沈み込んだぞ・・・なにこれ・・・
周囲を見回すと、崖に人がひとり入れるぐらいの穴が空いていた。
直感でここに入ろうと思った俺は、
ふらふらな自分の身体を気力で動かして穴の中に入って行った。