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あれからエリカ様は留学中の隣国の王子とのスペシャルシークレットモードをプレイ中であったが、盛大に失敗してしまったのか、スペシャルバッドエンドになってしまった。

少し可哀想にも思ったが、彼女の行動の裏に私の様に悲しんでいるご令嬢も沢山いた訳で…

どうして、お一人だけをお慕いしなかったのか、残念に思う。

エリカ様を囲んでいた男性陣は皆厳罰に処され、学園を去っていった。

それの主たる人物がこの国の王子である。王位継承権剥奪の上に幽閉らしい。

リカルド様が催した食事会が警告だったというのに、あまつさえ隣国の王子とエリカ様を取り合ってイザコザを起こしてしまったのだ。

タチアナは食事会の時に『愛のスパイス』を自ら振りかけていた元婚約者である公爵令嬢を思った。

ご本人は「最後に自らの手で痛めつけたと思ったらスッキリしましたわ!」とリカルド様のしたことに対しても好意的に受け取ってくれたが、どこか寂しそうな表情だった。

本当に王子のことをお慕いされていたのね…

他のご令嬢も、同じように声をかけてくださったが、その声が多いほどエリカ様の罪深さを感じた。

リカルド様も食事会を経て危ない所を回避してくれた恩人だと一部の男性陣から崇められている。

その噂をを私は鼻高々な気分で聞いていた。

やっとリカルド様の素晴らしさが世間に広まったのね!

知的で先見の目があって、真面目で誠実で、優しくて紳士的で…それで誰よりもかっこいいの!

そう思っていると突然、タチアナの顔が真っ青になった。

やだ…リカルド様のかっこよさは他のご令嬢に知られたくないわ…

エリカ様の様な魅力的な方がいらっしゃったら…

そう思うと怖くて仕方なくなる。


「タチアナ、準備は進んでる?」


リカルドの声にタチアナが我にかえる。


「…い、一応…」


この前の話の後に実家から手紙がきて、分からなかったのは私だけということに気づいた。

リカルドは食事会の時に然り、結婚においても用意周到に根回しをしていたのだ。


「タチアナの花嫁姿楽しみだな。」


リカルド様はためらうことなく、甘い言葉を吐く。

彼曰く、結婚のために慣れて欲しいという事らしい。

先ほどまで真っ青だったタチアナの顔がすぐに真っ赤になってしまった。


「 …私、可愛くないですし、愛嬌もないですが…リカルド様はいいのですか?」


エリカ様の様に…

彼女のした罪はあるが、ただ愛されたいだけで、本当は真っ直ぐで可愛らしい方だった。


「多くの方が私から助けられたと仰ってくださいますが、それは違います。私が助けられたのです。綺麗な心を持つ人がそばに居てくれたからこそ、偽物を見分けることができた。私にとってタチアナは身も心も綺麗な女性なのです。」


自分が聞いたこととは言え、リカルド様はぐうの音も出ないほどに甘い言葉をタチアナに流し込む。

一つわかったことは、その甘い言葉を吐いている時のリカルド様は非常に生き生きとしており、顔を真っ赤にして何も言えなくなった私を見て満足そうにするのだ。

以前思っていたリカルド様とは違うけれど、そんな所も大好きな訳で…

ゲームの内容はバッドエンドで終わってしまったが、私の人生はまだ終わらない。

私、タチアナとリカルド様で地味だけれど、誰よりも幸せな人生が始まるのだ。


エリカ様王子以外の人と幸せエンド、モブの海外逃亡エンドも考えた結果、スペシャルバッドエンドです。

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