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1話

キーンコーンカーンコーン×2


四時限の授業が終わり、教室は(にぎ)やかになってきた。


「ねぇねぇ、一緒に食べようよ!」

「うわっ、家に弁当忘れた。誰か俺にカンパしてー」

「この卵焼きとタコさんウインナー交換しない?」


けれどそこに僕の声は混ざらない。なぜなら僕はそう、ボッチだから。


昼休みに一緒に昼食をとる相手などいないし、もっと言えば基本的には人と話さない。でも、ボッチであるという事を他人に知られたくないので、授業終了からの五分間は教室に残って黒板の字を消す。満足するまできれいにしたらおもむろに時計を見て、待ち合わせに遅れてしまったかのように駆け足で教室から抜け出し、人気のない場所でこっそりとボッチ飯をする。


いつも通りならそうなるはずだった。


しかし、今日は何やら騒がしい。どうやら先客がいるようだ。


「おい、そこで跳んでみろ」

「跳べって言ってんだよ」


「ひぃ、な、なんですか」


 見れば、男子生徒が数人の不良予備軍に囲まれていた。複数人から恐喝され続けるというのは第三者目線でも恐ろしいものだ。あえて不良予備軍(・・・・・)と称したのは、その生徒たちは髪を染めたり、校則をしばしば破っているものの、辛うじて授業には出席しているからだ。


 このまま傍観者に徹するのは少々良心が痛むので、注意しようと思う。・・・もう、間に合わなくなるのは嫌だから。ボッチだって勇気くらいは持っているんだぜ!―よし


 「あ、あにょっ」


 ―速効隠れた。だって、噛むとは思わなかったし。つーか最後に人と話したのはいつだっただろうか。ボッチは勇気は持っている。だが、コミュ力は一番欠如しているのだ。・・・所持してたらボッチになってないか。


 ヤバイ、人と話すの辛い。誰か代わりに助けてあげて。すまない男子生徒、俺には荷が重かったようだ。


 自分に限界を感じて退散しようとすると、


 「何をしているんですか!」


 と女性らしき声が聞こえてきた。バレないようにこっそり音の方を除くと、僕の一つか二つ上くらいの年齢の女子生徒がたった1人で不良予備軍に立ち向かっていた。


 いくら何でもそれはやめておいた方がいいだろうと思ったのだが、立ち向かって来た不良予備軍①の顎にしょう掌を打ち込み、手を引き戻す動作のついでに不良予備軍②の鳩尾に肘を喰らわせた。僕が予想外の戦闘力に呆然としていると、不良予備軍は1人残らず地面に横たわっていた。たった数瞬のうちに女子生徒は予備軍をいなしてしまったようだ。交戦中に身体の軸がぶれなかったことから何か格闘技をやっているのだと思う。


 「そこの人も出てきて下さい!出て来る気がないなら……こっちから行きますよ?」


 ヤバイ!気づかれた!?早く出て行かないと僕までヤ(殺)られる!!


 『…へぇ。ボクを認識出来るんだ?これは決まりかな?』


 へ?僕じゃなかったのか?


 良かった。これで安心して逃げられる――


 そんなことを考えたまま、僕は謎の光に包まれていたのだった。

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