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覚悟を決めて異世界で  作者: ココナッツ
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力を持つという事

導が次に目を覚ましたのは木々がざわめき足場の悪いが、それでいて空気の澄んだ森の中であった。

「ふむ、ここはレビンの側なのかな?まぁ、いきなり街の中に現れても駄目だろうしその辺の配慮なのかな?取り敢えずは自分がどれくらい戦えるのか試す必要があるかな……。御使い様って位だから結構強い方だろうと思うけど」

いきなり素手はハードルが高いから腕輪に魔力を流して、武器に形態を変化させる。これは始めに流れ込んで来た力の使い方の一つである。感覚的にはまだありそうだが力不足な為か全てはわかってい無い。

「うん、武器と言えば剣とか刀とかなんだが……これも中々に手に馴染む」

導の手に握られていたのは細長い金色の持ち手で先端は楕円形に膨らみシリトンの様な宝石の埋め込まれている一振りの鎚であった。

側から見れば成金の持つ様な武器ではあるが導は軽くクルクルと器用に回してみたり、軽く振り抜いてみたりと具合を確かめるとよし、と呟き獲物を探しに森の中を歩き始める。

歩き慣れない道ではあるがそこまで疲れや苦労が無いのは、此方に来てから多少の基礎能力が上がっているからだろうか?何はともあれサクサク進む事ができたのは良い誤算であった。

「おっ!ファンタジー定番の狼だな?初めての相手にとって不足は無い!」

導が此方に来て初めての出会ったのは狼の魔物……二体のグレイウルフであった。

力試しが本来の目的であるため不意を突く様な事はせず、適当な石ころを投げ込んで、此方に意識を向けさせる。

「グゥルルル……」

「よーしよし、早速いくぜ!」

此方に威嚇をするグレイウルフに走り込み距離を詰める。

ブンと振られる鍵爪をサッと交わし蹴り飛ばすと、そこにタップリと遠心力を乗せた一撃を叩き込む。振り抜かれた鎚はパチパチと電気を迸らせながらグレイウルフを捉え、その命を摘み取る。

「グァァァーー!!」

バットの様に振り抜いた無防備なところにもう一体が鋭い歯をむき出しに飛びかかる。しかし導は遠心力をそのままにクルリと一回転すると飛びかかってくるグレイウルフの脳天に照準を合わせると

「ふんっ!!」

気合の一言とともに一気に振り下ろした。

「うげぇ気持ちわる……こりゃ派手にやり過ぎたな。まぁ、これくらいならどうってこと無いな……多分素手でもいけるな」

脳みその弾け飛んだグレイウルフだったモノを一瞥すると「次は魔法だな」と呟き次の獲物を探しに森に消えていった。

〜〜〜〜〜

「……これは!」

レビンの側にある森に最近大きな魔物が発生したと報告を受けた私は今その調査に来ていた。

その大きな魔物とはアーマーバードと呼ばれる鋼の様な甲殻に身を包んだ鷹の様な魔物で非常に獰猛でその鉤爪と外皮が甲殻の様になったものである。

しかし、今はそれよりも頭の原型がなくなったおそらくグレイウルフであろう魔物である。

「これは巨人系の魔物かアーマーバードより上位の魔物がいるやもしれんな……」

顎に手をやりながら当てはまりそうな魔物を頭に浮かべていく。

そもそもグレイウルフ自体そこまで強い方では無いが、原型が無くなるほどの圧倒的な攻撃を受けるほど、動きが遅い魔物ではない。冒険者ならそれも分かるが素材を回収するはずだが、これにはその痕跡はない。

「うぅむ……これは一旦ギルドに報告したほうがいいかもしれ無いな」

巨人族は動きが遅いから、もっと別のものだなと考えながら、他に何か無いかと見渡す。

「!!」

その時少し離れたところに今回の本来の目的であるアーマーバードがなにか(・・・)と戦っているのが見えた。

(アーマーバードが戦っているのがこれをやった奴なら問題無いんだが……だだの冒険者ならマズイな。本来私の依頼だからな……仕方ない様子を見に行くか)

そう結論付けると私は駆け出した。

〜〜〜〜〜

「あんな重量ありそうなのによくあんな小さい翼で飛べるもんだ」

今度は魔法を使うため、一旦鎚を腕輪に戻して目の前の魔物に意識を向ける。

そこにいるのは、此方を威嚇するようにうるさく鳴く背中一体を甲殻に身を包んだ鷹の様な魔物だった。

「ピィギィイ」

睨み合いが続く中先に仕掛けたのは鷹の様な魔物ーーーアーマーバードであった。

アーマーバードは高度から一気に滑空し鋭い口鉢で導を貫かんと迫る。

「おっと、サンダーボール!」

それをなんとか交わすとその背中にごく一般的な魔法を放つがクイと上昇したため当たることはなかった。

「やっぱりこれくらいじゃ速さが足り無いか……ならサンダースピア」

ヒュンと先程とは比べ物にならないほど速い一筋の雷の針がアーマーバードに直撃する。

「ピィギィギイィ!」

しかし今度は威力が足りず逆に相手を激昂させる事となった。アーマーバードがその場で大きく翼を羽ばたくと薄緑色の斬撃が飛んでくるのが見えた。

「魔物も魔法使う奴も居るのな。今のは……緑属性の魔法かな?でも、これで終わりだなボトルチェイサー」

魔法にも慌てる事なくしゃがんで交わすと魔力を練り上げていた魔法を発動する。

発光した電撃の球体がバチバチと激しく弾けながらアーマーバードに向かって飛んでいく。当然それをかわそうとするが……

「残念ながらもう捉えた。絶対逃がさんぞ?」

導の放った魔法もまた軌道を変えアーマーバードを追い着弾とともに爆ぜる。

「ふぅーいい練習になったかな?」

ぼとりと落ちてきたアーマーバードを見ながら呟く。

先程のグレイウルフほどでは無いが雷で焼かれたその身は黒く焦げており甲殻はひび割れており、元の姿が分かりずらくなっていた。

「……これは」

「げっ、見られた」

その場を立ち去ろうとした時鎧を着込みロングソードを構えた剣士と思われる女性と目が合った。

〜〜〜〜〜

「ピィギィイ」

私がそこについた時アーマーバードが高度から滑空して、冒険者(と言うには不自然なほど軽装)の男の腹を貫かんとしているところだった。

「(マズイ!!)」

咄嗟に飛び出そうとするが冒険者の男はヒラリと交わすとアーマーバードの背中に魔法を放つ。しかしそれは残念ながら当たる事はなかった。

「(あの男中々にやるな……並の冒険者ならあれを交わした後反撃なんて中々できるものでは無い)」

私は本来助けに入るつもりだったが、男に興味がわき、少し観察する事にした。

「〜〜〜〜じゃ速さが〜〜〜サンダー〜〜」

男の声は距離が少しある為よく聞き取れ無いが、速さが足り無いと悟ったのか別の魔法を放っていた。

それは真っ直ぐ吸い込まれるようにアーマーバードに直撃するが……

「ピィギィギイィ」

予想通り、多少は効いたようだが激昂させるだけの結果となった。

「決定打に欠けるな……そろそろ出るか?」

そう呟き立ち上がり出て行くタイミングを見計らう。

その時薄緑色の斬撃が男目掛けて飛んでいく。とんでもない速さと切れ味を持つ魔法の一つで思わず飛び出すが、男はそれすらも屈んで交わして見せた。その事に男の方を見て動きが止まってしまった。

「(笑っている!?)」

この攻撃を前に笑っていられる事が私は信じられなかった。そもそも武器を持ってい無い事から後衛職の彼がああも攻撃を上手く交わしている事に今更ながら驚愕した。

「魔物も魔法使う奴も居るのな。今のは……緑属性の魔法かな?でも、これで終わりかな?ボトルチェイサー」

ニヤリと笑う彼から発光した電撃の球体が射出された。速さは申し分なく当たるかと思われたがアーマーバードも何とか交わした様だ。そしてその隙に攻撃を叩き込もうとするアーマーバードを見て尚男は、笑みを崩さなかった。

「残念ながらもう捉えた。絶対逃がさんぞ?」

その言葉通り男の放った電撃はまるで生きているかの様にクイと曲がりアーマーバードを捉えた。ぼとりと落ちたそれは真っ黒に焦げひび割れた甲殻だった。そして男の次の言葉に私は耳を疑った。

「ふぅーいい練習になったかな?」

練習。そう、練習である。彼にとってアーマーバード程度では戦いではなく、ただの練習であり訓練でしか無いのだと私は悟った。

「……これは」

「げっ、見られた」

呟きのつもりだったが男には聞こえた様で、なんとも嫌な顔をされた。

〜〜〜〜〜

「えーと……だれ?」

鷹の魔物を倒したところで、謎の女性に見られていたことに気付き、少し気まずいながらも声をかける。

「……私はレビンの街よりそれの討伐依頼に来たサザンカだ。その強さ名のある冒険者と見るが、名を聞いてもいいか?」

サザンカと名乗った女性は剣を鞘に仕舞い居住まいを整えた。

「あー俺は冒険者では無いんだが……まぁ名前は水無月導だ。まーなんだ?よろしく」

冒険者でないと言った時サザンカの眉がピクリと動いたを導は見逃さなかった。

「それだけの力を持ってギルドに所属してないのか?力あるものは力無き者の為にその力を振るうのが義務というものだ。力を持つというのはそういう事ではないのか?」

「うーんそうですね〜」

導ば内心面倒くさそうなやつに絡まれたかな?と思いつつこの状況から脱する方法を考えていた。

「よし、ちょっと来い!レビンで冒険者登録をするぞ!」

「えっ?ちょっとやめろよ」

サザンカはいきなり腕を掴むとそのまま引きずっていこうするのを振り払う。

「何をしている?レビンで冒険者登録をするんじゃないのか?」

「いや、するけど引っ張るのはやめてくれ。あまり良い気はしない」

「むぅ、そうだな。すまない」

「あと、なんか面倒くさそうだから俺は一人で行くわ」

サザンカが頭を下げたのを見て導は一気に駆け出した。

「ちょっ!?これを説明するのはシルベ殿なんだぞ?」

サザンカが慌てて追いかけてくるが、適当に撒いてから、腕輪に魔力を通して石の部屋に逃げ込むとその日はすぐに床に着いた。

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