石の部屋
「さて、ひとまず情報が欲しいな……ちょっと辺りを見て回るかな」
なにをするにも情報が足りなすぎる。ここは何処なのか、言葉は通じるのか?文化レベルは?食べられるものは?ここは安全なのか?危険だった場合の避難所は?挙げたしたらキリがない。
とりあえず部屋の中をぐるりと一周回ろり何か落ちて無いか探す。すると入り口付近の石像が何かを握る様に持っていた。
「っと?これは……メモ?」
石像が握っていた紙切れにさっと目を通す。どうやらここがどう言う場所かを記したものらしい。内容は……
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ここは雷のお使い様の専用の部屋でございます。現在はこの部屋の機能の一部が休止しております。
復旧作業にはそれ相応の業績が必要となります。また、部屋の模様替え、増築などは部屋の中央にございますコアを操作下さい。
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である。
「中央にっつっても何もないしな。って、俺お使い様なのか……ん?『この部屋の違和感を取り除け』?」
なんと無しに裏を見ると小さくそう書かれていた。
「違和感と言えばあの玉座やけど、あれをどうにかしろって事かな?」
入り口から真っ直ぐ玉座に向かって歩く。
途中モヤっとするが何が引っかかるのか分から無ず、そのまま玉座を調べる。
金をベースに作られ背もたれやクッションは赤色のものを使われており物凄く肌触りがよい。また、側面や背面など至る所に宝石が散りばめられており素人目にも金の掛かったものだと想像がつく。
「さて、これをどうするか……1番はこれをこの部屋に合うように石の椅子に変えたりする事やろうけど、模様替えは今は出来ん見たいやしどうしたもんかね?」
どうせなので玉座にどっかり座ってみるが、やはりクッションはふかふかで非常に座り心地がよい。
「座り心地はいいけど、やっぱり俺の柄じゃ無いな……んん?」
玉座から部屋を眺めながら苦笑いをするが、強烈な違和感を感じる。その違和感が何なのかもう一度ゆっくり部屋を見渡す。
センスの良い柱、よく分から無い石像、広めのスペース。
「こう、左右対称になっとるんに、なかなか違和感を見つけられんもんやな……ん?」
自分の呟きにもう一度部屋を見る。今度は左右交互に。そして……
「あれか!あの石像だけ体の向きが左右対称になっとらん!」
玉座から飛び降り、例の石像を調べる。
近くを通っただけではわからなかったが、よく見ると向きを変える事が出来るようでググッと向きを揃える。
「お?ビンゴっぽいな」
ポーンと軽い電子音が鳴り、部屋の中央からコアと思われるモノがせり上がってくる。
石の台座の上に紫色のボスケットボールサイズの宝石が浮かんでいた。
早速近づきコアに触れる。すると自然と使い方が頭に流れ込んでくる。
「成る程……何かしらエネルギーになり得るモノを吸収させて物質なんかを作っていくのか……。ひとまずは多少のエネルギーはあるようだし、ベットやトイレが欲しいな。けど、先にあの玉座を撤去しとくか」
座り心地は良いものだったが、やはりこの部屋には合わないもので、コアに吸収させて変わりに適当な椅子を創り出す。
「うん、中々に便利なもんだ……。あの玉座はかなりのエネルギーを内包したモンだったか、一部屋くらいなら家具一式付きで作れそうだな」
そう呟きながらも、取り敢えずトイレと寝床を別の部屋に作るのだった。