単なるお茶会(回)
よくわからない回になりましたが、まったり回もいいのかなとか思いました
それから、大臣の後を追い、階段を昇る。
2階、3階……。
やがて王座の間に付き、赤い敷物の上を歩きながら、暇そうに頬杖をつく虎獣人の王様が見えた。
きらびやかな王冠と、赤いマントに赤い服を着ている。 以下にもRPGの王様っぽい服装だ。
マントはふさふさして実に暖かそうだった。
「国王、福助様をお連れしました」
「う、うむ…… の前に大臣ちょっと良いか?」
「はっ、はい、 すいません、福助様、密談があります故、数分お待ちいただけますか?」
「あっ、はい」
「お前たちは、茶菓子でも用意して応接間で持て成しておいてくれ」
「ハッ!」
王座の横で守護していた兵士二人が敬礼ののち深々と頭を下げる。
「福助様、よくぞいらっしゃいました」
「あ……いえいえ……」
二人の顔をよーく見る。 エルフで20代ぐらいに見えそうな男の兵士と
どこか抜けたところがありそうな、1メートル30センチぐらいの少しブルドックに似た顔立ちの犬獣人であった。
そして、王様と大臣は、密談とのことで奥の部屋、恐らく王の寝室っぽそうな所に入った。
暫くしてカギをかける音が聞こえたが、5メートルほど離れたところにいる王を守護していた兵士から声をかけられ
ボクは応接間とやらに歩いて行った。
気のせいか王様はボクのことに関心がないように思えた。
そして、深刻そうな顔立ちで大臣に密談があったようだ。
まぁ… 恐らくボクの知ることではないだろう。
「……フッス…………フッス……」
荒い鼻息、ブルドックに似た犬獣人の方だろう。顔の骨格上で呼吸がしづらいと本に書いてあった気がする。
「……五月蝿いなぁ……、ちょっとは我慢できないのか? 福助様に失礼だろう?」
「……フッス……フッス…すいません、レン隊長……フッス……フッス……」
「すいませんね、福助様」
「いあ、ボクは平気……どっちかって言うと……」
「息切れして苦しそうに呼吸する様子をちょっと見てみたい」なんて言おうとしたが、慌てて口を抑えた。
「君の息遣い嫌いじゃないよ、それに呼吸がしづらい骨格をしているから仕方ないことだよ」
「……呼吸がしづらい…… 確かにこやつは体力がないわけではないですが……なるほど、知りませんでした、福助様は博学なのですね」
「……フッス……フッス……ありがと……フッス……ござい……フッス……ます……フッス」
とはいえ、確かブルドックの長所は、物覚えが良く賢い、人懐っこい、逆に短所は、暑さに弱く、皮膚もデリケートだった気がする。
となると、護衛兵には向いてないのかもしれない、しかし、体力もあるそうで、犬としての引っ張る力も強かった気がする。うーーん……。
それから、応接間入って暫く待つと出入り口の戸を叩く音がして、可愛い黒豹の獣人の女の子が、きらびやかな装飾の紅茶の入ったポットとコップの1組のティーセット、それなりにお腹が膨れそうな量のクッキーを配膳してくれた。
「では、ごゆっくり……福助様」
「ありがとう」
メイドっぽそうな黒豹さんは、応接間の戸を閉め、部屋には3人になる。
自分で紅茶を注ごうとしたら、レン隊長という呼ばれたエルフの人が紅茶を注いでくれた。
「……フッス……フッス……フッス……スンスン…… フッス……」
「では、ゆっくりお過ごしください、福助様」
「あ、うん、君たちは食べないの?……」
「私たちは警護中ですゆえ……しかしながら、せっかくのお言葉、一つだけ頂戴して宜しいでしょうか?」
「どうぞ、 喉詰まることがあったらこの紅茶飲んでいいからね」
「有難うございます」
「……フッス……頂戴します」
親切というよりは余計なお世話をしたのだろうけど、笑顔で食べてくれる二人を見て自分は嬉しくなった。
そして、いまだに信じられなかった、この人達より自分の身分が上ということが。
モグモグと、クッキーを頬張る音がする。
っと……その時だった。
「フッス……えほっ……げほっ……」
ブルドックがむせた!
ボクは、零さないように紅茶に強く息を2度吹き付けてから、紅茶を渡した。
レン隊長は呆れた様子で背中をさすっていた。
「大丈夫……?」
「んぐっ……えほっ……す、すいません、福助様……」
「ったく……心配かけるなよな……」
そんな光景を微笑みながら、ボクはクッキーを食べた。
程よい甘みと、バターの香ばしさが格別だった。
それから、紅茶を戻してきたブルドックだったが、もう一杯注いで、念のためと飲むように促した。
どうやら、紅茶の香りと味が相当好きみたいで、凄く幸せそうな顔をしていてかなり可愛かった。
暫くすると、レン隊長が、『お手洗いに行っても宜しいですか?』と訪ねてきたので
『気にせず行ってきて』と返事をしてから、応接間にはブルドックと二人になった。
目のやり場がないのでブルドックを見る。 息遣いは、極僅かだが、『……フッス……フッス…』と呼吸していた。
苦しくないかが心配だ。
そんな様子を見ていても、ブルドックと目が合うことはなく、ブルドックは、口から舌をちろりと出しながらじぃーっとク
ッキーを見ているようだった。
「名前聞いていいかな?…」
「……フッス……あっ、自分でアリマスカ!?…… 自分は、チョルでアリマス」
「ふーん……チョルかぁ…… 可愛いね」
「あっ、有難うございます!」
「……」
暫く見つめ合うと、チョルは、時折視線をそらすが、再びボクの目を見てくれた。
「あのっ! 食べても良いでアリマスか?」
目を見ていたのは、クッキーのことを言いたかったからだろうか?
「あ……良いよ、咽ないようにね」
万が一咽たら大変だと、空になったティーカップに紅茶を注ぐ。
本当にいい香りだ。 クッキーとの相性バツグンだ。
実を言うと、今まで殆ど紅茶を飲んできたことがなかったが。
クッキーの後に紅茶を一口、くちに含んだ時にボクは紅茶の素晴らしさを実感した。
(マンマ・ミーア! (マリオ風))
チョルは二つ掴んで口に入れると食べながら辺りを見渡し、耳を立てる。
「もしかして、食べてるのはレン隊長に内緒にした方がいい?」
「ぅっ……」
クッキーを噛むのをやめ停止し赤面するチョル、……可愛い。
「いいよ、別に、残すの勿体無いから食べてって命じたって言うから」
「ばぅ!?」
チョルは、びっくりしたのか、しかしその後に、急にじゃれついてきた。
なるほど、人懐っこい一面は健在しているようだ。
それから、10数枚ぐらい食べさせただろうか? チョルは満足したらしく小さくゲップをした。
犬のゲップは少し愛らしく見えた。
4杯目の紅茶を飲ませてから、近くにあったハンカチのようなものを見つけ、それで口を拭いてあげた。
「…‥フッス……フッス……」
「あはは……本当チョルは可愛いなぁ……」
そして、口を拭きあげて、程なくして、応接間のドアがノックする音が聞こえた。
「おかえりなさい」
「失礼します」
振り向くと、レン隊長以外に、懐かしの顔ぶれがいた。ハルさんとボクの雇った蜥蜴人だった
「福助君、どう?」
「福助様……只今戻りました」
「えっと、大臣は王様と密談していて待機中な感じ、あ、君はここおいで」
ハルさんがキョトンとする中、蜥蜴人は手招きに応じて近づいてくる。
ボクより一回り大きいのに、律儀で一応紳士的だ。
「お帰りぃ……会いたかったよぉー」
なんだかんだで、この世界で今誰が好き? と言われたら蜥蜴人になりそうだ……。
蜥蜴人……あ、名前聞いてない。
「ハルさん、この子の名前は?」
「あー、その子は一応奴隷としての役目は終わったから名前はないよ、付けてあげたらいいんじゃないかな?」
「そ……そうなの? ……ボクが決めるの?」
それから、名前は暫く保留するということになった。
因みに、アウルちゃんもここで雇われた時に王様から授けられた名前らしい。
聞く所によると名前の無い奴隷も多いようだ。
「グ……福助様、良い匂い……」
その問いかけに、ボクは蜥蜴人を開放して、ハルさんと蜥蜴人にも自由に食べてと促した。
ハルさんは、二つほど頬張り、買う時の話をしてくれた。
蜥蜴人は、口数は少ないものの、『うむむ……香りも味も美味しい』と言ったので。
紅茶を注いで渡したら、それを奪って先にハルさんが一口飲んだ。
「ふー……まぁ、正直どうなるかわかんないけど頑張ろうね、福助君」
「あっ、はい」
「ム?…………ング……ング……美味しい」
「全部食べていいよ」
「福助様は食べないのか……?」
そう言われ、どこで覚えたのか、恐る恐るクッキーを一枚抓んだ手をボクに近づけてきた。
「ぁ……ありがと…………ん…………」
「……」
ぱくっと食べようとしたが、掴んだ手がすぐに緩むことはなく。
はたから見れば釣り針についた餌に食い付く魚状態になっていた。
「あははっ、手離さないと福助さん食べれないよ?」
ハルさんが笑いながら手を緩めるよう促して、ようやく『あーん』と差し出されたクッキーを食べることに成功した。
不器用だけど、だが、それが良い!!
それから、5分ほどしてから、大臣は戻ってきた。
密談?は無事済んだようでいよいよ国王と話をすることになりそうだ。
おまけ (仮設定 正確修正が入る場合は修正されるかも)
時は遡ること20分前 王の寝室にて
「オレは不安だ……」
「まぁ……相当できる人物です故、大丈夫ですよ……ワシもちょっと落ちましたし……」
「んむっ……? しかし、こー、もー何がどうなってるのかオレは時々分からなく……」
やけになり始めた王を大臣は優しく包み込む
「王は王です故、自信を持ってくだされ……、王と力を合わせれば、王の手の届くこの圏内ぐらいは、王の理想の国になりますゆえ……きっと……」
「……本当か? ……その言葉に責任を持てるのか?……」
「勿論です国王……」
「では、上手く行かない時は、その鬣をカットさせてもらうからのぅ……」
「ぅ……それは……」
「じょ……冗談だよ……ね………、も少しだけ、背中擦ってて……」
「はい……いくらでも……王が満足なさるまで……」
最後まで有難うございました。 次回をお楽しみに