大臣の鬣(たてがみ)
今回は、ケモナー様向けに 爺ケモにセクハラするシーンが少し御座いますが
興味ない方は読み飛ばして下さい、 ハーレムものってこんな感じで良いのだろうか?
馬(鳥)車にのって5分ほど経つだろうか、速度的には歩く速度の2倍ぐらい。
1000人規模の国と聞いていたが結構大きそうだ。
アニメで見た城下町のリアルな風景がそこにはあって、ちらほら歩いている町民達は
人間、亞人、獣人 一見は平和そうであった。
少し小柄な蜥蜴人が、お使いか沢山の野菜の入った籠を背負っていた。
微笑ましいな、なんて思ったのも束の間、やはり服装がちょっぴりボロく奴隷っぽかった。
最初にあった蜥蜴人より子供だろうけど、こき使われてるのだろうか
馬(鳥)車には、しっかりとクッションが引いてあり、おしりが痛くなることはなかった。
また、運転がうまいのか道がなだらかなせいか殆ど揺れることもなかった。
そして、暫く歩くと、擦り傷があり、薄汚れている犬の獣人、結構幼い子が同じようにお使いをしているところも見受けられた。
「……むぅ……」
「どうかしたっすか? 福助様」
そして、アウルはボクの視線の先を見た
「ぁー……、奴隷っすね……実を言うと私も半年ほど前まで奴隷だったっす…」
「そっか……、いつか聞かせてくれるかな? 話せる範囲でいい」
「そ、そんな、話すのは構わないっすけど、別に福助様に同情されたく……」
「ううん…… まずはこの国の奴隷を救う」
「……へっ……?」
「……」
あれ……ボク何無責任なこと言ってるんだろう。
「きゃぅぅん、福助様マジっぱねぇーっす! 格好いいっす!!」
「……ぁ……」
これはもう後戻りできそうにない、とはいえ、感受性の強い自分がまちなかを歩く度に
粗末な姿を見るのは如何なものだろう?
まるで自分のことのように感じてしまうボクは、楽しい気持ちを幻滅する結果になるかもしれない。
うん……1000人ぐらいだったら大丈夫だ、王族らしく変えてみせる!!
「少し時間はかかるかもしれないけど……奴隷にもある程度の人権が守られるようにするね」
「……ジンケン……?」
「えっと、自分たちが住んでいた世界では、それなりに人の権利の人権が認められていてね、とはいえ、全世界がそういう状態ではなかったけども……でも豊かな国では奴隷とかはいなかったよ、メイドさんとか執事はいたかもだけど」
「へぇ…… 凄いっすね! 福助様の世界の話もいつか聞かせてくださいね」
「あー、うん、ひょっとしたら、せっかくだからさっきの蜥蜴がいる時になるかもだけど」
「蜥蜴……嗚呼、本当、あの人のお陰で助かりました、福助様に擦り傷もなかったみたいで」
「……あはは……本当だね……めんぼくない、とはいえその辺の家畜動物に対する決まりも、なんとか緩和させていかせるから……少しでもアウルちゃんが落ち着いて暮らせる国にするよ」
「……うぅー、なんか本当凄いッス……福助様目標いっぱいあるんですね」
そんな話をしていると、お城の入り口が見えてきた。
幅5メートル、長さ10メートルの石橋の先には、門と門番二人がいた。
一人は、1メートルぐらいで50歳ぐらいに見えるおっちゃん……あ、背格好からドワーフなのかな?
もう一人は、1メートル80cmぐらいで真面目そうな白い犬獣人だった。 軽度の武装をしていた。
ボクと目があってか、白い犬獣人が敬礼をして、そのタイミングにたまたまあくびをしていたドワーフは、慌てて一瞬口を抑え、すぐに同じく敬礼をする。
「いらっしゃいませ、福助様」
「いらっ、しゃいませ、福助様」
心なしか、ドワーフに焦りの色が見える。王族に無礼な姿を見せたのは懲罰もんなのだろうか?
それから、石橋を渡り、城の周りに水路があることを確認してから、門番の横を通ろうとする。
「ドワーフさん大丈夫?」
「おっと…… 止まって、レック、ティール」
アウルさんが手綱を引き馬車は止まる。
「はっ、わしでありますか?」
「うん」
1メートルぐらいしか無いおっちゃん、ちょっと可愛い
「えっと……あのぉ……その……気が緩んでいた件は……そのぉ……」
「大丈夫だよ、もう片方がしっかりしていれば、疲れてない?」
「へっ!!??……だっ、大丈夫でアリマス!!」
「余計なお世話じゃなきゃいいけど、5分ずつ休憩行っておいで?ドワーフさんから」
「へっ……? しかし、まだ交代まで2時間ほど……」
「んー……町中に不審者はいなかったから10分ぐらいは安全だと思うから、交互に休憩して? ね?」
「……しかs……」
「無礼者、福助様の気遣いをむげにするな、トイレでも水分補給でもさっさと行って来いレノール」
「……はっ、 では、失礼します、 福助様お気遣いありがとうございます」
「ううん、いいよ、無理はしないでね」
「はぅ……ではっ!」
武器を置いて駆け出す、レノールさん、気のせいか、ドワーフのおっちゃんの顔が赤くなった気がした。
「あの、福助様!」
「うん?……」
兵装した白い犬獣人が、オドオドと此方を見ている、可愛い。
「あの、えっと、異国からとのことで、いつかお話きかせていただけませんか?」
「いいよ。 ただアウルちゃん達も一緒になるけど、良いかな?」
「御意に…… で、では、国王がお待ちですのでお急ぎ下さい」
それから、高さ10メートル幅3メートルはあるであろう城壁と門をくぐり、
広い庭に出た、噴水だったり、手入れの行き届いた芝生に花畑
ついでにぽかぽかと日光浴をしている犬獣人がまばらに3人程居た。
仕事で疲れているのか、鎧を脱いで眠っている。
それから、城の敷地に入り10メートル程歩いてから、馬車が止まり、アウルがこっちを向く
「福助様、到着しました」
「あ、うん、ありがとう」
「すぅーー、はぁ……皆、新しく王子になる福助様が到着したよ」
「んっ……?」
「おっ?……」
お昼寝していた門番っぽそうな犬獣人達は目を覚まし寄ってくる。
それだけかと思ったが、急にあたりに人気を感じた。
そして、3人の獣人達だけかに思えたが、次から次へと、メイドっぽい仕事をしていそうな雌獣人さんや、たまたまそこら辺を歩いていたのか、
それとも近くで待ってくれていたのか、大臣っぽそうな人が来ていた。
辺りに人だかりができ、大臣以外は片膝をついてひざまずいた。
大臣さんは、司祭っぽそうなローブを着ていて司祭の帽子(半円っぽい唾がある)もかぶっていた。
そして、ちょっぴり年季がありそうなライオンの獣人であり、鬣というか顎鬚が実に見事なものだった。
「いらっしゃいませ、福助様、地球という別の星から選ばれたお人だそうで……ほっ、ほっ」
予想通りのおじいちゃん声、めっちゃ可愛い!
選ばれた……? 確かにそうかもしれない。 とはいえこの国以外に地球とゲート的な何かで繋がっている場所がないとは思えないが。
「あ、はい、地球代表として、御国の補佐、頑張ります」
よくわからないが、試験を合格したただ一人であるのは変わらない、堂々と威厳をはっていなくては。
辺りの跪く獣人や亞人にも目をやりたいが、なんというか、ドストライクな爺ケモの大臣っぽそうな人に目が釘付けだった。
「では、国王が待ってます故、歓迎の祝宴は夜に、皆の者持ち場へ戻れ」
『御意っ!!』
『ハハッ!!』
なんというか凄い緊張感だった、大臣が仕切っている間、一切の私語がなかった。
そして、なんでこんなにも歓迎されているんだ?
社会不適合者の自分が?……信じられない
いやもー。 これは正直夢なんじゃないかな……?
そうだ、きっと夢だ……。 だから せっかくだから……目の前にある……。
「福助殿、此方ですぞっ」
「うへへ……あへへ……」
「福助様……?」
「福助殿……? どうかなさいました? もしやご気分でも……?」
「ぇへっ……? うんっ、気分は、最高っ」
「ぬぅ……」
あ……ヤバイ、にやけすぎて口端から涎が出る。
まぁ、そんなのは良いんだ、恐らく1分もしないうちに夢は覚める。
長年の夢だった、ライオンさんの顎鬚に手櫛をするという偉業を‥…。
「はわわ、だ、大臣さん逃げてっ!!」
……アウルが余計なことを言う、こうなったら後で懲罰だ。
「いや、しかし……なんというかほっとけ……んぐぐぐっ……」
「あちゃぁ……」
大臣さんは一歩足りとも逃げなかった。
そして、ボクは、大臣さんを後ろからハグし、片手で抱きしめ、片手で顎鬚に手櫛を通す。
「んはぁっ…… すっごいふさふさで気持ちいい…… 大臣さぁーん、綺麗だよぉ~♪……」
「ぬ、ぬぅ、お、王子ぃ……」
「はわわわわわわっ……」
「ちゃんと、手櫛通るようにするから、ボクのあれで……ゴワゴワにしてもいい?……」
「……あれ……とは……?」
「んまぁ……大臣さんのが元気なら大臣さんのでゴワゴワにするーでも良いけど……」
「元気……?…… ぬぬっ!! い、行けませんぞ王子ぃーっ!!」
「えぇー…… そっかなぁ?……でもきっと艶が出て綺麗になると思うよ?」
「ほ……ほほぉ……て、丁重に扱ってくださるのですかな?」
「勿論だよぉ、 だって凄く手入れの行き届いた完璧な髭だから……」
「か、完璧っ……福助殿はそう思ってくれるのか?」
会話の流れで気づく、どうやら相当手入れしているようで、そこを褒められるのが好きなようだ。
「うん、すっごく時間かけてるよね、綺麗だよ、朝日を浴びたら宝石のように輝くんだろうなぁ……」
「うぅ……ここまで褒めていただけるとは、嬉しいですぞぉ……うぅ……うぅ……」
にしてもこの夢覚めない。 いいの? やっちゃうよ?
そう思った矢先、大臣さんが本気で泣き出そうとしているのを見て ハッと我に返る。
そういえば、約1時間前に王族になったんだった……。
「あわわわっ、ごめ、ごめんなさい」
慌てて手を引き抜こうとすると、持ち方が悪かったのか、グィっと引っ張ってしまう結果になる。
「いだだっ、おち、落ち着いて下さい福助殿!」
「わわわ……すいません……は、はい……いったん落ち着いて……」
一度目を閉じて深呼吸をする。 そして、手をパーにして完全に力を抜き、恐る恐る手をひく、幸いなことに立派な顎鬚が抜けることはなかった。
「はぁ……良かった、どうもすいません、発作が……」
「発作……!? 福助殿はご病気か何かか?」
心配そうに問いつめられる。
「あ、えっとまぁ……その……」
発作というのはあながち嘘ではないかもしれない。
ふと助け舟を求めようと、アウルの方を見る。
一瞬目があったかとおもいきや……。
「お話中失礼します! レックとティールを戻してきます」
「嗚呼、お出迎えご苦労であった、また用があれば呼ぶからのぅ」
「はい、 では 福助様、道中お気をつけて」
「……ぁ……」
なんて言い訳しよう。 そう思ったのだが大臣からの次の言葉は以外なものだった。
「福助殿…… 福助殿は、わしの鬣美しいと申すか?……」
「……も、勿論です、いや……本当抜いてしまわないで良かったです……」
「なんと……発作になっても尚、わしの命の次に大事な鬣の心配を……」
……ん?…… あれ?
「のぅのぅ…… 福助殿」
……やっぱり……
「は、はい?」
恐る恐る返事をする。
「ちゃんとしてくれるのであれば、わしの鬣、ごわごわにして構わぬぞ……?主の………それで……艶がでるんじゃよな?……」
「……ぁ……ぃぁ……」
何故か頬を赤らめがっついてくる大臣さん、とはいえ回答に困る。
蜥蜴にアウルちゃんに、大臣さんに…… いったい何人にセクハラしようとしているんだろう。
あちゃー……と思わずため息が出た時だった、大臣の態度が一変した。
「おっと……ところで発作とは、病原菌ではないよのぅ?……現国王にうつることがあっては……」
「あ、はい、大丈夫です。 ご心配おかけしました」
「では、国王がお待ちですので……」
「はい」
大臣の後をてくてくとついていく、どうやらアウルちゃんは着いてこないらしい。
鬣にセクハラをした件は無事無かったことになるかと思った矢先だった。
「福助殿、さっきはすまぬ、年寄りの癖に言葉を真に受けてしまった」
「ぁ……いえ、此方もやや暴走してしまってすいません」
「ただ……褒めてくれたのは嬉しかったんじゃ……何をしてくれとはぬかさぬから、また褒めながら触ってくれぬかの……?」
もじもじと鬣の髭をさすりながら、大臣が言う ヤバイ……可愛い。
「あ、はい、喜んで」
「と、とはいえ、人前でいきなりは勘弁じゃぞ……?」
恥ずかしがる姿も正直グッときた。
もう本当、こんなんで仕事勤まるのかな……。
ご期待に添えなかったらすいません、獣ネタの方が少し増えそうですが
女性にセクハラするシーンもちょこちょこいれていきますので
気ままな王子がどうやって国を平和にするか見届けていただけましたら幸いです。 ブックマークや評価、励みになります!