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ご飯は1日2回 6-8

かなり久々の更新でごめんなさい。

アウルの謎が半分とけるかも?

残り半分は2.3話のうちに判明?  誤字脱字修正とかは暇を見つけてやるのでご了承ください。



更に四日が経ち、アウルと別れて1週間が経とうとしていた。


国会での話し合いは少しずつ進もうとする中


奴隷商人が入国してきた。


奴隷の扱いに対する法律を準じ始めたばかりなのもあり入国審査に大臣と立ち会うことになった。



無数の古傷に、やせ細った奴隷、時期を考えていない古びた布切れを着た奴隷たち、


とてもではないが一定基準を満たしたもの達ではなかった。


「……うちはそこまで質悪くないんですがね……お偉いさん達にそう言われては……」


押し返そうとした時、目に留まったのは、焦げ茶色の犬獣人だった。


「…………ッ!……アウル!? アウ……ンムッ……」


 アウルに瓜二つな犬獣人だった。思わず声が出た所を大臣に口を押えられた。


「……どうしました? 良い愛奴(あいど)が居ました? 怪我はしてますが疾病はしてませんので……」


「……えぇー……とりあえず、その犬さんを買わせてもらいます、少し話をさせてもらえますか? 値段の話は総括したら……」


「……マジですか、ありがとございます、 はいー どうぞどうぞ!!」


 奴隷商人はちらりと首の番号タグを確認しその番号でアウルに似た犬獣人を呼んだ。


……


 そして、アウルに似た獣人は馬車の出入り口に近づき、奴隷商人が近づいた頃、意識がフッと遠のいた。




 

(大臣視点)


 国王がアウルに似た獣人に目を奪われるのを確認し、国王の手を握ってから へまをしでかさないように制する。


 目を奪われ我を失いかけた国王、……いや、目つきに違いを感じる。もう一人の方だろうか?


 震える手をそっと握りしめてから、そっと耳元で呟いた。


「商談は任せて下さい、なるべく相場で買い揃えますので……後、平然を装って下さい。 


「……んっ……嗚呼……ワカッタ、どうすれば良い?」


 声質が違う、やはり人格が変わっているようだ、それ程までに『アウル』が好きなのだろう。


「そうですね……『アウルに似ているな』的なことを言って頭を撫でるぐらい、それ以上は値段を吹っかけてきますので抑えて下さい」 


……。


 コクリと裏国王が頷いてから、手を引かれてアウルに似た奴隷が近づいてくる。


「此方で良かったですか? 3分程で、他の奴隷を買われればキャンセル手数料は頂きませんが宜しいですか?」


「分かりました、少しお借りします」


 ちらりとアウルに似た奴隷の方を見る。


 国王は、口端を噛みしめ、涙をこらえるようにアウルの頭を撫でていた。


「ゥッ……ぁぅ……」


 急に撫でられビクつく奴隷、国王に触れられたと言えど、警戒心しかない心に踏み入られては体はビクつくはずだ。


「……どうしました? 特別思い入れある種族や見た目でしたか?」


「……ぁーまぁ……少しだけ、長持ち……」


 奴隷の視線を僅かに感じた……。


 警戒をさせてしまう発言はタブーだ。


「長持ち……?」


「……ぁーぃぇ、 身の回りの世話をする執事に少し似ていただけです」


「ぁー……なるほど」


 納得させたところで、奴隷に触れる国王を確認する。


「ゥッ……」


「……」


 奴隷は今後の生末に怯えてか、裏国王は涙を堪えてか両者ともに小さく震えていた。


 ふと奴隷商人が奴隷へ何か指示を送った。



「あっ、ありがとうございますっ、ごきっ、ご期待に添えましたら、さっ幸いですっ!」


 そして、震える手で、国王様が奴隷を撫でた手をそっと両手で包んだ。


「……あ……」


 もはや『嗚呼』とすらいえない国王。 奴隷商人に多額の金額を払うのは避けたかったが 仕方ないかもしれない。


 1週間経ったとはいえ、まだ心の傷は治っていないのだ。


「では、連れで飼ってほしい子はいないか確認しますのでお時間いただきます」


「ぁっ、本当ですか! ありがとうございます」


 追い払われると思いきや、一人以上に奴隷が売れそうな事態に奴隷商人は喜んでいた。



 そして、少し離れた部屋で国王と奴隷と三人で話を始める。



「……あの……なんで……オラ……っじゃなくて……私ですか?」


「そなたが国王の大事な人に似ていたからなんだけど、あ、私がこの国の大臣で、此方が国王です」


「……ほ、本当に……オラなんかで良いでござる……です?」


「……えーと……敵意は無いし酷いこともしないからかたくならなくていいよ、喋りたいように喋って」 


「……アウル……手……握っても良いか?」


「……は、はいっ! お、オラなんかで良ければ……」


……


 喋り口調は多分国王の想うアウルと似て非なるものなのだろう。


 それでも、王にとってこの奴隷は掛け替えのないアウルそのものなのだろう。


「……そなたの名は、今からアウル、王に仕える召使い……宜しいかな?」


「わっ、わかりました、アウルですね………、アウル、アウル……国王様、大臣様宜しくお願いします」


 その言葉を言う間もなく、国王様は、アウルを抱きしめ、ボロボロと涙を流した。


……。


 時は一刻を争う。 十数秒だけ戯れを許し、アウルのことを思い尋ねる。


「アウル、そなたにとって大事な仲間はあの中にいるか?」


「……ぇっと…… か、考えます、質問の意味を聞いても宜しいですか?」


「もし、アウルの世話をしてくれたり、大事な友人が居れば共に飼おうと思っている」


「ぁ……そういえば先ほど話されてましたね……お気遣いありがとうございます。 えっと……」


……


……。


 その問いかけに意外な答えが返ってくるのであった。


 そして、恐らくそれ以上に、意外なことを言う日が来るのであった。



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