ご飯は1日2回 6-7
アウルと添い寝をする(裏)国王、心が少し満たされる気がした。
しかし それが夢だった。
あの日から3日ほど経とうとしていた
大臣達は、事件をうまく隠ぺいした、無事とこについたものの
まだ奴隷の法律は変わっていなかった。
夢の中で様々な妙案をしていた気がするのだが、唯一頭に残ったのは
『win-win』 どちらにも利益があるということだけだった。
頭を回転させれば、連鎖的に思い出せそうな気がしたのだが
体をベッドから起こすとベッドのきしむ音が聞こえた。
「……はぁ……」
『トントンッ!』
部屋をノックする音が聞こえる。
「王、目覚められましたか?」
タイミングよく大臣はノックをして問いかけてきた。
「……嗚呼……因みに……オレだからな……」
「……裏……いえ、もう一人の国王様ですね」
「……ふん……」
……裏……。
大臣は裏何と言おうとしたのだろう。
「す、すいません……名前を決めていれば呼びやすいのですが」
「……ふむ……確かにそうだな……えーっとだ、主の名前は……」
「わしですか? わしは、ダグナス・リエルと申します」
「ふむ……爺くさいが、髭が似合う主にぴったりの名だな」
「ははっ……ありがとうございます、えー……ご自分で名前を決められるのも構いませんが、お時間いただければ王にふさわしい名を……」
「……そうか……では、頼む……」
「……ははっ、この命にかけて」
「……そうだ、大臣……一応これからの国の決まりについてなのだが」
「はい、なんでしょうか」
返事を聞いてから、国がうまくいっている未来だったうろ覚えの夢を伝えた、アウルのことは伝えていない。
「なるほど、奴隷にとっても、その主人にとってもメリットがあれば……ですね、流石です国王様」
「…………」
大臣はオレ様を褒める、でも夢を思い出しながら話しているうちに、アウルのことが強く強く胸の奥にひっかかりだした。
「……国王様……?」
「…………ダグナス……寒い……(心が)」
失った人の代わりを他者で埋めるのは間違っているだろうか?
「……承知いたしました、施錠しますので少しお待ちください…」
そういって大臣が背を向けたとき、なぜか無性に寂しくなり
「……今すぐに……暖めてくれ……」
「…は、はい、かしこまりました」
大臣はくるりとこちらを向き、そっと抱きしめてくれた。
少し抱き合ってから、大臣の上着を脱がせてから、ベッドで一緒に寝てもらった。
ただの抱き合ってからの添い寝、それでも心は十分に満たされた。
「……ダグナス……礼を言う……」
「……いえいえ……王の親に立てれるのなら何でもいたします……」
「……では……またな……」
「……はい、これからも国王様を宜しくお願いします」
「……」
最後にコクリと頷き、安らぐ気持ちに包み込まれるように暗闇に落ちていく。
そして、本来の主人格へと入れ替わる。
……。
目が覚めると、大臣は椅子に座って見守ってくれていた。
「おはようございます、国王様お目覚めいかがですか?」
「……大臣……今の時間は……?」
「おやつの時間を少し過ぎたぐらいですが、お茶になさいますか?」
「……嗚呼、頼む、ところで……国のことなんだが……どうすれば……」
「それでしたら、先ほど、裏……いえ、もう一人の国王様が、win-win
つまり奴隷とその主人両方にメリットがあるような待遇をしたら、と提案をしていただきました」
「んっ……? どういうことだ……?」
寝起きで頭が回らない。
「そうですね、お茶をいただきながら説明させていただきます、脳に糖分があると良いでしょうし」
「……わかった」
それから、どこまでがもうひとりの人格の提案なのか分からないが
例えば、週に1度奴隷を城の庭に招き食事会に参加、参加した場合は、主人に多少のお礼が行く。
ということや、奴隷の衛生面も管理しなければ疫病に繋がるとのことで、
奴隷用の風呂場を作れないかということもあった。
そういえば、そんな夢をオレも見た気がした。
国がすごくうまくいっていて、そして、心に空いた穴が少しだけ埋まるようなそんな感覚だった気がする。