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ご飯は1日2回 6-4

諸事情で更新遅れました。 今回は国王の裏人格視点の話です。

やや悪人よりな性格予定だったのですが、結局は弱さを見せちゃう話になり5話終盤の話の修正が少し必要になりそうです・w・; 

 オレ様は、国王を守る存在。

 全部じゃないが、ある程度の出来事は全部見守ってきた。


 だからこそ、大臣以上に国王を理解している。


 アウルは、奴隷にしておくには勿体無い、よく出来た獣人だった。


 アウルは、たった一言のオレの言葉だけでいつもの国王じゃないことを察した。


 その後、『ありがとう』と伝えたいのか、いつも国王宛にしていた笑顔をみせてくれた。


 体は痩せこけて、心もボロボロなのにどうして笑っていられるのだろう。


 そして、クズの人間どもは、何が楽しいのか、ずーっとケラケラ笑っていた。


 アウルはけして屈していなかった。 どうにかして1秒でも早く、国王のためにも商談を済ませねば。




 オレは今、最初にアウルが吊るされていた鎖でクズ人間どもの言う おもてなしを無理やりさせられていた。


 実は、おもてなしは既に2回目で、5分系の砂時計が終わるまでにオレ様を逝かせることが出来れば商談は無事ではないがなんとか終わる予定だったらしいが……。



 初めに果てるのはあまり大したことなかった、正直心が痛く、5分ほどその気になれなかったが


 ゲス人間どもの指示に従い、オレ様は、鎖で吊るされる体をアウルに任せた。


 ……


 1度目の後に、涙がでるほど悔しくいたたまれない気持ちになった。


「あうる……汚くないか……?」


「汚くないよ……国王様……私のために本当にありがとう……」


「嗚呼……なんとかなるからな……お前からの要望は」


 そんな話をしていたら、イライラしたのか、ゲスな人間どもは、アウルを鞭で叩いたり、毛の薄い部分にろうそくのロウを垂らしたりし始めた。


「っ……うっ……」


 アウルの苦しそうな声が漏れる。


「もうヤメろ……!! 傷つけない約束だろう……? そのためにお前たちがアウルを買った金額の10倍用意したんだ」


「10倍……? っぷ……国王様世間を知らなすぎません?」


「……どういうことだ?」


「10倍じゃないです、50倍ですよ、過大評価しているみたいだから高く見積もったらそれをまんまと信じるし……」


「……」


 オレ様はフクザツな気分だった、アウルの奴隷としての本来の取引価格が余りにも酷い金額だった。


 この世は腐っている……。


 もう、殺してしまおうか、そうとさえ思った、本気を出せばいつでも鎖を引きちぎれる。オレ様なら……。


「奴隷の価格もしらない国王様って実際どうなの? というか一人の奴隷助けるのにそんなに国のお金使って大丈夫?」


「ぐっ……」


 今暴れるのは得策ではないようだ。


「国王様、そろそろ逝かないと、取引中止で、この子殺しちゃいますよ?」


「はっ……殺す?……」


「そうですよ、時計の砂ももう1分も残ってないでしょうね」


 そういうと男はわざわざ側で砂時計の残りを見せた。


「もうこれ以上危害を加えるな……オレ……我輩も我慢の限界だぞ」


「いやいやいや、だって、定価の50倍の奴隷さん、国王様の性処理ぐらいちゃんと出来ないとね……?」



……


 そして、時間はあっという間に過ぎた。 どんなに色んな事を考えても思考は動いて興奮させてくれることなどなかった。


「3・2……1……はい、残念、というわけで、国王様の奴隷になるという試験は失敗でした、アウルちゃん……死ぬ準備はできてる……?」


 アウルがおもてなしをやめ、ゆっくりと立ち上がり、クズ人間に手をひかれる。


「……待て! ……ヤメろって……」


「……はい…… 国王様、私、アウルが出来損ないで……ごめんなさい」


「アウル……」


 その時、アウルの目に初めて涙が流れた。 


 それは、 暗がりでも美しかったのだが、見ていて心を根本からくじくような余りにも悲惨な素顔だった。


「ご、ごしゅ、ご主人様も、せっかく色々教えてくださったのに、お役に立てなくてごめんなさい……」


「ぐっ……ぐっ……」


「ひゃひゃひゃ!、 アウル、頑張ったよ、だから楽に逝かせてあげるね。 ずっと国王様に笑顔を見せたまま逝かせてあげるね」


「ひゃ……ひゃい……ぐすっ……」


「もう……もうやめてくれ…… アウル、オレ様は、お前のためならいくらでも出すから!!」


「国王様本当バァーカ? 奴隷一人救うのに 大金使ったら町民黙ってないよ?」


「……だったら、だったらどうしろというのだ!! エホッ……エホッ」


「見てるだけでいいんだよ、 逝く所、死ぬ所……見守るだけでいいんだよ」


「アウルちゃんもそれで幸せよね?」


「……ひゃぃ……」


 アウルは絶望しながら号泣し、小さく頷いた。 そして、怯えて体が震えているのに気づいた。



………。


 2分ぐらい経っただろうか?


「首の骨も折れたから確実に死んだかな? うん」


「……コロス……」


「嗚呼ー 国王様が不甲斐ないばかりに、 アウルちゃん本当可愛そう」


「……コロス……」


『んとねー、お腹へったまま見る夢は辛いから、奴隷でも朝晩ご飯食べれるようにして欲しい、それを法律で決めることって出来る?』


『嗚呼、それぐらいのこと我輩になら容易い……』


『ありがとう、国王様、でも無理はしないでね』


 言葉だけでも十分嬉しかったのか、キラキラとしたアウルの笑顔は、どんな宝石よりも眩く美しかった。


 涙がこらえてきたのを隠すため、たまらず アウルを抱きしめた。 成長期なのに体は細い、本当に悲惨な仕打ちを受けてきたのだろう。


『……いつか……いつか我輩が……オマエを……買う……。 それまでは……耐えてくれ……』


『……ありがとう国王様…… でもね、アウルは幸せだよ、なんてったって国王様とお友達だから、アウルはいいから他の子を助けてあげて』


 どこまでも、他者思いで、優しかったアウル。 いつか オレ様だっておしゃべりしたいと思っていたのに……。


『ご飯は1日2回!』


……



……


『ご飯は1日2回!』


……


……


……


『ご飯は1日2回!』



……



……



……コロス……コロス……


……10分後、小便と血なまぐさい部屋の中で、クズ人間の眼球をもぎ取り、ブチッと視神経から離脱させ、その目玉をゴクリと飲み込んだ。


…… 痛いか? 痛いよなぁ……。 じゃぁ、次は、耳でも丸かじりしようか……。


アウルに酷いことをした事を後悔し、生きてきたことに謝意し、声がかれても尚、吠えて、オレ様の傷を誤魔化しておくれ……。


「へ…………へっへ……」


 耳にかぶり付いて、溢れる人間の血で喉が潤う。 でも 鉄の味すらしなかった。


 飲めば飲むほど、暗黒に染まっていくのを感じた。


…… オレは……国王を助けるつもりだったのに……なにしてるんだろう……。


 もう声を発さない、アウルの亡骸を見る。 


 すまない……国王……、オレ……死にたい……。

次回は大臣視点を明日19時にお届けします。

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