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ご飯は1日2回 6-3

BEASTWORLDや異世界生活ハジマリました。 より良くかけているはずなのに

ブックマークも評価もつかない……。 ちょっぴり挫折気味

読みに来てくださってる方は本当ありがとう、

今回も少しえぐい回なので十分に気をつけてから読んで下さいね。


 特になにも感じない真っ暗闇の空間なのも仕方ないので、アウルとの出会いを語ろう。


 アウルは、こげ茶色の犬獣人だった、みすぼらしい姿で、傷だらけで、それでも笑顔いっぱいで買い物をしているのを見たのが初めてだった。


 一人で散歩をしている我輩が恐る恐る声をかけると、『ワッ』とオーバーリアクションで返事をしてくれた。


「国王様……ですか?」


「い、いかにも……だ、大丈夫か? 可哀想に傷だらけではないか……」


「だ、大丈夫です、痛くありません!」


 そう強がった数秒後に、『痛っ……へへっ』と声を漏らす姿は苦しかった。


 何故笑っている? と聞くと、 そのほうが楽しいから と答える。


 辛くないのか? と聞くと、 辛いけどなんとか生きている と答える。


 それから、ほんの少し話をして別れた。


 お金でも持たせれば良かっただろうか? そう思ったのが全ての過ちのハジマリ……だった。


 構わなければ……良かったのだろうか?


『そんなことないよ、王様と話せたって友達に自慢話になったもん!』


 暗闇の中、アウルの声が聞こえ、何故かありもしないアウルの笑顔が浮かぶ。


 それから、アウルをよく見かけるようになった。 正確にはアウルを探していたのかもしれない。


『我輩に出来ることはないか?』 そう尋ねた時、国王様の仕事は何?と尋ねられた。


 仕事内容を話した後、『じゃあ、一つだけ』とアウルが期待を込めた笑みで答えた。


 その、アウルの願いが『ご飯は、朝と晩で1日に2回食べたい』とのことだった。

 

 話を聞くと、空腹で見る夢はとても辛く、晩のご飯を食べれば夜も仕事できるんだ!という理由だった。


 その話を聞いて、1日1食しか食べれないのは流石に可哀想だと我輩も思った。


 重労働な上に、朝か晩のどちらか というのは余りにも酷すぎる……。


 ましてや、こんな10歳そこいらの子供ですらそんな待遇とは……。


 貴重な意見をもらったお礼に、お金と食べ物を与えた。


 これで少しでもこのこの待遇がよくなれば……。 そんな気持ちでいっぱいだった。


 久々に枕を高くして寝れた。



……はずだった……。



 次に会えたのは3日後だった。


 自分の奴隷がお金を持ってきたのだ、きっと傷も良くなっているだろう。


……だろう。


……。


…………。


…………。



……?


……なんで?


 我輩は、アウルと食べようと思って買った焼き芋の袋を……。



 気がつけば……。



……落としていた。


「ぁ……国王様」


 アウルはいつもの様に笑顔になってくれるが、でもいつもの笑顔と違った。


 頬は腫れ、目の上も腫れていた。


 更には、食事を与えているかすら疑いたくなるぐらい、骨の形が浮き上がっている箇所が見えた。



 余りに……余りにも……それは……


「何があった?」


 と訪ねても、アウルは答えなかった。


 その代わりに、


「この前は、ご飯とお金ありがとう!」


 と言った。その言葉で全てを悟った。


……嗚呼……。


 我輩は……駄目な国王だと……。


 駄目な国王……。


 駄目な国王


 駄目国王


 駄目王……。



「はい……国王様」


……アウルが何かを渡そうとしていた。



 ハッと我に返ると。紙袋に落ちた焼き芋を入れていた。


 普段なら『美味しそうですね』


 なんて言いそうなのに、今日は何も言わなかった。



 それから、二週間後が今になって。

 

 その一週間前にこのことが大臣にばれて


 体に傷をつけない、十分に食事を与えるを約束のもと、向こうが提示したアウルを購入した値段の10倍で買い付けることになった。


 監禁して懲罰してしまえば済む話だろう、とはいえそんなに簡単な話ではなかった。


 第一に奴隷のことでことを荒立てるのは異例


 また、いかなる理由があるにせよ、購入額の10倍で買い取るという行為は国から批判を受けるのではないかとのことだった。


 そして、大臣の言いつけを破り、護衛を付けず、約束の場所に出向いて、今に至っている。


……


 思い出してたら少し疲れた……。 眠ろう……。





……コロス……。



……。



……コロス……、コロス……。


(どうした……? どうなった?)


「嗚呼、死んじまった、国王様が不甲斐ないばかりにー、嗚呼ー可哀想」


「あひゃひゃ……マジ受ける」


(はっ……? どういうことだ……死んだって……アウルが…?……あの……アウルが?……)


「奴隷一人も守れない国王様って……ぷっぷー」


 ……事態は最悪なようだ。 ゲス人間共の声はして、アウルの声が聞こえなくて、ゲス人間共は『死んだ』と笑っている。


(変わらなくても良い、視界を見せてくれ……)


……駄目……。 もうおまえには何も見せない……見せれない……。


 そして、その時、体中に力が込みあげるのを感じた。


「ぐうううぅ、わああああああああぁぁぅ……」


「オー怖い……怒ったよ、怒った所で……」


……ブチンッ


 何かが引きちぎれた音がした。


「はっ!? へっ?意味分かんない」


「……国王ニ代ワリ……オレ様ガ……おまえラヲ……処スッ……コロスッ……」


 スッがまるで空気が抜けるみたいな音だった。


 その後体が俊敏に動くのだけは分かった。


 そして、何かを掴んだと思ったら、女の断末魔が聞こえた。


「ヤメ……ぃぎゃあああああああああっっ」


「「ひいいいいいっっっ!!!」」


 手には嫌な感触だった、でもゲス人間の断末魔を聞くのは痛快だった。


……


 嗅覚が戻った。


 ……なんだろう、最初の匂いとは違う、複雑な匂いが混ざっている。


 そして……それに……。


 最初の異臭より何倍も臭い匂いが立ち込めた。


 嗚呼ー、なるほど。 これでゲス人間共は興奮してたのか。 ふーん……。



 女エルフの断末魔は、3分ほど、もう一人犬獣人の男は5分ほど


 犬獣人の事切れた時にもう一人の我輩は分かったようだ。


「なぁ・る・ほ・ど、遊ビ方、ワカッタ……おまえハ……一番苦シメ……ヨ……ナ?……ナ?」



「も"ぉ"、ゆ"る"じでぐだざぃ"……うぅ……うぅ……」


「マズハ……ソノ……片目……カラ……安心シロ……モウ片方ハ……終盤ニナッテカラダ……」


 やがて、手が何かに潜り込んで、それより一瞬早いだろうか。


 文字にしがたい、凄いわめき声が、部屋の中に響いた。


 そのわめき声の途中、新たな異臭が部屋に立ち込めたのを感じた。


 でもその異臭は、どうやらもう一人の我輩を興奮させるだけだったみたいだ。


 男の断末魔と、かろうじて、許して、返して、と声が聞こえた。


「ダァ……メッ」


 そういった後、我輩の喉を何かが通って行くのを感じた。 それは、限りなく球体に近い何かだったと思う。

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