表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/17

ご飯は1日2回 6-2

ご飯は1日2回の理由が今回解けるかな?

事の発端は6時間前


 我輩はとある路地裏に呼ばれていた。


「流石国王さん、警護はつけてないんだな」


「約束は守る、そなたらが購入した額の10倍用意した、それで所有権を譲ってくれないか?」


 小馬鹿にした言い方をしたのが恐らくリーダーであろう、50歳ぐらいでスキンヘッドで口ひげを輪の様に生やしたの人間


 それの部下っぽそうな、30代ぐらいの犬獣人と、20代半ばのエルフ族の女性だった。


「オーケー。 でも渡す前に条件がある、ついてきな……」


 それから、側の隠し通路から、地下のトンネルに出て、200メートルほど歩いた。 足を踏み入れたことのない場所だった。


 出口は井戸で、ハシゴを登り、井戸から出てあたりの景色を不自然にならないように確認する。


 城下町から少し離れた場所で井戸の直ぐ側には山小屋っぽそうな建物があった。


 嫌な予感がしたが、大量のお金を用意したわけで、この取引自体はwin-winになるはずだ。 きっと大丈夫


 そもそも、我輩を殺すということはこの国だけではなく、同名の他国も敵に回すことになるのだ。


 導かれるまま山小屋に入ると、一見なんの変哲もなさそうな場所に見えた。


 ただ、少し奥の床下が扉になっており、そこから地下室に続いているようだった。


「……アウルはどこじゃ……」


「んっ……慌てないでよ、 地下に丁重に軟禁(なんきん)してあるからさ、なんせ王との大事な取引だから、"傷"つけないようにしないとね」


「……分かった……」


『傷』という言葉に含みを感じたが、傷だらけはなっていないようで。 我輩は安堵の息をごくわずかに漏らした。


 そして、男の部下の二人がクスクスと笑うのに(はらわた)が煮えくり返りそうな気がしたが、なんとか堪えた。


 少し、血なまぐさい匂いを感じた。


 部下の一人が、壁に取り付けられていたランタンに火を付けた、薄明かりだが部屋全体が照らされた。


 地下室は、6畳ほどだったが奥に扉があった。


 床下の扉が閉められた。 ランタンの明かりだけでは、部屋全体をぼんやりと照らすのが手一杯みたいだった。


 奥の扉に導かれ、再びランタンに火が灯される。


 それと同時に、部屋に異臭を感じた。


 更には、目の前の光景に驚いた。


「…アウ……ル……?」


 そこには、古傷はあるものの、まだ綺麗な体の商談の目的である我輩の救いたいアウルが全裸で天井からの鎖で吊るされていた。


「おっと、声出すな、 ショー見せてやるからよ……やれ」


 信じられない光景で驚いて声を出すのを忘れていた。 どうやらアウルは寝ているようだった。


 声を出そうとしたときリーダーの男がオレの口の前に手をかざした。


「ボス、糞はしてないみたいです」


 犬獣人は、アウルの股下の洗面器を覗いていった。


「んじゃぁ、そんままかけていいぞ? ……タイミングは分かるよな?」


「……勿の論! イヒヒ」


「待て……何を」


 リーダーと部下の犬獣人の企みは嫌な予感でしかなかった。


「はいじゃぁ……国王さん、静かにしてね」


 今度は、女エルフに指示された。


 色っぽく『しぃー』っと促されたがこんな外道な人間には流石に興奮しなかった。 


 部屋が沈黙になる、ショーと関係あるのだろうか?


 そして、アウルの寝息が聞こえ、ゆっくりと犬獣人は洗面器を持ち上げる。


 中身が理解できて、犬獣人が何をしようとしていたかを理解した時、我輩は声を荒げた。


「やめろぉおっ…ぐふっ……」


 部下の女の肘打ちが溝内に入った。


「っち……」


「んっ……?」


 アウルがゆっくりと目を覚ます。


「やれ」


「あいさー」


バシャッ!!


「んぐっ、げほっ、げほっ……げほっ……」


 そして、部屋に異臭が立ち込めた。


 臭いのに、我輩は凄く悲しくて、臭いのに、涎を垂らしそうなぐらい興奮しているこいつらが信じられなかった。


「お・は・よ・う、アウルちゃん……いっぱい出てたねぇ……目覚めた?」


「ぅ……えっと……ちょっと待ってくださ……ウェッ……」


 犬獣人はアウルの溝内を殴った。


「違うじゃん、親分に挨拶して、わいらにも挨拶して、生きてること謝って……ねぇ?…… 何べんで覚えるの?」


「ごめっ、ごめんなさい……はぁ……はぁ……」


「せっかく大事なお客さん来てるんだから、今日できなかったら何も意味ないよ?」


「えーと……うーんと……ごめんなさ……っ!?…… どうして……? 国王様……」


 溝内の痛みがようやく収まるが、怒りはどんどん蓄積していた。


 こんなクズの言うことを信頼したワシがバカだった……。


「ほら、訪ねてるよ? 答えないと」


「……助けに来た、こいつらから君の所有権を買いに来た」


「国王様……私なんかのために……私なんか生きている価値ないのに……」


 アウルが泣き崩れそうになった。ボスは、二人の部下を部屋から出した。


「アウル、見てるのはオマエのご主人である オレと国王だけだ、 おもてなし……出来るよな?」


 おもてなし……? なんのことだ?


 その時だった。


……代ワッテヤロウカ?……。


「誰……?」


……変ワッテヤルヨ……オレ様ヲ信ジロ……。


「誰なんだ……?」


 声は自分自身の声に似ていた。 あたりを見渡すが、アウルのゲスな飼い主とアウルと我輩以外この部屋に居なかった。


「どした? 国王さん」


「……いや……なんでもない」


 気のせいだろうか?はっきりと2回聞こえたのだが。


……良イカラ代ワレ!! オレ様ガ助ケテヤルト言ッテイルノダ! 頷クダケデイイ……


「……? あ、嗚呼……」


 脅迫されて我輩はたまらずコクリと頷いた。


 鎖が外される音がした。…… それだけ……。


 だって……何も見えない。 でも見える以外の感覚はある、聞こえる。 感じる。 臭う。


 例えるなら、暗闇の中一人ぼっち。 動きまわるけど、足が新たな地面を踏んだ感触がない。


 そうか、本来の体は動いてないのか。 よくわからない声に我輩は体を委ねたのだろうか?


……聴覚モ……嗅覚モ……体感モ遮断デキルガ……ドウスルカ……?


(……このままで良い……アウルを助けてくれるか?)


……勿論だ。 おまえノ命モ……。せっとデナ


(ありがとう……)


……状況ガ状況ダ、少シダケ休ムト良イ……オヤスミ。


 確かにそうだった、精神的ストレスもあるし、信じがたすぎる光景も見てしまって


 一度シャットアウトして、頭のなかを整理したい。


(じゃぁ、お言葉に甘えるよ)


……信頼シテクレテ……感謝……ダッ……。


 何も感じなくなった。 自分は休んでるのだろうか?


「……従ウ……(ただ)シ、あうるヲ……傷ツケルナ……」


「ふん……約束しよう」


 それから、カチャリと鎖の音が聞こえたのが最後だった……。


ご飯が1日2回の理由は次の話冒頭にて解けるかも?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ