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ご飯は1日2回 6-1

皆さんお待ちかね、流血描写、序章編

えっ? タイトルと話の内容の関係性が分からない?……。

実は自分もまさかこんなシリアス話でこんなタイトルになるとはおもってませんでした。

 大臣に導かれ、玉座の間に行くと、先ほどとは少し違う落ち着いて威厳のある顔立ちで玉座に深々と座っていた。



「ふ、福助……さっきは挨拶できずにすまん……」


「いえ、滅相もございません、まだ事態が把握出来ておりませんが、この国を少しでも良いものに出来るよう頑張る所存でございます」


 そして、片膝を付きひざまずいた。


 1メートルほど横隣にハルさんが同じくひざまずいた。


「私、ハル、命にかけて、福助様を推薦しますので、万が一のことがあった場合は、私に処罰をかけてくださいませ」 


「はっ……えっ?」


 思わず横のハルさんを見る。


「……ふむ、よかろう」


「えっ、いや……自分の過ちは自分で片付けます、自分のミスでハルさんを処罰することはご容赦いただきたいです」


「んむ、良い絆があるようじゃな」


 絆以前にあって数時間しか経ってない……。


 とはいえ、素敵な絵を描いていただいた恩はあるが……。


 なんにせよ高評価であったことは嬉しい、ハルさんの顔に泥を塗らないよう気をつけなくてはいけない。


「のぅ、福助よ、そなたはこの国でまず、何をしたいと思っている? したいというか変えたい……というか……」


 心なしか気弱になっていた、口下手な国王さんなのだろうか?


 いきなりこのような質問がくるとは思っていなかったが、変えねばならないと思っていたことがありボクは口を開こうとしたその時だった。


「お言葉ですが、国王様、彼はまだ……」


 ハルさんがフォローしてくれた。 とはいえ自分にとってはいらないフォローだった。


「ぬ? 何故お前が申す?」


「ぁ……ぃぇ……申し訳ありません」


 ……ハルさんが床につくぐらい頭を下げた。


「ハルさん、ありがとう、大丈夫だよ、目標は決まってるから」


「福助君……」


 怒られたことよりも、目標が既に決まっていることにハルさんは安堵の表情になっていた。


「私、福助は、難しいかもしれませんが、まずは、奴隷に最低限の人権を与えたい所存です」


「ふむ……、人権とな?」


「はい、私の住む地球日本では……」


 それから、アウルさんに説明した『人権』についてを、少し詳しく、口調が失礼にならないよう気遣いながら説明した。


「ふむふむ……まぁ……我輩も粗末に扱われる獣人達を見ると心が痛い」


「はい……共感いただけて何よりです」


「まぁ……これでも、前よりは奴隷の身分はよくなったんだがな……」


 顔を上げ王子の顔を見ると、嬉しそうな反面悔しそうな表情を浮かべていた。


 その表情からは自分では力不足、だからこそ優れたものに力を貸してもらうんだ。 というのが見て取れた。


 そして、悔しさに耐え切れずか、王の目が潤んで今にも泣きそうになっているのを感じた。


 それを見かねてか大臣が玉座の3歩ほど前に出てコホンッと咳払いをした。


「福助殿、国王のご意思を叶えられるよう宜しく頼みますぞ」


「はい、やれる限り頑張る所存でございます」


「では、少し、国王様と話してきますので、先ほどの応接間で」


「あっ、はいわかりました」


 国王様はどこかボクに似ているような気がした。


 頑張っているけど、思ったほど成果がない。


 頑張っているのに、変わらない、認めてもらえない。


 どれだけ辛いことがあったのだろうか?


 いつかその辛いことを第2の国王として背負ってあげる日が来るだろうか?




……



 はっきりとした視界で、これから先、我輩のフォローをする福助を眺めた。


 パッとしないが、大臣やハルが信頼をおいているものらしい。



 申し遅れたが、我輩はとある過去があり少々訳ありである。


 この国で奴隷に対する待遇はほんの少しだけ良くなった。


 最低でも5時間以上の睡眠は取らせるのと、満足の行く食事を朝晩必ず与える。


 たったそれだけだった……。


 我輩の精神が一部崩壊した代償で国が変わったのは大きい成果だろうか? 小さい成果だろうか?



 数ヶ月前のあの時、我輩の視界は殆ど真っ黒で、それでも、体がありえないぐらい俊敏に動いていて。


 5分前まで、ケタケタと気色悪い声で笑っていたものが断末魔を上げたり、助けを乞う。


 いつの間にか、我輩の視界は真っ黒で何も見えない。


 分かるのは視覚以外の感覚だけ。


 何人か殺した、この手で絶命させた。 何人だろう?


……ダンッ…ダンッ………ダンッ……。


 新たな獲物が来た。 ご丁寧にドアを蹴破ってきたようだ。


「国王様っ!」


……コロス……、コロス……オマエもコロシテイイカ……?




「国王様!……お気を確かに……ワシ……ワシですぞ……国王…………グッ……」


 大臣となのる者の、苦しそうな息遣いとほぼ同時に


 3cmぐらいの爪が根本まで親指を除く指全て相手の体内に潜ったの感じる。


……気持チイイ……? 


 さっき同じことをした時、それは心地よかった。心が満たされた。


 でも、何故か今、大臣と名乗るものがあげたうめき声は。


 心の奥底から、暖かいものを、寂しくも噴出させる結果になった。


「……痛イ……カ?」


「いえ……国王様の痛みほどでは……うっ……」


「体中……爪デ穴ヲ開ケテ………良イカ……?」


「いくらでも……わしに、王の傷が少しでも防げれば……この体……」


「フムフム……所デ……良イ、顎鬚ダナ」


「お褒め頂きありがとうございます……つぅ……」


 やめろ……何する気だ……。


 そう何度も強く思っても体が勝手に動く、


(やめろ……触るな……その者の命より大事な……大事な……)


 願いに反して、我輩の右腕が、ふさっと、大臣の顎鬚を掴んだ。


「ソウカ……デハ……引キ千切ッテ……捨テテヤル……」


(……やめろ!……やめろって!! お願いだからやめてくれ……)


 どんなに祈っても、声に出ない。


 うざいぐらいに顎鬚を大事にし、冗談半分でちょっとお世辞を言ったら。


……。



……。


 真に受けた。 笑ってくれた。


 そんな大臣が……そんな大臣が……我輩には……我輩には……


「っ……(むし)って下さい、国王をこの様にしたものにこのような立派な顎鬚……似合いませんから……」


(違う、全部自分の責任だ、この者の『出歩く際は護衛付けて下さい』言いつけを破ったのも自分だ)


「……謙虚サヲ大目ニ見テ、オレ様ノ存在ヲ認メロ!……国ヲオレ様ニ…委エロ、サスレバ……髭ヲ見逃シテモ……」


「…お気遣いありがとうございます、貴方の存在は否定してません、大事な国王様の一部ですから」


「フム……物分リガ良イナ……デハ、国ヲ委ネテクレルナ?」


「いえ、貴方はあくまで国王様の一部でそれ以上でもそれ以下でもないです」


「……御託ハ良イ……」


「申し訳ありません、なるべくわかりやすく言いますので少しお時間を」


「……渋々承諾スルノモ、オレ様ノ恥ダ、髭30本、自ら脱いて、オレ様に差し出せ」


「……御意」


「……デハ、始メルガ良イ…タダシ、3本ズツ、オレ様ノ質問ニ答エル度ニ……抜クノダ……良イナ」


「……畏まりました、何について答えればよいでしょうか?」


(……どうしてそこまでしてくれるの?)


「ドウシテ……ソコマデシテ助ケタイ?」


「……そうですね、ちょっと待って下さいね……1……2……3…すぅ……はぁ……、んっ……!! うっ!」


 プツッとちぎれる音が聞こえた。 指示通り3本抜いたのだろう。


(……もう殺してくれ……)


 視界は相変わらず真っ黒で見えない、分かるのは視覚以外の感覚だけ


 それでも、大臣が我輩のために頑張ってくれてるのが分かった。


「ワシが国王様ヲ……御慕え……大好きですから」


「……フム……オレ様ノコトハ……?」


「…待ってくださいね、1…2……3……すぅ……」


……プツッ


「国王様の次に大好きです、国王様を守っていただきありがとうございます」


「……モット……具体的ニ……知リタイ……」


「えっとですね……1……2」


「……マッ」


「3……スゥ……」


……プツッ


「待テトイウタノニ……セッカチジャゾ……」


「あはは、申し訳ありません、国王にもたまに言われますね、あの、回答宜しいですか?」


 どうして、笑っていられるのだ? あんなにも1本1本バカみたいに手入れをして、


「……構ワヌ……」


 乱暴に扱うと激怒したのに、もう……9本も自ら抜いたのに……。


「と言いましても……言葉ではいささか伝わらないかもしれませんね」


「……余ヲ(たぶら)カスノカ?」


「いえ……では……強引ではありますが……」


 大臣が近づくのを感じたのは良いのだが、何故か耳元に大臣の吐息を感じた。


「愛してます……国王と貴殿を……」


「意味ガワカ……」


「意味が分からぬ」恐らく今我輩を支配しようとするものはそう言おうとしたのだろう。


 しかし、出掛かった言葉は途切れ、代わりに口にふにっとした感触と


 大臣の鼻息が我輩の唇を優しくなでた。


「……ナナ、ナナナナ……ナニ……ナニ……」


「もう一人の国王様、いささか場所が悪いですが、夜の戯れをしましょ」


(………)


「……ハッ?」




どうしてこうなった?


次回、事の発端と続きはいかに?


安心してください、次回も(R18ならない程度に)健全ですよ!

次回は事の発端前編、何がどうなっているんだ!!??

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