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集落でのあれこれ

ダークエルフが数人踊り出ると商隊のメンバーは皆驚いた様子で俺と彼女達を見ている。


「申し訳ありません、まさかお戻りになられているとは・・・」

「出迎えご苦労、客人にも怪我は無かったから問題ない」


恐縮して縮こまっている彼女達に気にしていないことを告げると申し訳無さそうに頭を下げる。


「申し訳ありません、まさか原初のお・・・むぐっ!」

(ややこしくなるから俺の素性の件はぼかしてくれ)


すばやく口を塞いでそう言うと周りのダークエルフ達にもそれぞれ声を掛けておく。ここで俺が人間で無い事が解ったらリットリオでの生活が難しくなる。


「あの・・・ヴォルカン様?」

「いやあ、すまんな、彼女達は集落の警護をしているんだ。余り他所の人間に慣れてないから許してやってくれ」

「は、はあ・・・」


少し怪しんでる様子だが仕方ない。問題は隠し事にてんで縁のないコボルト達だ。最悪開き直るしかないが・・・できるなら彼等が信頼できるかどうかを確かめてからにしておきたい。それにぶっちゃけ村レベルの規模の集落で王を名乗るってのも不思議な話だしな。しかも俺が偉いんではなく俺の姿がたまたま権威を得ただけ、注意深く道を踏み外さないようにしなければ再び待っているのは破滅だけだ。

そう思いながらどうしたもんかと考えを巡らせていると意図を察したらしいダークエルフの一人がワタワタしながら見事にぶっちゃけた。


「えっと、実は・・・その、ヴォルカン様は私達にとって王様みたいな方なんです」

(おいぃぃぃぃ!誤魔化そうとしてバラすな!早いって!みたいなってなんだよ!

)


王様みたいなってなんだ?!それじゃあ誤魔化せてないし小さな集落で王様と呼ばせてるみたいでダサいだろうが!


「へ、へー・・・そうなんですね」


うわああああ!そんな目で俺を見ないでくれ!年端も行かない田舎少女に変な呼び名で呼ばせるいかがわしい店みたいな状態になってる!


「開拓地で彼女達の面倒を見る事になったから・・・それで集落の長をやってるんだよ・・・」

「そうなんですか・・・」

「そうです!だから私達尊敬の念を篭めて王様って・・・えっと!」

「もういい、頼むから・・・ちょっと黙っててくれるか」


ドラゴンだとはばれなかっただろうが代わりに痛い奴だと思われてしまった。



「此処だ、とりあえず荷物の積み下ろしは明日にするから・・・おい、客人を空いている建物へ」

「了解しました」


幸いにもコボルト達は既に寝入っているらしく来客が来たにしては静かだった。

不幸中の幸いって奴だろうか。とりあえず疲れた・・・今日は休もうかな・・・。






「おい、今回の取引相手はどう思う?」


集落に到着した彼等は商品を一先ず倉庫らしき建物に馬車ごと放り込んだ後に宛がわれた家へと泊まる準備をしていた。その中でゲイズバー商会の面々は色々とヴォルカンについて話し合っていた。


「会長は裏表のない男だと言っていたが・・・自己顕示欲が強い御仁みたいだぞ」


ナガラはそう言うと自分の顎に手を当てて少し考える。商売柄相手をあれこれと研究するクセがついているようだ。


「しかし彼女達はダークエルフでしょう?彼女達は故郷を持たない流浪の民のはずだけど?」

「憶測だが彼はこの土地を彼女達の土地として貸与するつもりなのではないかな」

「なぜですか?」

「ダークエルフ達は流浪の民故に様々な国や土地の知識があるだろう?我々もそうだが彼女達の旅の歴史は永い、土地を貸与する過程で手に入る情報や彼女達の歓心を買うことは決して悪いことじゃないはずだ」


それに、とナガラは一旦話を切ると小声で続ける。


「ダークエルフは暗殺ギルドを持っていると聞くし、使い手が多種族に滅多と居ない攻撃特化型の闇魔法と武器の使い手が多く居ると聞いている。武力的にも彼が彼女達を仲間に引き入れるのはメリットが大きいだろう。フィゼラー大森林が如何に肥沃な土地とはいえまだアレくらいの規模なら誤魔化しようもある」

「そういえば・・・最近マフィアを壊滅させて回っているというのも?」

「恐らく彼だ、ダークエルフ達の力を借りたのだろう」


皆は顔を見合わせて黙り込んだ。そうならないと願いたいがもしも彼等が本気になったら自分達はあっという間に殺されてしまうだろう。いくら一般人よりも心得があるとは言っても暗殺ギルドやマフィアに喧嘩を売れるヴォルカンほど強くない。


「言葉を選んで付き合う必要がありそうだな」


ナガラの言葉にリタ以外の皆が頷くとめいめいに寝る準備を始める。


(ナガラさんはああいったけど・・・あの人はそんなに怖いひとなのかな)


リタは今まで気軽に話していたヴォルカンがそのように恐ろしい人間だとは思えず、真偽を確かめるべく商品の確認と嘘をついてあてがわれた家を出て調べることにした。
























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