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ダークエルフと仲良くなろう!7

右手にずっしりとした疲労感がある。硬いものを斬った時に感じる達成感にも似た感覚に思わず凶暴な笑みを浮かべてしまう。


「剣が折れてしまった・・・。」


しかしながら此方の損失も大きい。立った一振りの剣を失ってしまった。

ドワーフのおっさんになんて詫びたらいいものかと少し考えつつも今戦っている相手に目を向ける。


「・・・!」


彼女は折れた剣を見つめながら震えている。愛用の品を壊された怒りからか頬は紅潮していた。


「・・・しよ・・・。」


「ん?」


「どうしよう・・・。」


ぷるぷると震えながら折れた剣先を見つめる姿はまるで家人の大事な品を壊した子供のようであった。


「黒龍様の・・・牙が・・・。」


まるで母親に怯える子供のような姿に毒気が抜かれてしまう。こいつら・・・確か闇の世界で一、二を争う暗殺集団だよな・・・?

とてもそうは思えないがそういえばこいつら超のつくドラゴン好きだったな。


「おい・・・、その、悪かったな・・・壊しちゃって。」


「仕方ありません・・・敵同士ですから・・・。」


「えっと、とりあえず捕まえるけどいいか?」


ぐずぐずと鼻声で答えるダークエルフは抵抗する気力も無いのか先ほどの凄まじい技を披露することもなく呆気なく俺に捕まえられた。

いいのかこれ?

そういえば、と分身たちを見ると二人も戦闘を終了している。どうやら俺が戦ったこの豆腐メンタルのダークエルフが一番の使い手だったようだ。

ナイフ使いは下腹を押さえて痙攣しながら蹲り、槍使いの子は締め技を喰らったらしく首筋に痛々しい跡が残っている。


「おうお疲れ。お前には言いたいことがあるが・・・もういいや。」


ときどき「ひっ」とか「ひゃうっ」とか漏らしながら小刻みに震えている彼女とニヤニヤしている分身を見ると何をしたのかは明白だった。



「さて、捕まえたからには拠点とかいるよな。」


もともと伐採とかも視野に入れて行動してきたので持ち物にはいろいろと工具や樵さんが使うような斧なども仕入れてある。

食料が初日で三人前増えたのが痛いが仕方ない。たとえ自分の命を狙ったものだろうと放っておくのは仁義に悖る最低の行いだ。


「さて、それじゃあ伐採の達人の腕前見せてやろうかね。」


手に唾を吐いて斧を握り締めるとドカドカと目ぼしい木を切り倒していく。

斧は途中の店で買ったがなかなか素材が宜しい。ドワーフ製だろうか?

フィゼラー大森林に自生する木は大半が『カラカスの木』とよばれる湿気に強い木で建材として重宝される。現在はまだ街道が発達していないのと過去に自分が此処に住んでいたせいで誰も近寄らない状態のため独占状態なのだ。


「ふぅ、こんなもんか。」


木を切り倒して行くと日が傾く頃には周囲20メートルを切り開くことに成功した。 木材は木のままなのが6本ほどと切った雑草が山のように出来た。

偶然にも蓬に味が似た『ヤラギの葉』が手に入ったので今日の食事は保存食の干し肉と黒パンとヤラギの葉を茹でた簡単な山菜。

三人にも食事を取り分け、食べさせると三人は敗者は勝者に従うということで俺の指示に従い食事を取ってくれた。

雨露をしのぐため俺は切り株を土魔法で掘り起こし、地面を隆起させてカマクラもどきをつくるとその中に三人を閉じ込め、獣避けのため空気用の隙間をあけつつ倒木で蓋をしておく。


「ちょいと疲れた・・・しかし彼女達全員を倒すまでは此処から動けん。」


どんなに長丁場になろうともへこたれるわけにはいかない。


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