ダークエルフと仲良くなろう!
さて、そうなると彼女達は無傷で倒さなきゃな。
やれやれ、孤児院といい、嫁さん探しといいやらなきゃいけないことばかり増えるな。
忙しいがまあいいや。やれるだけやってそれで駄目ならそれでいい。笑って誤魔化すさ。
ヒューイに連絡を取り、しばらく帰れないことと闘技場のオーナーの支援で彼女達の面倒を見てもらうことにした。
相変わらず大して理由を聞くこともなく了承してくれて留守を預かってくれる事になった。
ほんと出来たオカマだぜあいつは。
「さて、これから俺は一城の主から一国の主になるわけか。 秀吉もびっくりだな。」
全然考えなしで自分のやりたいことをやってきたのにエルフたちの為に国を興す計画を練るなんて馬鹿げた話だ。だが俺はやるぞ。馬鹿を真面目にやってやる。
人間辞めてんだ。今更人間の尺度で計ったってどうなるかなんてわかりっこねえ。せいぜい幸せが増えるように行動しよう。
「さて、テルミット、ダークエルフのことだが奴らに依頼はできるか?」
「依頼?なぜ?」
「精鋭が来るって入ってるけど一部だと長引くだろ?だから一網打尽にしたくてよ。」
その一言にテルミットは頭を抱える。なにをいっているんだこのドラゴンは。
ひよっこですら騎士が不意打ちしてやっとぎりぎり対等に届かないレベルの戦闘集団を文字通り集団で相手をするつもりなのだ。
「死んだらその時はそれまで、孤児院の面倒さえ見続けてくれれば俺は文句がない。」
「簡単に言ってくれますね・・・。」
「こういうのは難しく考えたって仕方ないんだ。それに国を作るつもりなんだからそれくらいで躓いてどうする。」
そう言うとテルミットの顔が呆気にとられたようになる。おーい、美人が台無しだぞ。
「いま、なんと・・・?」
「ダークエルフを調伏してエルフと和平を結びリットリオとサマルの近隣に新しい国を作るんだよ。けっして誰にも文句は言わせないような国を。」
「国・・・私達の・・・国?」
どうやら理解が追いついていないらしい。相当苦労したようだ。
思い返して見れば故郷のアダムスター領ですら獣人やエルフの類は見たことが無かった。前世では大変に人気があったんだがな。
これは文化というよりも彼らの能力によるのだろうがなんともまあ、いたたまれない。強い者が少数だったが為に迫害されていたとは。
いや、強いからこそ迫害されるのだ。
自分の地位が脅かされるかもと疑念を抱いた人間がその原因たる存在に気をゆるすだろうか。
俺があの国で地位を得たのは信仰という心の力と軍団を突破して首都へと迫ったという武力という二つの力による背景があるからに過ぎないのだ。
その点彼女たちにそれはない。
個人がいくら強くても国家には勝てない。いくら美しくても種族の壁は厚い。
知識があれども理解されなければ妄言と同じ。
次第に追いやられ、蔑まれ、消えていくしかない。
だからこそ俺は作らねばならぬ。
彼女たちが人間と対等たるための国家を。
その為には剣の山を、戦いの山を登り続けなければならぬ。
だが決してそれは己の罪業を贖う為に非ず。
ただ一重に世の為、人の為、己の為。
捨て置けぬと吐き出した己の唾を飲まぬ為。
小娘の集団に臆しては居られぬ。




