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闘技場でのあれこれ

「ボスから御呼びか、一体何が待ってる?」


「さて、どうでしょうか・・・私には見当がつきません。」


闘技場の内部はシックで高級そうだが嫌味のない質実剛健な造りには闘士を迎えるに相応しい内容を持っている。


受付嬢と共に長い廊下を歩いているが自分にも理解できる芸術に出会えて嬉しい。


金属は金や銀じゃない、錫や銅を使っているが派手過ぎず造形やセンスを俺でも感じられる。

ただドラゴンが多いな。まるで自画像をみてる気分になる。

はっきり言って嬉しくない。


ナルシストの気のない人間が自分を象った銅像がそこかしこにあることを想像してほしい。

人間の姿が本当なんだという考え方も確かにできるが10年もドラゴンの姿で過ごすとこの姿も自分なんだと感じる事もまた事実。


「ドラゴンが好きなのか?ここのボスは?」


「ええ、それだけは確かですね。」


途中から気にしないようにしていたがホントにドラゴンが多くなってきたぞ。


柱の彫刻に探せばあるといったレベルから銅像、絵画、壁紙、絨毯の柄と全てにドラゴン要素が現われだしたところから何処となく嫌な感じがしてきたぞ。


なにこれ、マニアなの?オタクなの?


「ボス、ヴォルカン様をお連れしました。」


ぐるぐると考えを巡らしているとボスのお部屋へ。

こちらもドラゴンの装飾が。

観音開きのドアに正面を向いたドラゴンが描かれていて・・・なんか嫌だ。

もう食傷気味なんだけど?!


「よく来たね、私がこの闘技場のボス。オーナーのテルミット・クリシュナだ。」


ボスって女かよ。 それはまあいいが。しかもあのとんがり耳は・・・?


「お前さんもしかしてエルフか?」


「そうだよ、かれこれ300歳を超えてて・・・えっと何歳だったかな今?」


「俺に聞くなよ。」


帳簿を脇に追いやりテルミットと名乗る女性は豊満なバストを揺らしながら立ち上がってこっちにやって来た。


「実はアナタの素性を調べてみたのよ。」


「酷い事をするな、秘密は男の財産だろう。」


「ふふ、ベール越しのアナタも確かに素敵よでも私が気に入ったのは・・・。」


いいながら彼女はそっと俺に古びた手鏡を見せる。


「なるほど、そういうことかい。」


手鏡には俺の本性、ドラゴンの顔が映っている。

それと同時に三方から女性が現われ俺の首筋にナイフを突きつけていた。


「デートに誘うにしてはちょいと荒っぽいな。」


「ふふ、たしかにね・・・でもアナタを手に入れたいの。わかって頂戴。」


「情熱的で素敵だ、けどお泊りは遠慮しとくよ軽い男だと思われたくない。」


俺は素早く一人の腹に掌底を叩き込むと二人同時に利き手の関節を極めて地面にねじ伏せる。


「鍛錬が足りないな、ゆっくりとレクチャーしてやるからちょいと大人しくしててくれ。」


魔力をそっと頭に流してやると二人は眠ったように気絶した。

掌底を叩き込んだ彼女もしっかりとノビて居るようで安心だ。


とんがり耳が髪から覗く所をみると全員エルフらしい、闘技場の運営がエルフによって行われてたとは驚きだ。


「リットリオはエルフや獣人に優しくない国だと思ってたがそうでもないのか?」


「優しくは・・・ないわ。」


「つまりは君の細腕一つでのし上ってきたってことか。」


用意できたコマはこれで打ち止めらしい。

どうも俺があそこから脱出できると思ってなかったようだ。


「詰めが甘いようだがドラゴンをそこいらの魔物と一緒にすると怪我するぜ。」


「つまり・・・大型の魔物用の封魔の魔法陣も無駄ってことなのね・・・。」


封魔の魔法陣、これは相手の魔力を封じる魔法陣で強化魔法や通常の魔法を封じるだけでなく体内を循環する魔力すら枯渇させる魔法。

実際は効かなかったのではなく抜けるスピードが樽に針で穴を開けた程度に過ぎなかっただけだが。


「さて、詳しい事情は俺の勉強代を払ってからにしてもらおう。」


「な、何するつもり?」


最近、美人に襲われると滾るようになっちゃったんだよね。

色町に行ってもほとんどお預け状態だったしここいらで太い関係を築いていこうじゃないの。



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