表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/286

誓いは少女の瞳に映る自分自身に

次のターゲットが決まったところで俺は先ほどよりもうきうき気分で根城に戻る。


へっへっへ、この色町を健全?にしてやろうじゃないの。

めざせヤクザ撲滅!そして色町を紳士が通う高級クラブ化して借金のカタに売られた少女達が早くシャバに復帰できる下地を作ってやる必要がある。


礼儀作法を学ばせて侍女として働けるようにする計画もいいかもしれない。

たしか・・・メイド喫茶とやらがあった気がするしな。

そうすりゃ女の子と接する機会も増えるし結婚予定の彼女の一人もできようというもの。まさに一挙両得のすんばらしい考えである。


「ウフフフ、こりゃこの街が住みよい街になるのも間近かもしんないな!」


「どうしたのよいきなり・・・。」


「今夜当たりにゴロアファミリーの根城を突き止めて潰してやろうかと思ってな。」


「さすがに敵を作りすぎじゃない?」


たしかにそうだろう、しかし今の内じゃなきゃ意味がない。

今の俺はなんといっても身軽だ。

気を配るのは孤児院だけだし、奴らは俺がどんな男かも把握しきれていない。

情報が不確かな今の内に潰す必要があるのだ。


しかしせっかく助けたお姫様に何かあっては俺も面白くないし、そうなると怒り狂って街をぶっ壊してしまいそうなので対策を練るのも必要だな。


そう考えながら帰ると門番君は変わらず仕事に励んでくれていた。


「あ、ボスお帰りなさい!」


「おう、ただいま。」


「礼儀正しいのね、あ、私今日からここで働くことになったヒューイよ。 よろしくね。」


「闘技場で有名な方ですね! 俺知ってます!」


どうやら彼はヒューイのファンらしい。

しかしオカマだからではなく純粋に人柄にあこがれているとか。

将来彼がオカマにならないことを祈るばかりである。


さて、それでは昼食を、と思った所で俺達は帰りを待ちわびていた少女達に囲まれてしまった。


「お帰りなさい!お土産は?」


最初に俺に飛びついてきたのはリリアだった。

歳は13歳。 みかけによらず年齢は低い。

しかし発育は大変よろしく、屈託のない笑顔を向けられればロマンスを追いかけるのもやぶさかではないレベルに可愛い。


「お土産は今日はないぜ、だが待ってな。服くらいはいい物を着れる様にしてやるから。」


「ホントに? 約束だよ!」


ああ、いいもんだ。 これはいいもんだ。

なんで前世では俺は誰も愛さなかったのだろう。

きっと驕っていたのだろう。 

栄光にまみれていく中で驕り、天狗になっていた。

皆はいつまでも俺についてきてくれると。

でもそれはまやかしだった。


老いてなにも出来なくなった俺を慕うものなど居なかった。


きっと誰も助けなかったからだ。

教える振りをして、助ける振りをして自己満足だけで生きていたからだ。

だから今、本心から助けようとして助けた彼女たちからの慕う心が俺の心を救っている。


きっとヒューイが慕われるのもそんな理由だ。

彼は助けることになんの抵抗も示さなかった。


ああ、善い事をするってのはいいもんだ。

せっかく長生きするんだ。

いっぱい善い事をしよう。

せめて今回くらいは笑って人生を終えれるように。

俺の最後に涙を流してくれる誰かを作るために。


誰でもない自分自身の魂を救う為に。



俺は俺を見つめる彼女達の澄んだ瞳に移るなんともしまらない顔をした自分に誓う。

俺は誰でもない俺を救う為に誰かを救う。せめて俺の前では皆が笑っていられるように。


きっと今回はそれができるはずだ。

なんてったって俺の息子か、娘かも知らない

だれかと仲間の弟子達が世界を救うんだ。


だからきっと出来るはずさ。

平坦な道でなくても出来るはずさ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ